誕生前朝
かくして、私とアンジィのバースデーパーティー、もとい洗礼式は明日に迫っていた。
「いよいよ明日なのね。わたくし達の洗礼式」
「えぇそうですわっ! ついにあたくしたちも、明日から貴族の子女として認められるのです。楽しみですこと」
朝食の場で、しみじみと呟けば、アンジィが瞳を輝かせながら頷いた。
「うーん。洗礼式を終えれば、色々な人にフィオのその美しさが伝わってしまうと思うと…複雑な気持ちだよ。癪だけれど、アンジィも美しいからフィオを任せることも出来ない」
ため息混じりのお兄様は、今日もしっかりシスコンだ。アンジィを褒めるのは少し恥ずかしいなんてツンデレさんである。
ちなみに私の体力はと言うと、少しマシになってきてはいるものの、まだまだである。2日動けば2日寝込むを繰り返しているが、最初に比べれば大きな進展だ。
「それにしても…5年という月日は早い物ね。去年のエルネストの洗礼式でも思ったけれど…。このままどんどんと成長して、いつかはわたくし達親の手を離れると思うと……」
随分時の早いお母様が瞳を潤ませる。
「もう。お母様ったら。その涙はどうか、明日に取っておいてくださいませ」
微笑みながらそういえば、お母様も微笑んで頷いてくれた。
「うむ。そうだな。ユリアーヌ、明日の分の涙を切らしてしまうといけない。感慨深いのはわかるが…明日まで取っておこう」
ウインクをしながらお母様に話しかけるお父様。相変わらずギャップである。
「それでは旦那様、奥方様、おぼっちゃま、お嬢様方、本日は明日に備えて体調に気を付け、準備をなさってください。使用人一同は、明日の最終準備を怠らず、素晴らしい洗礼式になるよう精進致しますよう」
モルガンの言葉に、給仕と護衛を残した使用人達が一斉に動き出す。
ちなみに私の給仕はノエルだ。
レリアには明日の衣装等の最終準備を頼んである。
「ふぅ。朝食はこれくらいでいいわ」
お腹が膨れたので、ノエルから受けとった紅茶を飲み、席を立つ。
「それではわたくしはお先に失礼致しますわ。明日に備えて体調を整えませんと…」
「そうね、せっかくの洗礼式も、お熱があってしまってはいけないわ。しっかり体調を整えなさいね」
優しいお母様の言葉に頷くと、ノエルの押す車椅子で部屋に向かう。
「ノエル、明日はよろしくお願いいたしますね」
「もちろんお任せ下さい。お嬢様」
後ろを振り返って声をかければ、おどけた様に笑い返してくれる。
この1ヶ月で随分と明るくなったものだ。
それにしても、ノエルはイケメンさんだ。
美しいシルバーブロンドに、どこか幻想的なグレーの瞳は相変わらずで、無表情だとどこか物憂げな色香があるし、笑えばもう破壊力がえぐいのである。
最近はよく笑いかけてくれるから、お兄様とノエルのおかげでイケメン耐性がばっちり付いてしまった。
しかも、用紙が整っているのに加え、執事としても大変優秀なのだ。仕事に厳しいモルガンも、珍しく絶賛していた程だ。
これはノエルさんモテるわね。将来はいい所のお嬢様と結婚してもおかしくない。もしくは執事として採用されちゃうかも…。
あら。そういえば私のお家、貴族の中でもトップの筆頭公爵家だったわ。執事として採用されちゃうことはないだろう。
…とかよく分からない心配をしていたらお部屋に着いた。
「お嬢様。お帰りなさいませ。本日はゆっくりと湯浴みやマッサージをして、早く寝ましょう。それからお庭のお散歩も行けませんので、お部屋でごゆっくりなさってくださいな」
「わかったわ。読書をしようかしら。ノエル、図書室まで着いてきてくださる? 」
「勿論でございます、お嬢様」
神話の本でも読もうかと思う。この世界の神話もなかなかに面白いのだ。私はそれなりに神話とかが好きだったから、そういう本が多いのは大変嬉しい。
神話だったら学んでおいて損もないしね。
色々ごたついてて更新遅れました。申し訳ない……。
少しでも面白い、続きが気になる!と思っていただけたら、反応いただけると飛び跳ねて喜びます。




