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第130話 エクランド公として

 みんなで宿から出て、王都の有名な食堂で昼食を摂ることになった。食堂というより、レストランと言った方が合っている。そんな、若干高級っぽい店に入った。王都での評判はいいらしい。


 確かに評判通り、美味かった。ロアンとミーシャ、そしてカレンも喜んでいた。そんな姿を見ながら、エイサム公も優し気な笑みを浮かべていた。


 昼から結構な量を飲み食いして、満足して店を出た。エイサム公は王宮の部屋を借りているため、そこに帰る。王宮近衛がいるところまでお送りして、宿に戻ることにした。


「マモル殿、いつエクランドに戻りますか?」


「ノンビリしたいのですが、そうも言っていられないと思います。明日朝、エクランドに向けて出発したいと思っています。エイサム公はいつまでこちらに?まだしばらくいらっしゃるなら、アレックスにこちらに来るように指示しましょうか?」


「そうしてもらえると助かりますね。まだ5〜6日はいますので」


 エイサム公と別れ、宿の近く、街の中心部に戻った。明日からの帰路のための馬車を予約して、買い物やら何やら…。その後、宿に戻った。


◇◇◇◇◇


 翌朝、予約した馬車に乗り込み、エクランドに向けて出発した。王都からエクランドまでは以外に近く、歩きでも夜には着いてしまう。それなのに馬車を使うのは、少しでも早く帰りたい、その一心だ。

 小休止を挟みながら、エクランドに向けて移動した。何度目かの小休止の時に、エクランド騎士団の一団に遭遇した。


「何かあったのか⁉︎」


ロアンが声をかけた。


「副長!マモル殿!団長の命により、お迎えに上がりました!」


どうやらワシらを迎えに来ていたらしい。随分と手回しがいいな。


「馬があるな。早馬を頼む。アレックス、団長に伝言を頼みたい。至急王都への出発の支度をして、王宮のエイサム公の下に行くようにと伝えて欲しい」


「はッ‼︎ 承知しました!」


馬上の騎士は馬の向きを変えて、エクランドに向けて走り出した。あっという間に姿が見えなくなった。残りの者は馬車の回りで護衛の任に就いた。


◇◇◇◇◇


 マリアの家では、店に行ったマルタを除いて3人が、ワシの帰りを待っていた。マリアがテーブルに突っ伏して、


「いつになった帰ってくるのよ〜。しかもエイサムの部族の女の子連れてるって…。どういうことよ…。途中まで行こうかしら…」


「マリアは心配性だなぁ…。でも行き違いにならない?」


「街道を真っ直ぐに行くだけ、一本道よ。騎士団に聞きに行こうか?」


などと話をしていた。結局、家にいてもすることがないから、騎士団の詰所に向かうことに…。


 騎士団の詰所には、まだ馬は戻っておらず、ここもわりとノンビリしていた。アレックスは、万が一、というか、エイサム公に呼ばれることをわかっているかのように、ロアンに向け、引継ぎの資料を揃えていた。そこにマリアたちが到着した。


「団長さん、こんにちは。マモルたちがいつ帰るか、聞いてませんか?」


「マリアさん、こんにちは。何もわからず待つのは辛いですよね。でも今のところ、我々にも何の情報もなくて…」


とその時、騎馬が戻ってきた。


「団長!あっ、マリアさん。マモル殿はもうじき到着しますよ。で、団長。そのマモル殿から伝言です。『急ぎ王都への出発の支度をして、王宮にいるエイサム公の下に参じるように』とのことです」


「わかった、支度しよう。その前に今詰所付近にいる小隊長クラスを呼んでくれないか」


状況を理解したのだろう。アレックスは転属の話を伝えるため、小隊長クラスを集めた。マリアたちもいるところで…。


「たった今、エクランド公マモル殿からの指示が届き、私はこれより王都に向かう。そこでエイサム公となられたザガン殿と合流して、エイサム領に赴任することになると思われる。そこでの役割はわからん。エイサム騎士団の団長は、副長が昇格したはずだからな。おそらくは、エイサム公ザガン殿の近衛となるんだろう。

 今後のこの騎士団の団長には、ロアンが昇格することになると思う。今ロアンがマモル殿に同行しているのは、その話を兼ねた護衛の任だ。みんなでロアンを助けてやってくれ。そして、新たなエクランド公である、マモル殿とエクランド領をお守りして欲しい。よろしく頼む」


アレックスが小隊長たちに向かって頭を下げた。皆が拍手をして、団長を送り出した。アレックスは詰所を出て、自室での準備に向かった。マリアたちは突然ことで詰所から出ることもできず、他の詰所にいた団員とともにアレックスを見送った。


「もうすぐ帰ってくるって!ここで待とうか?」


「マモル殿は一度、領主館に入ると思いますよ?でも、荷物などもあるでしょうから、すぐにご自宅に戻ると思います」


領主となり、いろいろすることも多いのだろうし、ギルドなどにも寄るのかも知れないと察し、結局、マリアたちは買い物をしてから、家で待つことになった。


◇◇◇◇◇


 ワシら一行は、護衛の騎士たちに守られながら、エクランド領の端に差し掛かった。もうすぐ領主館が見えてくるはずだ。今回初めて、長期間家を空けたな…。マリアが怒ってなきゃいいが…。マリアたちが騎士団詰所にいたことなど、知る由もなかった。


 領主館が見え、多少ホッとした。執事始め、メイドや庭師などと顔を合わせ、今後、主人として世話になる旨を伝えた。


 執事からはザガン殿からの引継ぎの書類や資料の話しが出たが、後にさせてもらった。それよりミーシャとカレンの姉妹の部屋を一時的に用意してもらい、しばらくの間、そこを使ってもらうようにした。


 執事に、詰所に寄って、騎士団に指示等を出した後、一旦自宅に戻ることを伝えた。カレンにも同じことを伝えてあった。


 移動のための馬車が準備され、ワシ1人で乗り込んだ。ロアンは先に詰所に向かっている。


 詰所に着くと、ロアンを始め、小隊長と団員たちが詰所前に整列した。


「え〜、既に知っていると思うが、この度エクランド領の領主を仰せつかったマモルだ。中には何度か行動をともにした者もいるだろう。今後、よろしく頼む。

 元々は、ハンターだった。こんなことになるとは、想定外もいいところだ。

 知っている者もあるかと思うが、団長のアレックスは、ザガン殿の要請により、王都経由でエイサムに赴任することとなった。エイサム公になられたザガン殿の近衛として、だ。後任の団長はロアンに任せたいと思うが、異論のある者はいるか?」


有無を言わせないわけではない。知らなかった者もいたようで、多少のざわつきはあったものの、状況を把握したらしく、すぐに収まった。


「ロアンの団長昇格には異論なし、でよろしいか?副長の任命については、ロアンに一任しているが、念のため、小隊長以上で話し合うように。

 この後、ハンターギルドと商工ギルドに立ち寄って挨拶して、一度自宅に戻る。領主館に住うのは……。おそらく次の休日あたりだな?

 まぁ、なんだ。さっきも言ったが、ワシが領主になろうとは、ワシ自身が思ってもいなかった。『エクランド公である!』などと偉ぶるつもりは毛頭ない。それどころか、いろいろみんなに教えてもらうことの方が多いだろうな。すまんが、その時はよろしく頼む。以上だ」


と締め括り、待たせていた馬車に乗り込んだ。次の立ち寄りはハンターギルドと商工ギルドだ。ヒースが部屋で話そうなどと言い出しそうだが…。

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