表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アポロンと悪の指輪  作者: キルビー
第二章 冥府の王と黄金の戦士たち
8/10

第七話 無念と覚悟と

 シン一行は地下都市アリーシアへと侵入していった。


 ここまで来るのに数々の困難が待っていた。


 シンが草や木の枝だらけの体で、手を使って振り落としながら言った。


「いやー……あそこの落とし穴とか聞いてないぜ!」


 そしてテレストも言った。


「さらには道間違えたりな……!なあソロン!」


「べ、べべべべつに道をま、間違えたわけじゃなくて、た、ただ覚えてなかっただけだよ!」


 ソロンはかなり動揺しているが、ソロンは嘘をつけない性格なので嘘をついていたら一目瞭然だ。


 シンは気を取り直し、つばを飲み込み言った。


「ここが地下都市アリーシア……!」


「ここにいるんだろ?ハーデスは」


 テレストも口を出し、暗いため松明をつけた。


「なんだか不気味だな……」


 シンが少し怯えながら言った。


 ソロンが懐かしむように言った。


「なんだか……前と変わっちゃったね。でも少し昔の原型が残ってるみたい」


 すると、どこからともなく男の声がした。


「誰だお前らは!」


 謎の人物は弓を使って攻撃してきた。


「うわっ!!なんだ!急に!」


 シンは驚いてなんとか避けた。


 テレストは剣を使い弓を弾いていった。


 攻撃を避けている最中ソロンがなにかに気づく。


「この弓矢……この模様は……」


 さらに続けてソロンは大声で言った。


「ねえ!覚えてる!?ヘラクレス!ソロンだよ!ユーノーソロン!」


 その言葉を聞くとヘラクレスなる人物は攻撃をピクリとやめた。


「ソロン……?ソロンなのか……?」


 テレストがソロンに言った。


「ソロン。こいつは一体どういう関係だ?」


「えっとね、昔同じ場所で働いてたヘラクレスだよ!」


 続けてソロンが言った。


「ヘラクレスは昔から弓の扱いがうまくて、自分専用の弓矢を使ってるからわかったんだ」


 ヘラクレスも懐かしむようにソロンに向かって話しかけた。


「ソロン……帰ってきたのか本当に」


 そこにシンが割り込んでヘラクレスに質問した。


「感動の再会ってところで悪いが、この地下都市で何が起きてるんだ?」


 するとヘラクレスはゆるんでいた表情がまた堅くなり、暗い顔で話し始めた。


「ここでは、ハーデス率いるウーラノス家が完全に支配していて、俺達は奴隷として働かさられていた。

 これはソロンがいたときからそうだったんだが、事態は悪化するばかりだ」


 ヘラクレスは暗い表情のままさらに現在の状況を話していった。


「この地獄は昔からずっとあったんだ。ある日を境に平和な俺達の村はハーデスがやってきて……壊滅した。家族を失い、仲間を失い、家を失い……

 村の者たちは戦えないし、誰もこんな地下深くには助けに来ない」


 いつも明るいソロンでさえ顔が一気に暗くなった。


 ソロンにも思い出したくない過去があるのだろう。


 暗い雰囲気を持ったままシンが言った。


「言え……」


「えっ……?」


 ヘラクレスは困惑した。


「言うんだ。ハーデスの場所を。あいつを叩きのめしてやる。俺達の手で」


 ヘラクレスは動揺した。そしてそれが無茶なことも十分わかっていた。だが、このシンという男の覚悟を無駄にはしたくなく、ヘラクレスは言った。


「ここから真っすぐ進んで少ししたら村が見える。そしたらその村の中心に大きな城がある。そこにやつとその仲間たちはいる」


 ソロンが口を出した。


「ヘラクレス。もうこんな地獄からは解き放たれるよ、やっとね……」


 ヘラクレスは積年の思いを、感情を抑えきれず、涙となって出てしまった。


「もうここから解放されるのか?暗い地下から太陽を、光を見れる日は来るのか?」


「大丈夫だよヘラクレス。心配しなくてもこいつらめちゃくちゃ強いから!」


 ソロンがようやく歯を見せて笑った。


 シン、テレストの背中からはヘラクレスの思いを背負い、何かを覚悟する強い心が感じられた。


「テレスト……あいつらぶちのめすぞ」


「ああ、了解だ」


 二人の影は次第に強くなっていく。


 ヘラクレスの、いや、地下都市の村人たちのすべての思いを背負って。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ