#020 fake town baby
この世界に転生したのはやっぱり私だけじゃなかったんだ!
っていうか、コルネリスは誰?私の事を好きって・・・加賀くん?
えっと・・・冷静になれ私!
いきなり加賀くん?なんて聞いていいのかな?
あれ?これって異端?異端審問にかけられちゃう?
いや、裁判なしに処されるんだっけ?
え、でも、理々沙の知り合いならばこいつも異端・・・
じゃなくて、あ~っ、もう、何考えてたんだっけ?
「メリッサ、落ち着け!」
気づくとコルネリスが私の背中をさすりながら
「深呼吸しろ!あ、待て、息を吐け、あぁくそっ、何か袋はないのか」
と叫んで手のひらを丸くして私の口に押し当ててきた。
「苦しっ!」
どうやら私は過呼吸になりかけていて、コルネリスも軽くパニックになっていたようだ。
「はははっ 二人でいっしょにパニクるなんて!・・・それで、理々沙の名前を聞いて転生者か聞くという事はお前も由吉の知り合いだよな?誰だ?俺の知っているやつか?」
私はまだゴホゴホと上手く呼吸できない状態だったけれど、頭の混乱は収まってきた。
というか、この人は誰?
もし加賀くんじゃないならば、この距離感はまずいんじゃない?
面倒な事が起こりそうなら私が理々沙だって言わない方がいいのかな?
よし、言わないでおこう。
「俺は最上だ。最上亮介!」
「ええっ!亮ちゃん?」
「亮ちゃんって呼び方するって事はやっぱり理々沙だな!」
あっ・・・
言わないでおこうと思ったのに秒でバレた。
中身最上君のコルネリスが嬉しそうに目を輝かせて私に口づけをしようとしてきた。
一瞬雰囲気に飲まれそうになったけれど、ちょっとまて!この状況色々ヤバい!
「ちょっと待って!」
私は急いで顔を背けたけど顔を両手でつかまれて結局キスをする形になってしまい、両手で思い切りコルネリスの胸を押して距離をとり舌の侵入を阻止した。
「なんでダメなんだよ。俺たち付き合ってただろ?」
「付き合ってた時だってキスなんてしてないでしょ!」
「それは時間の問題だったのに、俺たち以外の理由で別れることになったんじゃないか?そうだろ?俺も理々沙も別れたくて別れた訳じゃなかった。俺は本当に別れたくなかったんだ!」
そうだっけ?・・・あ~、うちの家庭の事情と私の旧友のせいか・・・いや、でもそれは違う話だ。
「確かに私は亮ちゃんの事が嫌いになって別れたんじゃないけど、縁が薄かったんだよ。だって理々沙の私は今 加賀くんと付き合ってるわけだし、メリッサの私はフレデリックと婚約しているわけだし。」
「頼むから!そんな薄情な事いわないでくれよ。俺がどれだけ頑張って理々沙の彼氏になれたんだと思う?あのあとだってずっと好きだったんだ!キスくらいさせてくれたって!」
「だから!この状況じゃダメなんだって!」
「本当に!お願い!1回だけでもいい。俺の長年の気持ちにこたえてくれ!」
正直、嫌いになって別れたわけじゃないから1回くらいいいかもと思ってしまいそうになるけれど、それはダメだ。1回許すとそのあとは当たり前になるって友達のみっちゃんも言ってたし。
「喧嘩したくないから本音を言うね。キスを1回なら今したでしょ?私これが初めてだったんだよ?あの時別れなかったらっていう事でそれは許す。でもこの先の事はもうだめだよ。さっきも言ったけど私には加賀くんのこともフレデリックの事もある。あ、でも私はフレデリックとは婚約破棄されて断罪されるストーリーなんだよね。もしも私が処刑されないで元の世界に戻れなくなったら、とか先の事はわからない。とにかく今は私たちが恋人同士のように過ごすわけにはいかないよ。これは気持ちがどうこうって以前の問題だから。私だって生き残るために色々画策しなきゃならないんだよ、どうしてもっていうならメリッサはコルネリスとは決別するよ?」
コルネリスが驚いた顔になった。
「断罪されるストーリー?」
「そうなの、この世界は由吉が好きなアニメ映画の『男爵私生児で元平民の私ですが悪役令嬢婚約者のイケメン皇子と略奪婚します』略して『イケ略』の世界で、私はその作品にでてくる悪役令嬢のメリッサ・フォン・オーヴェルって登場人物なんだ。タイトルで内容わかるでしょ?私はヒロインのマリーに嫉妬して色々やらかした末に断罪されるの。だから皇太子のフレデリックともヒロインのマリーともいい関係を築いていくつもりだけど、原作の強制力がどこまであるかわからないからやっぱり断罪になるかもしれない。フレデリックとだって婚約なんてしたくなかったけど、皇帝と父である公爵の命令で・・・これも原作の力なんだなって思った。」
「ただの異世界じゃなくて原作があるところに飛ばされたのかよ。由吉の失敗のせいで転移ならともかく憑依転生した理由とか、イミわかんねぇ。」
「失敗?」
「そうだよ。理々沙も巻き込まれたんだろ?由吉が借りた共同の研究室が爆発したじゃないか。」
「爆発?私そのあたりの記憶なくて・・・じゃあ私たちの元の身体はどうなってるの?」
「さぁ?あの爆発じゃ下手したら死んでるかもな。生きててもまともな状態じゃないかも。だから俺はもうあっち帰らなくてもいいと思ってる。この世界の方が思ったように実験もできるし、身分もあるからこうしてガツガツしなくても好きなことして生活できてる。俺、今だから言うけど理々沙が大学院に進むって言うから大学院に進んだんだよ。離れたくなくて。うちは両親いなくて叔父の家の居候だったから、大学だって国立大だし奨学金でなんとか入学できたんだ。大学院通いながらバイトかけもちだったんだよ。知らなかっただろ?隠してたからな。」
「それ私のせいなの?・・・なんかごめん。」
「いや、理々沙が理由なだけで理々沙のせいじゃない。変なこと言ってごめんな。ただ、俺は由吉が迎えに来てくれてもたぶん帰らないと思う。一生コルネリスとして生きていこうと思ってる。」
「で、その爆発に巻き込まれた人って何人くらいいるの?」
「それがよく覚えてないんだよ。あいつが『特異点みつけた~い』とかいって『みんなで広い研究室借りよ?』ってなった時、賛同者けっこういたよな?でも事故の時は何人いたかわからないし、何人巻き込まれたかもわからない。俺のデスクは由吉の隣だったからもろ巻き込まれたんだけど、由吉の反対側の隣は加賀のデスクだっただろ?だから加賀は巻きれたはず。実は理々沙がどこにいたかも知らないんだ。」
「私のデスクは加賀くんの右隣だけど、爆発事故なんて全然覚えてないから、その時どこにいたかもわからないや。」
「はぁ・・・結局、爆発の規模はわからないままだな。爆心地の由吉はどうしてるんだろう?あいつ、迎えに来てくれる気あるかな?」
「そうなんだよね。迎えに来てもらう云々より、由吉はこのアニメにハマっていて原作を読んでるはずだから会って色々聞きたい。」
「なんか異世界だっていうのに細かいとろの感覚が日本に似てると思っていたんだ。そりゃそうだよな、日本人が考えたストーリーなら・・・」
「私、日本語で話してたし日本語で書いてたけど、勝手に異世界言語に変換されているんじゃなくてそのままだったってこと?納得!」
よくある異世界転生チートで言語自動変換されてるのかと思ったらみんな日本語喋ってたんだ!ウケる。
フレデリックもあの顔で日本語ユーザーw
「とにかく俺は帰る気はないけど由吉には一言モノ申したいから迎えにきたら教えてな。はぁ、考えたくないけど加賀もいそうだな。」
「あっ、そうだよね!」
「そんなに嬉しそうにするなよ。エグるじゃん・・・マジ傷ついた俺・・・」
「ごめんて。」
そっか!由吉の失敗で飛ばされたのが理由なら、加賀くんも同じ世界線にいそう!
フレデリックが加賀くんだったりして!
あはは・・・そんなわけないかw
しばらく仕事が忙しくなるので毎日更新ができなくなります。
最低でも週一以上を目指します。
すみません。




