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第34.5話ー2 魔王の願望

魔族のいる国 グラレスク王国


人口はおよそ10万


その魔族の長である魔王ヒュドゥルトは弟インディルトの謀略により、家臣チュギルに刺され殺されかけたところを人間であるリーヴェルとヘリッツ子爵の働きにより命を救われた


1週間で傷は完治した


その翌日

魔王城の審判の間にて


インディルトは魔力を通せない特殊な縄に縛られたまま魔王が来るのを待っている


「魔王様のおなりである!!」

家臣のシュルスターの声が部屋中に響く



異様なほどのオーラを放つ魔王が姿を現す



いつもの魔王のオーラと違う?

インディルトは違和感を感じていた


「面を上げよ」


審判の間に来ていた魔族の貴族たちが顔を上げた瞬間、オーラが消える


「さて、皆にここに集まってもらったのは他でもない。そこにいる我が弟、インディルトは余を殺そうとするためにおとりとして2万の魔物を使ってディーレスト王国襲い、魔物の退治に追われている隙にディーレスト国王ヴァリアル・フォン・ディーレストを殺そうと計画していたそうだ」


その言葉に貴族たちはざわめくが

「皆も承知の通り、余は人間を愛する魔族だ。そんな人多くの間たちがこの愚か者が率いた魔物たちによって惨殺された。余はそんな行いは絶対に許さない」

「フン、何を言い出すかと思えば自分は人間を愛していると強調しているだけじゃねぇか。そんなくだらないことを聞くために俺をこんな縄で縛りあげてるのか?」

「インディルト、魔王様に向かって何たる無礼な言葉を!!」

シュルスターは熱くなるが

「構わん、立場は違えど、同じ血のつながった兄弟であることに変わりはない。が、今回の件で余は完全に堪忍袋の緒が切れた」

「俺、あんたに無礼なことをしたか?」

「余ではない。人間たちにだ」

「人間だ?我ら魔族は人間より高位なる存在。下等生物に過ぎない人間を駆逐するのが魔族の使命だろうが。それをできないあんたが魔王を名乗る資格なんてないんじゃねぇのか?」

「お前こそ、人間を滅ぼしたところで魔族だけで生きていけると思っているのか?」

「思ってるさ。魔族は数年食わずとも生きていける優秀な生き物だ。人間の場合は2、3日食わなかったら死んじまう脆弱な生き物。それを考えれば俺たちが立派じゃないか」

「では、人間を滅ぼした後でお前は何を学ぶ?」

「・・・は?」

「答えてみよ」


突然、何を学ぶって言われてもその言葉の魂胆が見えない


「兄貴は何が言いたいんだ?」

「質問を質問で返すな。まあいい。余が言いたいのは、魔族に社会性があるのかという事だ」

「社会性・・・?」


ますます疑問符が出てくる


「全く、こんな簡単な事にも気付けぬとはな」

「なっ!?」


魔王は弟にニヤリと顔を向ける


「お前は、魔族が人間より高位なる存在といったな」

「ああ、それがどうした?」

次の瞬間、魔王のにやけた顔が怒った顔に変わる

「それはあくまで力の差ということにしか過ぎないのだ」

「何だと?なら、考えも人間に劣ってると言うのか?」

「そうだ。駆逐するだけが魔族の社会性なのか?」

「い、いや、他にもあるだろ・・・」

「ほう、何があるというのだ?」

「そ、それは・・・」


魔族の社会性とは何なのか?

考えてもそれらしい答えが浮かばない


インディルトは珍しく悩んでいる


「分からねぇ」

「分からないでは話にならないな。ではもし、魔族だけの世界になったら、魔物から社会性を学ぶのか?それとも、社会性に優れた魔族がいればその者から学ぶのか?」


実際、社会性に富んだ魔族などいない

なぜなら、魔族にとって人間はごちそうであり、糧を食い荒らすことしか考えない低能な種族だと魔王は気付いたのだ


そして、インディルトも考えているうちのその答えにたどり着く


「そうか、兄貴が言いたいのは魔族がこのまま社会性のないまま生きていくべきなのかという事だな」

「ようやくわかったか。お前が今回したことも社会性の無さが仇となったんだ。それに、あの街が襲われた後も人間たちはめげずに皆で助け合い、復興したではないか。お前だけでなく、ここにいる皆もそれを学んでほしかった。だからこそ、余はディーレスト王国だけじゃなく他の国とも親交を深めたいとずっと思っているのだ」


何てことだ・・・

兄貴は人間との関りを深めるだけじゃなく、魔族のこれからの将来を見据えてまで考えていたのか


それに対し俺は、人間などくだらない種族は滅ぶべきだと考えてばかりいた

そう比べれば、俺はずっと馬鹿じゃないか


「兄貴の考え、お見逸れしました・・・。俺は、馬鹿な魔族だ・・・。これでは、兄貴には到底追い付けない・・・」

インディルトにとって人生で初めて流す涙

それを見た魔王も少し驚く



そして、罰が下される時が来た

「インディルトよ、お前はこれより3年間奴隷として生き、社会性をしっかり学んでまたこの地に戻って余にその成果を見せてみよ」

「必ずや、兄貴の意志に応えてみせます」

そうして、インディルトは審判の間を後にした


まだ、もう一人の審判が下っていない


「シュルスター、前に出よ」

魔王の呼びかけにシュルスターは緊張しながらも潔く足を動かす


跪いてすぐに

「魔王様、此度の件、まことに申し訳ございません!!魔王様に絶対なる忠誠を誓った身でありながら、インディルトによる謀略にも気付けず、挙句には魔王様が刺されるなどという大失態を犯してしまいました。どうか、この愚か者に相応しき罰をお与えくださいますよう、何卒!!」

「お前に与える罰はもう考えてある」

「どんな罰でもお受けいたします!」


魔王は一度呼吸を整えてからシュルスターに罰を言い与える

「シュルスター、お前はこれからディーレスト王国、いや、世界最強の冒険者、リーヴェル・ジェスナーと共に冒険者パーティーを組み、一生の友として生きていくことを命ずる」


意外過ぎる罰にシュルスターは戸惑う


「お言葉ですが魔王様、それは罰と言えるのでしょうか?」

「お前には、あの者から学ぶことも多いのではないかと余は考えた。聞いた話では、リーヴェルに一撃でやられたそうではないか」

「お、お恥ずかしい・・・」

「ならば、その失敗からリーヴェルと共に強くなり、彼から学んだことを我が国にも取り入れたいのだ。その責務を負うのがお前だという罰だ」


つまり、魔王様はリーヴェルから魔法だけでなく知識等も学び、それがグラレスク王国発展に貢献できるきっかけとなればというお考えか


さすがは魔王様

魔王の名は伊達じゃない


「かしこまりました。このシュルスター、魔王様からいただいた命を必ず遂行いたします」

「期待しているぞ」



どうも、茂美坂 時治です

魔王の考えは魔王らしくないようにしました

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