朝食
ゆっくりと意識が浮上する。
今度は夢を見なかった。
天蓋の奥でそっと身じろぎをすると、メイドがやってくる。
「お嬢様。お目覚めですか? 」
「んんん〜。おはよう」
「おはようございます。お嬢様。お食事をお持ち致しましょうか? 」
「ん〜。朝も皆と食べることにするわ」
幸いまだ食事の時間に間に合う。
「かしこまりました。お召換えを致しましょう」
メイド達の手によって着替えが進められてゆく。
今日はもうクリーム色のヒラヒラドレスだ。
相変わらず可愛い。機能性には欠けるが、オシャレに少しの我慢くらい付き物だろう。
髪の毛も編み込んでサイドハーフアップにしてもらう。いつもの髪型だ。結び目にドレスと同じ色のリボンをつけてもらう。
「さぁ、お嬢様。お乗り下さいませ」
促されるままに車椅子に座る。
「フィオっ! 良くなリましたのね。良かったわ! 」
食堂に着くなり妹から熱烈な歓迎を受ける。
「フィオ。朝も一緒に食べられるんだね。嬉しいよ」
「ありがとうございます。アンジィ、お兄様」
「ふふふっ。アンジィもエルネストも、本当にフィオが大好きよね。もちろんわたくしだって2人に負けないくらいフィオのことが大好きだけれど。それから2人のこともね」
お茶目にウインクをしながらそう言うお母様は本当に可愛らしい。
「もちろん私だって家族のことが大好きだよ」
ちょっと渋めに見えるお父様からのその言葉は反則である。ギャップが……
「まぁ。旦那様……。勿論わたくし、旦那様の事をいちばん愛しておりますわ」
きゅんとなったのを隠さないお母様。可愛らしいけどなかなか凄いわ。緊張とかさっきので飛んで行っちゃったのかしら。
「ああ。私もだよ。ユリアーヌ」
朝から両親がラブラブである。ちなみにユリアーヌは母の名前だ。
私もこの二人みたいに好きな人と結婚したい。今世では恋もして青春を満喫したいのだ。
私も政略結婚だろうけど、結婚するのなら両親のような夫婦……とまではいかずとも、お互いに大切にし合える、支えあえる関係を築ける人と一緒になりたいものだ。
なんかワクワクしてきた。前世で出来なかったことも思いっきり満喫したい。そのためにはやっぱり大前提として健康よね。
「この後はお庭のお散歩に行こうと思っているのですが……アンジィやお兄様も如何ですか? 」
折角なら二人とも交流を深めたいものだ。
「勿論行きますわ!! 」
「フィオの方から誘ってくれるなんて嬉しいな。勿論行かせてもらうよ」
2人とも乗り気である。
「ありがとうございますわ。ふふっ。楽しみだわ」
はにかんでそう言えば周りの人達がみんな固まる。
……どうしたのかしら。
まぁ皆の硬直もそのうち解れるだろう。
「レリア、後でで良いのだけれど、庭園でお茶をしようと思うの。マルクにお茶菓子の準備をお願いしてきてくれるかしら」
「はっ はい。かしこまりました。今すぐ伝達させておきます」
硬直が解けたレリアは、私の給仕をしながら他のメイドに指示を飛ばす。
仕事が出来る女性って素敵。
さっさと朝食を食べてしまおう。
お散歩が楽しみである。
更新遅くなりました。おサボり常習犯の雨月 桜姫です。毎回皆さんの暖かい反応に色々な反応返しております。本当にありがとうございます。
バリエーション不足しそうなんですけど、とりあえずシュトーレンでも作ってクリスマスまで食べます。




