僕の道、君の道
魔王と特訓を始めてから、3日が過ぎた。
魔王と共に魔王城についてすぐに、人が来たコトを魔王の従者が告げた。
「さて、勇者様の登場だ。俺は裏に引っ込んでるから、後は任せるぞ。勇者は仲間になんてならねぇコトは忘れんなよ?」
魔王は僕の肩をトントンと叩くと、奥へと消えて行った。
直後、バン!という大きな音と共に小柄な少女が謁見の間に飛び込んで来た。
「魔王!飛鳥を返せ!」
僕はスッと、茜の前に立つ。
目を閉じて、覚悟を決める。
茜の期待を裏切り、茜を叩きのめす覚悟を。
「茜。僕にはやらなきゃ行けないコトが出来たんだ。だからここで、茜には帰って貰う。前回の戦いで、茜が本気じゃなかったコトはわかってる。僕を殺してしまうコトを恐れて本気を出せなかったんだよね?でももう、僕は負けない。本気でおいで。」
僕の刀が、茜を見据える。
茜もまた僕の瞳を見つめ、刀を抜いた。
「飛鳥、貴方は騙されてるの。魔王はいい奴なんかじゃないわ。魔王は嘘つきよ。」
確かに、魔王は嘘つきだ。
それは神も同じで、僕も同じだ。
「誰もが嘘をつくものだ。生きていくためだったり、自分に都合を良くするためだったりするけど…。それでも、僕は神を信じないコトにした。」
僕と茜が同時に踏み出す。
常人には見えないような速度。
刀と刀がぶつかり、鈴の音のような綺麗な音が鳴る。
「神が正しいとは言わない。けどね、私はあの人を信じる。嘘ついてるなんて、思えないんだもん。」
茜が僕を真っ直ぐに見据えて言う。
言葉に力がある。
「なら、茜はどうすべきだと思うの?元の世界には、普通の方法じゃ帰れない。魔王を殺したら、それで世界は平和になるの?平和になったら、どうなるの?人はその平和を享受し続けられると思ってるの?」
また、刀を交える。
僕の言葉が、茜に届くようにと。
「帰る方法は、もしかすると、探せば見つかるかもしれない。作るコトが出来るかもしれない。それに、帰れないと決まったわけじゃ無い。それに、人を幸せにできる。それの何が悪いの?」
確かに、その可能性もある。
でも、僕の推理が正しければ、この世界はもうすぐ滅亡する。
「そうかもしれないね。でも、茜はどうするの?あそこでも、君は体感したはずだよ?凄すぎる人間は、異端として、世界から弾かれる。」
茜はその高すぎるスペックによって、苦しめられて来た。
誰も辿り着けない。
故に、子供のグループという社会に弾かれた。
「それでも、私は人を幸せにするコトが出来る!それなら、少しくらい構わない!」
鍔迫り合いに持ち込んだ俺は、思いきり刀を振るって、茜を叩きとばす。
「それでも、泣いていたのを僕は知ってる。」
壁に叩きつけられた茜が、カハッと息を吐き出す。
血が地面へと落ちた。
「世界が平和なら、それでいい!」
僕と茜は違うのだ。
茜は世界を見ている。
僕は、茜を幸せにするコトしか、考えていない。
「僕は、君が苦しむのに耐えられない。だから、僕は君を幸せにするために、神と戦う。だから、もう寝てよ。」
俺は、本気で刀を振る。
『鎌鼬』
何十もの風の刃が、茜を襲う。
バタリと倒れた茜の体から血が流れて、地面を赤く染める。
僕は茜に近付いて、跪く。
回復魔法を掛けてから、僕は茜の頬を撫でる。
愛おしい思いは、あれから変わっていない。
気絶している茜に、そっと口付けをした。
「魔王、初めよう。
僕達の神殺しを。」
少し、展開を急ぎ過ぎてる気がします。
下手をすれば、次回で終わりそうです…。




