拾い人
「お、お嬢様! お庭のお散歩ですか!? お元気そうでなによりです」
真面目そうな、黒髪の門番に声を掛けられる。
「御機嫌よう。何か騒がしそうですが、どうかなさって? 」
「そうなんですよ〜。お嬢様、たった今入れ替わりでここに来たら……」
元気そうな赤茶色の髪の門番が、言葉を濁しながら、先程の灰色の塊に目をやる。
「……もしかして…」
「お嬢様っ!! 」
門の外に出て、灰色の塊の前にしゃがみ込む。
「どうしたの? 」
灰色の塊が微かに動く。
……やっぱり。この塊は人間だ。
「お嬢様っ! 危ないですわ! お下がりください」
レリアが悲鳴のような声を上げる。
「大丈夫よ。レリアは少し静かに。大きな音は刺激させてしまうかもしれないわ」
「で…ですが……」
「ねぇ、あなた意識はあるかしら? 私の声は聞こえていて? 」
「うぅ……ん」
どうやら意識はほとんど無さそうだ。
「御屋敷の中に連れていきましょう。この子、怪我をしているわ」
「ですがお嬢様…」
「あら。レリアはわたくしに、この子を見捨てろと仰るの? 」
瞳を潤ませて上目遣いに見つめる。
「……で…ですが……」
「お願い。レリア」
胸の前で手を組んで見つめること数秒。
「っく……」
レリアが折れた。
「ありがとうレリア! 早速この子を運ばなくては」
「本当にお嬢様は……。」
ちらりと灰色の子を見る。とてもやつれていてるのが分かる。随分とボロボロの薄汚れた服を着ているが、元はそれなりに良い物そうだ。
じっと見つめていると、灰色の子が顔を上げた。どうやら意識が戻ったらしい。
「あら。おはようございます。わたくしの言葉はわかるかしら? 」
にっこりと微笑んで相手の目を見る。綺麗なグレーの瞳をしている。グレーの瞳なんて見慣れているはずなのに、この子の瞳は何故だか神秘的に見えた。
薄汚れた灰色の髪の毛がボサボサと伸びている。この子は男の子だろう。
「……な…に。君、誰? 何しに来たの」
警戒しながらこちらを見てくる。どうやら言葉は通じるみたいだ。
「あなた、ボロボロですわ。どうかなさって? 」
「…別に。行くあてがなくて路頭に迷ってるだけ。君みたいな綺麗なお嬢様には関係ないよ」
ふいっと顔を背けられる。地味に悲しいわね、これ。
「あら。関係ならありましてよ。第一ここはうちの門前ですもの。それに、こんなボロボロで、路頭に迷っている人を見かけてしまったのですもの。放っておけるはず御座いませんわ」
これは私の自己満足。きっとこの世界にはこんな様な子は沢山いるだろう。その全員を救えるかと言われたらそんなことは出来ない。だけど、たまたま目の前に現れたこの子くらいなら、私にも救えるかもしれない。手を差し伸べるだけでも。
偽善者だと思われるかもしれないが、流石に目の前でこんなに子を見て放っておけるほど、私は強くなかった。
「……で? 僕をどうする気? タダ働き? 奴隷? それとも君の自己満に付き合ったら放り出す? 」
まぁそうなるわよね。訳ありっぽい感じだもの。
でも、イヤミを言われるくらい想定内だ。
「あなた、行くあてがないのでしょう?」
「そうだけど」
「ちょうどいいわ。わたくしの元で働かないかしら?」
やっと投稿しました。投稿速度がカタツムリにも負ける雨月 桜姫です。
毎回読んでくださっている方、本当にありがとうございます。何がなんでも完結はさせます。更新速度が情緒不安定ですが、生暖かいめで見守ってやってください。




