はんばぁぐ
「本日のディナーでございます」
いよいよお待ちかね、ディナーが運ばれてきた。
自分で言うのもどうかと思うが、私は単純なのだろう。
さっきの真剣な気持ちが、あっという間にディナーに対する期待に入れ替わった。
今日こそ主催を食べるのだ。
最初に出された飲み物を口に含む。
アンジィは絞りたてのグレープジュース、兄は絞りたてのグレープとカシスのジュース、そして私はフルーツティーだ。
あまりしっかりとしたお茶だと食事には向かないので、お茶感の少ないフレッシュなフルーツティーになっている。
今日は私の好きなラズベリーティーだ。
ふわりと香るラズベリーの香りが鼻をくすぐる。
あぁぁぁ美味しい。
父と母はアルコール濃度薄めの赤ワインだ。
ちなみにこの世界の食卓は、美しい長テーブルに料理が並べられ、執事やメイドが給仕をする仕様だ。
かしこまった食事会ではフルコースの様になる事もあるが、基本はこれである。
私の給仕はレリアだ。早速全品をほんの少しづつ取ってもらう。
「ありがとう、レリア。まぁ、美味しそうだわ」
レリアの給仕を受けながら食事に手を伸ばす。
まずはグリーンサラダだ。毎日出てくるこのサラダは私の大好物である。
ベビーリーフのサラダなので、病み上がりの体にも優しい。
ミネストローネも時間をかけて煮込んでくれたのだろう、野菜が舌の上で蕩けるような濃厚さだ。パンにつけながら美味しく頂いた。
そして主菜。今日はお野菜たっぷりのハンバーグだ。ミンチなので食べやすいのにプラスして、お野菜がたっぷりなので私にはありがたい。
そっとナイフを入れるととろりとチーズが溶け出た。
何も言わずともチーズインにしてくれるあたりマルクは最高だ。
口に含めば優しい野菜の風味と肉汁が絡まり会い、絶妙なハーモニーを生み出す。肉肉しさはなく、軽やかな舌触りで食べやすい。
「あら。ミンチの塊だと思ったら。こんなにも美味しいのね。庶民の料理だと思ったら見た目も綺麗だし……フィオにも食べやすそうでいいわね」
「本当だ。野菜も上手く馴染んで食べやすいな。フィオが考えたのだろう? 素晴らしい」
「フィオが考えたんですの!? 凄いわ! 美味しいですわ! 」
「うん。これは美味しいね。流石僕の妹だ。とても食べやすいし。ありがとう。フィオ」
皆から絶賛の嵐だ。少しくすぐったい。
「これは他にも色々な調理法がございますの。沢山の味や見た目が楽しめますわ」
和風ハンバーグとか煮込みハンバーグとか、ハンバーグの可能性は無限である。ハンバーガーにもなるしね。
「まぁ。それは楽しみだわ」
皆が瞳を輝かせる。
なんだか不思議な気分だった。こんなにも明るい食卓はいつぶりだろう。なぜだかまた目の奥が熱くなる。こんなことで涙が出そうになるなんて…。
暖かい笑顔の中で、私はフィオとして積んできた貴族の教育を最大限に発揮し、涙を飲み込んで、込み上げる微笑みを返した。
別に作者はそこまでハンバーグラブじゃないけど、お肉料理の中では珍しく好きです。
毎度お馴染み(お馴染みじゃない方はぜひお馴染みください(?))反応頂けますと今回は倒立前転します。頑張ります。




