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悪役令嬢の双子姫  作者: 雨月 桜姫
17/25

拾い人

 

「お、お嬢様! お庭のお散歩ですか!? お元気そうでなによりです」


 真面目そうな、黒髪の門番に声を掛けられる。


「御機嫌よう。何か騒がしそうですが、どうかなさって? 」


「そうなんですよ〜。お嬢様、たった今入れ替わりでここに来たら……」


 元気そうな赤茶色の髪の門番が、言葉を濁しながら、先程の灰色の塊に目をやる。


「……もしかして…」


「お嬢様っ!! 」


 門の外に出て、灰色の塊の前にしゃがみ込む。


「どうしたの? 」


 灰色の塊が微かに動く。

 ……やっぱり。この塊は人間だ。


「お嬢様っ! 危ないですわ! お下がりください」


 レリアが悲鳴のような声を上げる。


「大丈夫よ。レリアは少し静かに。大きな音は刺激させてしまうかもしれないわ」


「で…ですが……」


「ねぇ、あなた意識はあるかしら? 私の声は聞こえていて? 」


「うぅ……ん」


 どうやら意識はほとんど無さそうだ。


「御屋敷の中に連れていきましょう。この子、怪我をしているわ」


「ですがお嬢様…」


「あら。レリアはわたくしに、この子を見捨てろと仰るの? 」


 瞳を潤ませて上目遣いに見つめる。


「……で…ですが……」


「お願い。レリア」


 胸の前で手を組んで見つめること数秒。


「っく……」


 レリアが折れた。


「ありがとうレリア! 早速この子を運ばなくては」


「本当にお嬢様は……。」


 ちらりと灰色の子を見る。とてもやつれていてるのが分かる。随分とボロボロの薄汚れた服を着ているが、元はそれなりに良い物そうだ。


 じっと見つめていると、灰色の子が顔を上げた。どうやら意識が戻ったらしい。


「あら。おはようございます。わたくしの言葉はわかるかしら? 」


 にっこりと微笑んで相手の目を見る。綺麗なグレーの瞳をしている。グレーの瞳なんて見慣れているはずなのに、この子の瞳は何故だか神秘的に見えた。

 薄汚れた灰色の髪の毛がボサボサと伸びている。この子は男の子だろう。


「……な…に。君、誰? 何しに来たの」


 警戒しながらこちらを見てくる。どうやら言葉は通じるみたいだ。


「あなた、ボロボロですわ。どうかなさって? 」


「…別に。行くあてがなくて路頭に迷ってるだけ。君みたいな綺麗なお嬢様には関係ないよ」


 ふいっと顔を背けられる。地味に悲しいわね、これ。


「あら。関係ならありましてよ。第一ここはうちの門前ですもの。それに、こんなボロボロで、路頭に迷っている人を見かけてしまったのですもの。放っておけるはず御座いませんわ」


 これは私の自己満足。きっとこの世界にはこんな様な子は沢山いるだろう。その全員を救えるかと言われたらそんなことは出来ない。だけど、たまたま目の前に現れたこの子くらいなら、私にも救えるかもしれない。手を差し伸べるだけでも。

 偽善者だと思われるかもしれないが、流石に目の前でこんなに子を見て放っておけるほど、私は強くなかった。


「……で? 僕をどうする気? タダ働き? 奴隷? それとも君の自己満に付き合ったら放り出す? 」


 まぁそうなるわよね。訳ありっぽい感じだもの。

 でも、イヤミを言われるくらい想定内だ。


「あなた、行くあてがないのでしょう?」


「そうだけど」


「ちょうどいいわ。わたくしの元で働かないかしら?」

やっと投稿しました。投稿速度がカタツムリにも負ける雨月 桜姫です。

毎回読んでくださっている方、本当にありがとうございます。何がなんでも完結はさせます。更新速度が情緒不安定ですが、生暖かいめで見守ってやってください。

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