第42話 テンプレ的な展開
大理石か何かの石で造られた大きな孤児院
「ただいまー」
「お客さん連れてきたよ」
子供たちが誰かを呼んでいる
この施設の院長だろうな
「はいはい、お客さん・・・って、あれ?」
現れたのは、華奢で巨乳で茶髪のポニーテールをした20代の女性
「はじめまして、リーヴェル・ジェスナーといいます」
「あなたが・・・あの、リーヴェルさん?」
「そう・・・ですけど?」
何か、目がキラキラされてるような・・・
ぶつかりそうな勢いで迫り
「お会いしたかった!!」
と僕の手を強く握る
「ちょ、ちょっと・・・、痛いです!!」
「あ!!ごめんなさい!!」
パッと手を放してくれた
「私は、この孤児院の院長をしていますケイト・オリベールと申します。先ほどは見苦しい姿を見せてしまいました」
「いえ、僕は構わないのですが・・・。それにしても、この施設は大きいですね」
「私のおじいさんがこの街で親を失ったり、貧困などで苦しんでる子供たちを何とか助けたいという願いからこの施設を建てたんです。自分の貯金全部はたいたと聞いています」
「すごい決意をされたんですね」
「ええ、おじいさんは自分で決めたことは絶対に成し遂げるという生粋の努力家でした。先の魔法戦争で両親や親せきをを失った天涯孤独の孤児だったそうですが、周りの大人たちに優しく見守られて、いつも『あの人たちのおかげで今のわしがおる』と口癖で言ってたくらいです。だから今度は、こちらが助ける番とも言ってました」
「素敵なおじいさんですね」
天上を見ると、誰かの絵が描かれていた
「ケイトさん、あの天上の絵は誰の絵ですか?」
「おじいさんの肖像画ですよ」
にこやかな顔をした優しそうなおじいさん
村長みたいな人だ
「話が長くなってしまいましたね。まずは、あなたにお礼を言わなければ。子供たちを助けていただき、ありがとうございました」
ケイトさんは深くお礼をする
「いえ、こちらも無事に生きてると知ってホッとしました」
「ケイトさんは、姫様が孤児院の子供たちと一緒だったことはご存じなんですね?」
「はい、姫様は週に一度この孤児院に足を運ばれていて、子供たちと仲良く遊んでいます」
「姫様がここに来るというのは、何かきっかけでもあったんですか?」
「・・・姫様には二つ年上のお兄様、つまり王子様がいたんです」
いた・・・という事は
「ですが、4年前に不死の病で亡くなったんです」
「不死の病・・・」
「これは姫様が私に話してくれたことなんですが、お兄様が亡くなる直前に『誰にでも優しく接することが出来る立派な大人になれ』とおっしゃっていたそうです」
「その言葉がきっかけで、孤児院の子供たちとも接するようになったと」
「その通りです。もちろん、ここの子供たちだけじゃなく、街の人たちとも交流を深めていって、今では姫様がこの地区に来るのが当たり前になってるんです」
姫様は、人との付き合いを大切にされてるんだな
ドンドン
突如、ドアが破られそうなほど大きな音がした
「ちょっとごめんなさい」
ケイトさんが慌てて入口のドアを開け
ガラの悪そうな男たちがケイトさんに迫っていた
「よぉ、支払いの期日今日だぜ」
「そんな!期日は明日と言ってたじゃないですか!」
「ボスがそんな悠長に待ってられるかって焦らしていてねぇ。払えねぇってんなら、この孤児院を売り飛ばすか、アンタが自分の体を売って稼ぐしかねぇぜ」
ニヤニヤとしている
こういうテンプレ的な展開、異世界でもあるんだな
と、子供たちも応戦
「おい、ここの孤児院は俺たちが住んでるんだ!誰がお前たちなんかにやるもんか!」
「んだと、このガキ!?おい、やっちまいな」
「へい」
これは、ヤバいな
「うわ、何すんだよ!!」
一人の子供が巨漢に軽々と持ち上げられ
机にめがけて投げられる
案の定、机は粉々になり
子供の顔は血まみれ
「うぅ・・・」
「大人に歯向かったらどうなるか、身をもって教えてやるぁ!!」
巨漢とは思えないほど思いっきりジャンプ
肘を突っ立てながら、子供の方へ落ちる
子供は痛みのせいか動くことすらできない
「危ない!!」
ケイトさんが止めようと必死にダッシュ
子供を抱きかかえ、間一髪で抜け出せた
男はゴロゴロと床を転んで、壁に激突
「何て無茶なことをするの!!」
「ご・・・、ごめん・・・なさい・・・」
「俺たちがいることを忘れるんじゃねぇよ!!」
ケイトさんに近寄る男たち
子供たちは彼女を守ろうと円になって囲う
「ガキども、その女をこっちに渡しな。そうすれば、命だけは助けてやる」
「嫌だ!!この人は、この孤児院になくてはならない人だ。お前たちみたいな極悪人に渡してたまるか!!」
子供とは思えない言い方だ
ケイトさんが教えたんだろうか?
男たちは怒りをあらわにして
「どうやら全員、死にてぇようだな。だったら、望み通り殺してやるぁ!!」
懐に隠していた剣を抜いて、子供たちにめがけて振り下ろす
僕は反射的に子供たちの方へと駆け寄り、剣を両手で受け止める
「なっ、素手で止めただと!?」
「悪いね、おっさん。人が殺されるところ見たくないんだ」
「テメェも、こいつらの仲間って事か?」
「いや、今日知り合ったばかりだけど」
「ばかりでも仲間って事じゃねぇか。おい、そこをどけ」
「一つ聞くけど、あんたは人を殺したことがあるのか?」
「あるさ、数え切れねぇくれえにな」
・・・・・・
重苦い空気が数秒続く
「お、おい。何だよ?」
「その発言、殺人を認めたという事でいいんだな?」
「えっ、ちょっ、い、今のは言葉の綾で・・・」
「みんな、この馬鹿なおっさんの言ってたことちゃーんと聞いたか?」
「「「「「はーーーい!!」」」」」
高々と手を挙げる子供たち
「じゃ、この件が片付いたら、真っ先に警備局のムーリット公爵に報告しますか」
「てめぇ、ふざけんじゃねぇぞ!」
「ふざけてるのはどっちだ?それに、こっちとしては正当防衛成立だから、反撃しても罰せられないから」
「え・・・?」
そう言ってすぐに、僕は男の腹を殴って気絶させる
ケイトさんや子供たちはぽかんとしてる
「よくもジェットをおおお!!」
仲間の一人が僕に殴りかかってくる
動きが遅すぎて欠伸がでてしまいそうだ
僕は5秒足らずで残りの仲間を撃沈させる
「ふぅ」
「お、お兄ちゃん・・・」
はっと我に返って、子供たちの方を見る
怖い思いをさせてしまったかな・・・
「かっけぇーーーー!!」
「すごーい!!」
「素敵!!」
称賛の声が次々と
何だか照れくさいな
「リーヴェルさん、ありがとうございます」
「いえ、子供の怪我の具合は?」
「大丈夫です、何とか血は止まりましたし」
「でも、薬草などでしっかりと対策をされた方がいいですよ。なんでしたら、ヘリッツ子爵を呼んできましょうか?」
「・・・」
「どうされました?」
「い、いえ・・・、そうですね、呼んできてください」
僕はパンと手をたたき
エフィリアたちがやってきた
「あらあら、これは主がやったんですか?」
「いやいや、僕がやったんじゃないよ?」
「それで?」
「あ、ヘリッツ子爵を呼んできてくれ」
「了解です」
ヒュンと飛んでいく
「い、今のは・・・?」
「僕に仕えている妖精のエフィリアとその仲間たちです」
「妖精・・・」
数分後、ヘリッツ子爵がやってきて
「うわ、これはひどい光景だな。これ、リーヴェル君がやったのか?」
「違いますよ、そこにいる男どもの仕業です」
ちらっと見て
「うわぁ、いかにも悪そうな人たちだね」
「へ、ヘリッツ・・・」
「え・・・?その声は・・・」
子爵がケイトさんの方を振り向く
「ケイト・・・、ケイトなのか?」
ケイトさんは涙を流しながら、子爵に抱き着く
「10年ぶり・・・だね」
「そう・・・だな」
「あなたが大怪我をしたって聞いて私、会いに行こうと思ったんだけど、今のあなたの住んでるところ知らなかったから会えなかった。でも、今はあなたが生きてるって分かる」
「ああ、私も君にもう一度会ってみたかったんだ・・・」
二人は息ができないんじゃないかという程ギュッと抱きしめる
これは、もしや・・・
いや、その前に
「んんっ!」
僕は軽く咳払いして
それに気付いた二人は、パッと放す
「いい雰囲気のところ申し訳ないんですけど・・・」
「そうだったね・・・」
「また、リーヴェルさんの前で見苦しいところを・・・」
「また・・・?」
「あ、誤解しないで。私がリーヴェルさんと握手しようとして私が力強く握りしめてしまったの」
「分かってるよ」
「あの・・・、あの」
「「あ・・・」」
「お二人はどういったご関係?」
「ケイトは私の幼馴染だ」
まさかの幼馴染という展開!!
どうも、茂美坂 時治です
いかにもっていう感じにしました




