初めての交流
「あ、あの、お二人とも、ちょっといいですか……! あの、お忙しいところすみませんが、ご相談したい事がひとつありまして! あっ、その前に……! 私、トゥーハ・フィピーノといいます、よろしくお願いしますっ!」
元の場所へと戻った二人を追いかけて声をかけると、私は一息にそう発して、頭を下げた。
すると二人は振り返り、再び私のすぐ近くへと来てくれる。
「なっ、頭をお上げ下さい! 神子様に頭を下げさせるなど、神殿騎士にあるまじき事でございます! ……ああけれど、神子様の御名をお教え戴けるとは……! 身に余る光栄でございます!!」
「……丁寧な挨拶、至みいります。して、ご相談とは何でございましょう?」
……うん?
同じ騎士なのに、なんか対応の仕方が違うなぁ。
シンフォム様はなんか凄く大袈裟……というか畏まった感じだし、対してコーシェム様は、そんなシンフォム様に引きつつも穏やかに応対してくれてる感じ?
あ、でも同じ騎士っていっても所属が違うんだっけ?
そのせい……?
「神子様? どうなさいました? ご相談とは……?」
「あっ、ごめんなさい! えっと、実は、昨日預かった子が一人、家に住むのを拒んで夜中のうちに出て行ってしまったみたいで……心配なので、一緒に探して貰いたいんですが……!」
「なんと!? 神子様と共に暮らすこの上ない栄誉と幸福を拒んだと……!? そのようなふざけた真似をするなどっ……かしこまりました、その子供には大神官様より罰を与えて戴きましょう!」
「えっ!? ば、罰って……いえあの、そんな事をして欲しいわけじゃ……!! 私はただっ」
「ホークデン、落ち着け。神子様はその子供が心配だと仰られているのだぞ? 罰など与えては、逆に神子様のお心に背く事になろう。先走らずに、神子様のお言葉を、よく聞け」
「! む……。……そうだな。失礼致しました神子様」
「神子様、お話はわかりました。その子供はこちらで探しましょう。どうかお任せ下さいませ。して、見つけた後は如何致しましょう? 連れ戻しますか?」
「あっ、いえ……! レードック君が家に住むのが嫌で他の場所で暮らしたいなら、別にそれでもいいんです! ただ……その、レードック君が選んだ場所で、ちゃんと無事に暮らせるのかが心配で……このシュロールス君の話だと、冒険者になるって言ってたらしくて……危なくないかなって……」
「……なるほど。では冒険者ギルドに向かったのですね。……了解しました、神子様。そういう事ならば、我々騎士団と交流のある冒険者パーティーのいずれかにその子供の保護を頼みましょう。一人前になるまで面倒を見て欲しいと。それで解決するでしょう。その子供の特徴を教えて戴けますか?」
「! はい……! ありがとうございます!! ああ、良かった……!!」
コーシェム様の提案にホッとした私はレードック君の特徴を伝え、牧場へと戻る事にした。
レードック君の事はお任せして、私は他の子達と元の予定をこなそう。
ラヴィーリちゃん達が既にやってくれているだろう牧場仕事に合流して、午後には改めて皆で街へ行くんだ!
……それにしても、初めて会った婿候補の二人……どちらかと言えば、コーシェム様のほうが好感が持てるなぁ。
穏やかで紳士的で、頼りになる感じ。
シンフォム様は、やっぱりちょっと大袈裟だし……それにいきなり罰だなんて言い出すし、ちょっと怖い人なのかも。
まだ初めて会ったばかりだから第一印象はそうなっただけって事もあるかもだけど……今のところは、やっぱりシンフォム様よりコーシェム様と交流を持ちたいかな。
……街にいるだろう他の婿候補達は、どんな人かなぁ?
コーシェム様より好感持てる人、いるのかなぁ。
街に行くの、色んな意味でわくわくして、凄く楽しみかも。
将来私と結婚するのなら、一緒にずっと子供達の面倒を見る事になるんだし、やっぱり相手は頼りになって優しい人がいいよね。
子供達に良くない事をするような人は論外だよ、うん!
……ん?
……という事は、シンフォム様は今のところ論外って事になるのかな……?
……うん、そうなる、ね。
もしかしたら今後、交流する中でそうではなくなる可能性もあるかもしれないけど……子供達の為にも、親しくする婿候補は慎重に選ばなくっちゃ!




