第132話 魔族の気配
店を出て、ロアンの姿を探す。アイツもいろいろ見回ってる。どこに向かった?ギルドに行くか?ヒースやアランなら、何かしら掴んでいるかも…。少し考えた後、ギルドに向かおうとしたところに、アランとロアン2人の姿を見つけた。
「アラン!ロアン!」
呼びかけに気付いてこちらを向いた。
「どうしました、そんなに慌てて…?もしかして、私らのどっちか、探してました?」
「あぁ、探すよりギルド行こうかと、走り出すトコだったよ」
「で、そんなに急ぐ御用とは…?」
「一連の『不届き者』の話しだ。もう一度、状況を聞いてみようと思ってな。捕らえたヤツらに変わったこと、不自然なところなんかはないか?どんなに些細でもいい。気付いたことを教えてくれ」
アランが察して、
「まさかマモルさん、じゃない、エクランド公は、また『魔族』の仕業だと…?」
察してくれるとありがたいね。話しが早いから…。
「いや、だから『マモル』でいいって…。なんか、そんな気がしてな。確認だけでもしておかないと、ゾワゾワして落ち着かん」
「正直、捕らえた者の大半は、自分のしたことを覚えていないとか、ぼ〜ッとしてることがあったりと、私たちも違和感があるんです。でもやったことは事実なんですよ?目撃証言も多くありますし…」
憑依して騒いで抜けた…か?『天邪鬼』みたいだな…。アレも『魔族』か?いずれにせよ、なんかヤバい気がしてならんな。ゾワゾワと全身総毛立つ感じが収まらん…。町を守るため、結界張るか…。帰ってからルナとタマモに相談してみるか。
「そうか、状況は理解した。何かできることがないか、考えてみる。2人も何か新たな情報だったり、気付いたら連絡くれ。しばらくマリアたちと一緒にいるから」
と伝えて、マルタの店に戻ることにした。
「えっ⁉︎ 領主館に…」
「…戻らないんですか?」
「今まで留守にしてたんだ。少しくらい嫁さん孝行させてくれや。それに何も領主館にいなくても、できることや、やることはいっぱいあるよ」
と言い残し、マルタの店に向かった。彼らの仕事は早い。何らかの情報は仕入れてくれるだろう。
店でマルタに説明して、早めに店を閉めた。最近、弟子の子も店を手伝うようになったらしいが、たまたま今日は不在だそうだ。
「マリアから指輪の土台、受け取った?」
「うん、結構いっぱいね。あの子、彫金で気持ちを紛らわせてたみたいよ?」
「それに魔石嵌めて『魔除けのリング』を作ってみてくれ。最終確認はルナとタマモにお願いして。できたら弟子の子に1つ渡して」
「やっぱり『魔族』?」
「確信はないけど、かなりヤバい気がする…。家族とその関係者には、類が及ばないようにしておきたいからね」
「わかった。帰ってからもいくつか作るわ。明日店で、なんて言ってたら遅くなるからね」
と話しをしながら歩いてたら、いつの間にか家に着いた。
「「ただいまー」」
「マモル〜、先にお風呂入っちゃって!その間に準備が全部終わるから!」
納屋に行き、着替えを準備して風呂に向かった。するとルナが、
「背中、流すね」
と言いながら、一緒に脱衣所に入ってきた。どうやらみんな合意できているようだ…。
風呂場に入ると、バスタブに湯が張ってあった。ルナの姿は、胸と腰に布を巻いている。わりと薄手の布だから、濡れると透けて、かえってエロく見えるな、これは…。
「今日、一緒に寝るか?」
と聞くと、コクリと頷いた。お互いの背中流して、湯船に浸かり、温まったトコでお風呂タイム終了。ムズがるウチの『ムスコ』には我慢してもらった…。
脱衣所から出ると、なかなか豪勢な食事が用意されていた。大きめのグラスにはエールが注がれていて、注いだばかりか、泡もキレイな状態だった。
「マモルの帰宅と、任務の成功、突然の領主就任のお祝いね。領主就任がおめでたいかはわからないけど…」
「大きな声では言えないが、領主就任はめでたいとは言えないな…」
「まぁ、無事に帰ってきたから…。じゃあ、カンパ〜イ‼︎」
「「「「カンパ〜イ!!」」」」
冷えたエールがノドを刺激する。目の前に、家族の笑顔がある。みんな、喜んでくれている。いや〜、癒される。家飲み最高!
◇◇◇◇◇
マルタが部屋から、いくつか指輪を持ってきた。
「ちょっと前から作っていたのよ。ルナとタマモ、これが『魔除け』になるか、ちょっと魔法陣見てくれる?」
「「は〜い」」
と2人で見始めた。すると、
「これはここがつながってない。コッチは大丈夫…」
などと振り分け始めた。結局、11個中、OKなものは7個だった。手作業の割には、歩留りは悪くない気がする。が、マルタは納得できないらしい。ダメだったモノについて、どこがどうダメなのかをキッチリ確認していた。一番できのいいモノも確認して、それを弟子に渡すようだ。
マリアたちの手料理を腹いっぱい食って、エールを飲んで、いい気分になっていた。グラスを持って、いつもの通り納屋の前でタバコを吸った。久しぶりに感じる充足感。正直、現実逃避気味になっていた。気が付くと、いつの間にかルナが隣にいた。
「いつの間に来たんだ?気付かなかったよ」
隣に座り、頭をワシの肩に乗せた。
「ずっと、そばに居させてね?お館様のトコに行っても…」
「そうだな。ルナとタマモは、これからもまだまだ一緒にいられるからな」
そのまま軽くキスをして、ルナを伴って納屋に入り、2階に上がる。久しぶりの自分のベッドにルナと雪崩れ込んで行った…。




