新たな目標
「お嬢様、本をお持ち致しました。こちらでよろしいですか? 」
レリアが手配したメイドによって魔法の本が届けられる。
「ええ! それよ。ありがとう」
早速手に取ってみる。子供の頃、誰しもが一度は憧れたであろう、魔術書だ。
ワインレッドの表紙に、金色の文字で書かれたタイトル、同じく金色で描かれる蔦のようなフレーム。
この世界の文字だからだろうか。タイトルもアンティークチックな感じでオシャレだ。
ぱらりとページをめくると、少し古びた紙と、インクの匂いが漂う。
「はぁぁ。素敵」
感動でラズベリー色の瞳は潤み、花びらのような頬は上気する。
さながら恋する乙女である。
どうやらこの本は、魔法の原理について多く触れているようだ。
属性や魔力の適性などについて詳しく載っている。
使い方等については大雑把にしか触れていないが、それでもありがたい。
光や闇属性についても書いてあった。
どうやら、闇属性持ちは今までに4人、光属性持ちに至っては、今までに2人しか居ないらしい。
4000年ほど続く、このユールラシア王国の歴史から見ると、驚く程に数が少ない。
ちなみにこの珍しい属性持ちの方々は、皆魔力量は少なかったという。
光、闇などの希少な属性は、使える魔法にも珍しいものがあるのだろうが、魔力量が伴うため、どのような魔法が使えるのかなどは、具体的には分かっていないという。
今わかっている時点で、光は、癒し、明かり、聖 を司り、闇は、癒し、暗闇、源 を司るらしい。
光も闇も癒しがあるのだが、少し種類が違う。光は圧倒的な癒しだ。息を飲むような美しく、そして日差しのように柔らかな癒し。
対して闇は、静かな癒し。夜の眠りのように穏やかで、落ち着くような癒しだという。
闇と言うとあまり良くないイメージがあったが、この本ではとても肯定的である。
確かに闇が無ければ光もないし、夜の暗がりは安らげる。
闇の癒しも素敵だ。
まぁ、そこは大して重要でもないだろう。知識として保管しておく。
どうやら魔力は、強くなればなる程、それに耐えうる器が必要になるという。
器というのは肉体もそうだが、精神力が大きい。精神力さえ何とかなれば、肉体はギリギリの所で耐えられるそうだ。
その為、小さい子供は強い魔力を保持しているのは難しいらしい。
だから、大人になっても大きな魔力を持っている者は本当に少数なのだろう。
その魔力を持つにふさわしいのか、子供の内に見極められているようなものだと私は解釈した。
逆に、器が大きくなれば魔力もさらに増える。
つまり、精神力を鍛えて、正しい使い方ができるようになり、また肉体も成長してしまえば魔力を高められるのだ。
魔法はいざと言う時に役に立ちそうだわ。
取り敢えず死なないと仮定して、もしアンジィに何かあっても、私が魔法を使えれば助けることが出来る。
一緒に国外追放とかも良いのかもしれない。そこでも使えるだろうし、魔法があれば処刑とかもどうにか出来る気がする。
……魔法を極めてみようかしら。
ただ使えそうだから、という理由だけではない。
やはり私も魔法に憧れくらいあった。
前世で魔法が使えれば、と、何度考えただろう。
新たな目標が出来た。これも一応健康に繋がるが、魔法を習得する。
「ふふふっ」
「お嬢様? 何か良い事でもございましたか? 」
怪訝そうなメイドに尋ねられた私は首を横に振る。
「何も無いわ。ただ、なんだか楽しくて幸せだと思ったの」
この世界に生まれてきて、こうして記憶を取り戻して、辛いこともあるけれど、とても幸せなのだ。
そしてこれからの事を考えると楽しくなる。
今世こそは楽しむのだ。
「まぁ。それはいいことですわね。お嬢様が楽しそうで幸せな事は、私達メイドの願いでございますもの」
「うふふ。ありがとう。あなた達にも本当に感謝しているわ」
取り敢えず熱が治まったら。まだ属性などは発覚していないが、明日からほんの少しづつ魔法に慣れていこう。
そして体力も付けるのだ。
「ふぁ……」
そのためには早く寝て治さなくてはならない。
「おやすみなさいませ。お嬢様」
ふわりと掛け布団を掛けてくれるレリアに、本を退けたりなどの身の回りをしてくれるメイド達。
優しい空間の中で、彼女たちに感謝しながら私は眠りに落ちていった。
作者も魔法使ってみたいです。お空飛びたいです。
今回もお読みいただきありがとうございます。
反応頂けたら今回は放棄に股がってジャンプします。
お空を飛ぶ気持ちになります。
毎回毎回お読みいただき本当にありがとうございます




