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悪役令嬢の双子姫  作者: 雨月 桜姫
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8/25

家族の食卓

 

「お嬢様、お嬢様、起きてくださいませ」


「ぅうーん…。おはようございます。レリア、起こしてくれてありがとう」


「おはようございます。お嬢様。ディナーに向かわれる前に、お召換えをしなくてはなりませんよ」


 メイド数人がかりで、着ていたネグリジェ脱がしてもらい、Theロリータなフリフリドレスに着替える。

 ……このお洋服可愛い。今までは大して気にもしていなかったが気に入った。


 眠ったせいで少し崩れた髪も、セットし直してもらう。

 両サイドの髪を三つ編みのハーフアップにしてもらう。ふわりと薄桃色の髪が揺れた。

 眠る時に炊いてくれていたアロマの香りがほのかに漂う。ほんのり甘いお花の香り。私の好きな香りだ。


「さぁお嬢様、お乗りくださいませ。途中まで歩いて、疲れてしまって食欲が落ちたら困りますので、車椅子で参りますよ」


「ありがとう」


 車椅子に乗り、膝にブランケットを掛けてもらう。これも少女趣味な可愛らしいものである。可愛いに囲まれたこの空間、幸せだ。


「さぁ、参りましょう」


 食堂に付くと、既に両親と兄、そしてアンジィが揃っていた。


「フィオ!! 一緒に食べれるのね! 嬉しいわ!! 」


 瞳を輝かせたアンジィが駆け寄ってくる。


「ええ。これからは毎日一緒に食べようと思っているわ」


「嬉しいわ!! 特別な日でもないのにフィオと一緒に食べられるだなんて! 」


「フィオ、お部屋から出られるんだね。一緒に食事ができるなんて僕も嬉しいよ」


 兄のエルネストが、近くに来て優しく微笑む。

 ふわりと柔らかい、色素の薄いミルクティー色の髪の毛に、長いまつ毛に縁取られた優しげな金色の瞳。透明感のある肌。女の子に間違えられることもある兄は、大変な美少年だ。王子だと言われても疑わないレベルである。


「はい。お兄様。わたくし、体を少しでも強くしようと思いまして…。ほんの少しでも動くようにしますの。これからは毎日お散歩にも行く予定なのですわよ」


「それはいい。そうだ。是非僕も、お散歩に同行させて貰えないかな? お姫様」


 おどけたように差し出された手にそっと自分の手を重ねる。


「ええ。もちろんですわ。わたくし、歩くのも遅いし、あまり長い間は居られないけれど、是非ご一緒してくださいませ」

 

 にっこりと微笑んで、兄のエスコートを受ける。車椅子から立ち上がって、自分の椅子に着くと、アンジィが身を乗り出してくる。

 

「お兄様、ずるいですわ。あたくしもフィオとお散歩がしたいのですわ! 」


「アンジィも一緒に、三人でお散歩致しましょう? きっと楽しいですわ」

 

「……フィオがそう言うなら、3人でも宜しくてよ」


 頬を赤くしながら強がるアンジィ。ツンデレさんだ。可愛い。


「うふふ。フィオったら大人気ね。もちろん私達も一緒に食事が出来て嬉しいわ」


 ラベンダー色の瞳で優しく微笑む母は、私と兄の髪色を足したようなピンクグレーの髪の毛を、ゆったりと編み込んで肩に垂らしている。

可愛い系が八割の美人さんだ。


「今日のディナーの主菜はフィオが考えたらしいね。とても楽しみだよ」


 母の隣で微笑むのは父だ。アンジィに似た、少しキツめな顔立ちだが、性格はとても優しい。

 アンジィより少し濃い蒼色の髪に、クリーム色の瞳がよく映えている。


 意図せず目の奥が熱くなる。こんな素敵な家族に囲まれて、私は幸せ者だ。


 看護師さんとれなが来る時以外、ずっと静かだった病室を思い出す。飾り気のない、白い静かな部屋。


 私は目を閉じると、苦い記憶をそっと打ち消した。

 私はここの家の子だ。この家族と幸せになるのだ。前世の記憶など必要ない。


 だからこそ生きなければ。この優しい家族は、こんな私でも死んだら悲しむだろう。何より、私がこの人達の笑顔を見ていたいと思った。生きなければ。ううん。生きよう。

 

 微笑んだ顔は崩さずに、テーブルクロスの下で、そっと拳を握りしめた。

毎日更新じゃなくて、一つ一つのお話をもっと長くしようか悩んでいる雨月 桜姫です。

毎度おなじみ、反応頂けるとケーキ焼きます。そしてそれを皆さんに届け〜と願っておきます。(届くとは言っていない)という訳で、いつも読んでくださっている方、反応くださる方本当にありがとうございます。

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