お庭のお散歩
「ほら、お姫様。このお花をどうぞ」
「まぁ。お兄様ったら。ありがとうございますわ。素敵なお花……これはカーネーションかしら? 」
「そうだよ。そこの庭園で。僕も育てるのを手伝ったんだ。ほら、やっぱりフィオによく似合うね」
中心の薄ピンクが縁に向かうにつれ、段々と白になっていくカーネーションだ。
私の編み込まれたツインハーフアップの結び目にさしてくれる。
元からつけていたリボンはお兄様が取ったようだ。
「ほら。可愛い。この花は僕の小さなお姫様に良く似合うだろうなと思って育てたんだ」
目を細めて優しく微笑むお兄様はさながら王子様のようだ。私がブラコンになるのも仕方ないと思う。
「お兄様っ! ずるいですわ! お兄様ばかりフィオとお話ししてっ!! あたくしもフィオと話したいんですのよ! 」
しかめっ面をしながら割り込んできたのはアンジィだ。相変わらず可愛い。ちなみに私はシスコンでもある。
「なんだ。アンジィか。君は後ででもいいだろう? 今は僕がフィオとお話しているんだ」
にっこりと微笑むお兄様にアンジィが食ってかかる。
「いーやーでーすーのっ! あたくしは今フィオとお話したいのよ。このまま待っていたらずーーっとお兄様がフィオを独り占めしますもの」
「まぁまぁ、アンジィもお兄様も。3人でお話すれば良いのではなくって? 」
にこにことそう言えば、兄は微笑んだまま頷き、アンジィは渋々と言った感じで頷く。
「僕のお姫様の仰せのままに」
「……フィオが言うならそれでいいですわ」
うん。仲の良い兄妹って素敵だわ。
この状況から察しはつくだろうが、ただいま庭園でティータイム中だ。
……それにしても、お兄様がかっこよすぎて妹が可愛すぎる。
これはお兄様が大人気だったの理解できるわ。
ちなみに兄のエルネストは、メイン攻略対象に次ぐ人気を誇っていた……らしい。
記憶が戻る前の私も、『わたくし大きくなったらお兄様と結婚したいですわ』とかたまに言ってた。今となっては流石に恥ずかしいセリフだが、お兄様の妻になる人はとんでもなく幸せものだと思う。
アンジィも言うまでもなく可愛い。前世は兄弟や姉妹に憧れたからか、こんな風に心から慕ってくれる妹は可愛すぎるのである。
この子……絶対にモテるわ。いくら悪役令嬢と言えど、素直で可愛くて美人で頭も良くて……。アンジィがモテないはずがない。
私の兄妹はとてつもなくモテるだろうということがよくわかった。
お兄様に関しては、もう社交デビューも果たしているし、目に見えて人気度がわかる。
数々の令嬢から婚約の打診が来ていて、密かにファンクラブなるものまであるらしい。
悪役令嬢のアンジィが居なくても充分攻略が難しそうだ。
まぁ、言ってしまえば攻略対象達はみんなモテモテのエリート達だから、アンジィが居なかったら居なかったで別の令嬢たちが立ちはだかっていただろう。
ちなみに、このままだと私は王子と婚約することになる。
ここのフラグはそこまで重要では無いので、嫌な感じじゃなければ、家のためにも婚約は受けていいと思っている。
出来ればその王子に恋が出来ればいいのだが、贅沢は言わない。恋もしたいのは山々だが、少なくともお互いを大事にして、想い合える関係になれれば充分だろう。
仲良く言い争っているお兄様とアンジィを眺める。
どうやら、どちらの方が私と仲が良いのかで揉めているらしい。
口喧嘩の理由がかわいすぎる。きゅんとした。
「もういいですわ! フィオに聞きましょう!! そっちの方が断然早いですもの」
「ああ。そうだね。フィオに聞いた方が早い」
突然1人から話を振られた私は少し固まる。
「ふふふっ」
知らず笑いが込み上げてきた。
「嫌ですわ。お二人共。わたくしがどちらかを選ぶと思って? 選べるはずもありませんのに。お兄様もアンジィも大好きな兄妹で、わたくしの1番の仲良しですわ」
「1番っ!! フィオ!あたくしの1番の仲良しもフィオですわ! 」
「うーん。1番が僕だけじゃなくてアンジィと二人なのは少し悔しいけれど……フィオならそう言うだろうって言うのは分かっていたよ。もちろん僕の1番大好きで1番仲良しなのもフィオだよ」
「なんですの!? あたくしと1人で1番が悔しい!? そんなのあたくしもですわ! 悔しいのならお兄様は1番になられたら? あたくしと同じ順番ではなくなりましてよ」
「いーや。1番になるのは遠慮しておくよ。アンジィに譲ろう」
「お兄様っ!! そんなのあたくしだって遠慮致しますわ! 」
お茶を1口頂く。
今日も世界は平和である。
めっちゃ更新遅れました。
毎回の如く、ほんの少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ブクマ、高評価、レビューや感想など頂けますとスピンします。くるくるです。
いつも本当にありがとうございます。




