∞ 7
二人が洞穴から出ると、果歩が海へ入ってきた。
「馬鹿!」
果歩は蓮ではなく、凪の頭を叩いた。
叩いてから抱きしめた。
「痛い」
「痛くしたの!」
「お母さんが?」
「そうだよ!」
「どうして」
「知らない!」
果歩は泣いた。
徹も泣いていた。
「何でお父さんも泣いてるの」
「お父さんは、すぐ泣くんだよ」
「病院でも泣いたよね」
「覚えてないだろ」
「おばあちゃんが言ってた」
理恵が凪の濡れた髪を拭いた。
「私、そんなこと言った?」
「おばあちゃんじゃないおばあちゃん」
凪は右手を開いた。
赤い球が一つ載っていた。
蓮が洞穴で拾ったものとは別だった。
「二個あったの?」
蓮が訊いた。
「一個だよ」
自分の手を見ると、蓮が拾った球も残っていた。
かなえが近づき、二つを受け取った。
「これで八つ」
「もともと七つだったでしょう」
鴨田が言った。
「計算が合いません」
「合わないなら、どこかで一個なくなったんでしょう」
「増えた可能性は」
「スポンジは繁殖しません」
「では、どう説明を」
かなえは八つの球を両手に分けた。
「説明するために、拾ったわけじゃありません」
砂浜に置かれたロープが、二つの輪を作っていた。
一方の輪の中に蓮が立ち、もう一方の輪の中で、果歩が凪を抱いている。
二つの輪は、中央の結び目でつながっていた。
真紀がそれを見ていた。
何も言わなかった。




