第28話 スキルと加護
「まさか、本当にSSSランクだったなんて・・・」
セフィルさんが軽くため息をつく
「それで、加護とかスキルとかについて詳しく聞きたいんですが・・・」
「そうでしたね」
セフィルさんは店の奥に置いてある分厚い本を取り出し、それに関するページを開く
「まずは、スキルですね。これは、自分が持つ能力を指します。日常生活でも必要な能力がほとんどですが、努力次第で新たなスキルを獲得することが可能です。現在のリーヴェルさんが持つ能力は9つですね。五感に関しては超人レベルです。それに、動物愛がレベル10なのも驚きです」
「その、動物愛って具体的にはどんなことなんですか?」
「この本によりますと、動物愛とはいかなる動物にも懐かれ、自らもその動物たちを愛することを意味しており、レベルに応じて寄ってくる動物の種類も増えてきます。リーヴェルさんはレベル10で全ての動物に懐かれるということになります。ただ、皮肉なことにこれは魔物も引き寄せられるのです。魔物も動物の類なのですから。それが、称号にあります全てに愛されし者に反映されるのです」
そうか、だからそれだけの魔物を討伐できたという事か
なんだか複雑だな
「スキルのレベルは一般的にはどれくらいが平均なんですか?」
「大体が4から5です。玄人レベルは7から8です。達人になると9から10ですが、これは1つのスキルでレベル10を持っている人がほとんどです。時には2つか3つ持っている人もいると聞いています。リーヴェルさんは、その人たちをも上回るスキル持ちです。ここに来る前はどのようなことをしていましたか?」
「そうですね、サイロン村で魔力量の底上げや山の中を走ったりとハードなトレーニングをしたり、文字の読み書きとか農作物の栽培とかをしていました。」
「サイロン村・・・」
「どうかしましたか?」
「サイロン村って、昔王都の飢饉を救ったと聞いています。その村の出身だったとは・・・」
「飢饉ですか・・・」
「50年ほど前に大干ばつが起きて、食糧不足で皆栄養失調で苦しんでいて、5000人ほどがそれが原因で亡くなったんです。その危機を救ったのがサイロン村だと私のおじいちゃんから聞いていたんです」
という事は、村長も知っているはずだ
「その村人がSSSランクって凄すぎますよ!!」
大声で喜んでいる
「いや、僕は別にSSSランクになるためにやってるわけじゃないんですけどね」
「じゃあ、何のためにですか?」
「自分の身を護るため」
「自分の身・・・」
「人って周りからの支援で生きていられることが多いんです。でも、もし自分の身に予想外の事が起きた時に周りがそれについていけるかどうか・・・。結局は、自分の身は自分で守らなければならないという事です」
「そのために、それだけ自分に厳しくやっているのですか?」
「そうですね・・・」
「尊敬しますね。それだけの力がありながら、溺れないなんて」
「今はそれなりに力を制御することもできるようになったんですが、暴走したらどうなるんだろうって不安な気持ちもあるんです」
「そうなんですか?」
「不安のない人なんて一人もいないんですよ。不安で立ち上がれない人を助けるのもまた人なんです。不思議ですよね」
「確かに」
「・・・あの、話がかなり逸れてるんだけど・・・」
シーナさんの声でハッと気づく
「す、すみません・・・。私が質問したばかりに・・・」
「いえ、大丈夫です。それで加護については?」
「加護はこの世界を作ったとされる神々からの贈り物のようなものです。一般的に人が持っている加護の数は1つか2つですね」
「でも、僕は5つ持っている。僕のような人もいるんですか?」
「さぁ、私も会ったことも聞いたこともないですね。でも、探せばどこかにいる可能性もあると思います」
「僕も一度そんな人に会ってみたいですね」
「さて、加護の種類について説明しますね」
ここからセフィルさんの説明が長くなるので、今僕が持っている加護の内容を簡単に説明しよう
・創世神ニクリルの加護:人に嫌われることがなく、慈愛に満ちた行動ができる
・戦神バックスの加護:戦いの時、自分の力を1.5倍底上げする
・水神ジェリトの加護:水の中で息をしなくても行動可能。ただし、水深100mまで
・地母神フォールデックの加護:子宝に恵まれる
・酒神グルンの加護:どれだけ酒を飲んでも二日酔いにはならない
となる
「加護は、常に発動しているとは言えません。というのも、今自分がこの状況だと意識させるというのが
発動条件です。地母神フォールデックの加護に限っては、異性と結婚してから発動すると書かれています。他の加護は状況に応じて発動するようです」
「なるほど。じゃあ、その状況が終わったら、加護も自然に発動終了という事ですか?」
「そうですね。ただ、これは人によっては様々ですが、ずっと続く人もいれば長く持たない人もいるみたいです。リーヴェルさんは加護が発動しているなってわかるときはありますか?」
「うーん・・・、あまりそういった実感はないですね」
「そうですか、他に聞きたいことはありますか?」
「いえ、今のところはないです・・・」
「わかりました。では、また気が向いたらお越しください。ただし、事前に予約を入れてくださいね」
「はい」
店を出ると
「ワンッ!」
「ニャァ~」
「ピィッ!」
「うわぁっ!!」
あの時のモフモフたちがドアの前で待っていた
「僕を待っていたの?」
「ワンッ!!」
僕の言葉が通じるのか、すぐに寄ってきて手をペロペロ舐められたり、足をスリスリされたり、肩に乗ってきたりとやりたい放題だ
「これが、動物愛レベル10か・・・」
今日ものどかだ
同じころ、王都ジェティスから遠く離れた森の中
森は魔物だらけ
その中に男がただ一人
「クックックッ。理想の数になってきた。待っていろ、ディーレスト王国国王ヴァリアル・フォン・ディーレスト。この国は俺がいただく」
不穏な影も一歩ずつ近づいていた
叙勲式まであと1日
どうも、茂美坂 時治です
モフモフたちに一度囲まれてみたいです




