#006 錬金術師になろう!
「へぇ、これが綺麗なだけでバカって噂の妹?」
兄が言伝してくれたら2~3日で会えるのではと思ったけど、数時間後には錬金術の仕事をしているらしいコルネリスがやってきた。
いきなり失礼な事言っているけど私は怒らない。 なぜなら私はバカじゃないもの。
「はじめまして。オーヴェル公爵家のメリッサと申します。よろしくお願い致します。わたくし錬金術にひとかたならぬ興味がございまして、是非コルネリスさまにご教授いただけないかと。」
「え?あ、はい・・・バカって噂だけど挨拶はできるんだ?」
コルネリスがジェフリーの方を見て失礼の上塗りのような質問をする。
「う~ん。妹は殆ど話が通じないというか一方通行だったんだが、事故で意識不明の大怪我してから突然話が通じるようになったんだ。」
なるほど、これが兄の本音か・・・
しかし、明るいというかチャラいというか本音を隠さないでずけずけ来る感じ、嫌いじゃない!
「へぇ。意識不明の後 人が変わった感じに・・・そういえば俺も毒殺されそうになってさ~、数日意識不明でやばかったんだよね。」
毒殺!やっぱりふつーにある世界なんだ。怖っ・・・
「毒入れられたのか!なんか敵が多そうだもんなコルネリスは。」
「まぁね。でもこのアーティファクトあれば強い毒でも大丈夫だよ~。ちょっと値は張るけどジェフリーは買った方がいいよ。これさ、実は効果のほどがわからなかったんで売ってなかったんだけど俺が身をもって証明したから大丈夫だよ!」
ニマニマしながら商売してくる侯爵令息よりも、解毒できるというアーティファクトに目が釘付けになってしまう。
「それってどうやって作るんですか?材料とか方法って秘匿されているんでしょうか?是非わたくしにも作り方を教えてくださいませ。わたくし錬金術師になりたいんですの!」
「あぁ、そうだったな。錬金術師?メリッサ嬢はコアなとこついてくるね。いいよ。教えてあげるよ。材料は当然必要だよね。アーティファクトをアミュレットにしたい場合はそれを構築するための金属でしょ~、あっ、金属ってわかる?このかたいやつね。あと解毒系の薬草とか色々混ぜてマナで魔法陣を書くんだ。俺はイメージだけで書けちゃうんだけどね、最初はこんなマナを集めるための魔道具なんてあったほうがいいよ。買うでしょ?」
コルネリスがマナを集めやすいというタブレットのペンのようなものを見せてきた。ちゃっかり違う道具もセールスされたけど、買うでしょ、それは!
「なるほど、このアーティファクトの場合は銀ですね。これに薬草などの材料を混ぜるというのも魔法で行うわけですね。治癒魔法って言い方があるから、これは創造魔法とでもいうのでしょうか?ペンは買います当然!このペンにマナを集めて魔力で魔法陣を書くだけで構築されてしまうってわけですか。凄いですわ!」
自分からでるエネルギーだけで作れちゃうなんて、なんて素敵!大学院では高額な機械がないとどうにもならなかったもんね。おぉ、イメージしただけでもある程度の事はできそう。
大学院のみんな~!わたし想像しただけで素粒子分解とかできちゃいますよぉ~。
「あ、あれっ?おバカで有名なはずのメリッサ嬢ってばもう理解しちゃったの?その人差し指二本たてて何をしてるの?小さいエネルギーを衝突させているように見えるけど、それ攻撃魔法じゃないよね?やめてね、アミュレット壊したばかりでまだ新しいの作ってないんだから・・・
アミュレットというのはお守りのアーティファクトの事だ。
「ジェフリー、何だよ妹ちゃん、めっちゃ優秀っぽいんだけど~。」
「想像と創造ってすっごくアガりますわぁ~!」
楽しい!もう令和に戻れなくていいや。ここで一生魔道具作って暮らすのもアリかも。
「教えるのは構わない、もちろんタダでとはいかないけどさ、アカデミーに行けば基礎から学べるし、材料も使い放題だよ?受けるだけ受けてみればいいのに。」
コルネリスがジェフリーに同意を求める。
「コルネリスの言う通り、受けてみればいい。受かればラッキーだし、受からなくても何回も受けられるからな。」
「アカデミーの試験って難しいんですの?どのような感じなのかしら?」
「面接試験で教師が5人くらい座っていて得意なことを聞かれる。俺は数学と答えてしまったから大変だった。3桁の掛け算を出題されて答えるのに10分近くかかってしまった。たしか、385×695は~?みたいな。どうだ?なかなか難し・・・」
「267,575」
えっ?!と言う顔で兄とコルネリスが私を見た。しまった、つい反射的に暗算で答えを言ってしまった。まずかったかな・・・
「メリッサどうした?そんな適当な数字言ってコルネリスの話を遮るなんて。」
「嫌ですわぁ~お兄さま。何か難しすぎて無意識に冗談を言ってしまったみたいですわ~。」
やばいやばい。得意って言ってたコルネリスが10分かかるんだったら合っているとは気づかれないよね。
あはは~、だって簡単すぎて!
ブラックホールの計算なんてルートの中に分数とインテグラルとさらにルート・・・みたいな計算式なんだから、掛け算割り算だけなんて私達には計算のうちに入らないってね。
「・・・いや、合ってるよ。計算したの?それとも適当?適当で合うようなかずじゃないけど・・・」
コルネリスが下を向いたまま鋭い眼光を向けてくる。
「メリッサ嬢。君、もしかして・・・」
「え、えぇ~合ってるなんて奇跡ですわぁ~」
なんとかごまかさないと!
「メリッサ、触らなくても読めたのか?」
兄は私がコルネリスの思考を読んだのだと思っているらしい。どっちにしてもまずいよねこれ。
「お兄さまっ!その話は!」
「あぁすまない。」
「兄妹でなんの話をしてるんだ?」
「コルネリスすまない。我が家の事情だ、察してくれ。」
兄がとぼけた言い訳をした、。こんな杜撰な返答でごまかせるのかな・・・
「もし妹ちゃんが試験受けに行くのなら同行するよ、俺、聴講したい講義あるから。」
「本当か?助かる。それと、うちの執事のゴードンがメリッサにつける教師を探すように言われていたからもしよかったら君を推薦していいかな、コルネリス?」
「そうだな。錬金術の基本を教えるのにもちょうどいいし。そのかわり錬金術を習得したら俺の助手になってくれよ?」
「ありがとうございます。嬉しいですわ!」
あぁ~!もう少しで本物の錬金術師になれるのね!




