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妻よ、お前は誰の子を産んだんだ――DNA鑑定が暴いた七年間の嘘  作者: ledled


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サイドストーリー:澪の母・木村節子の視点

娘が離婚した。


澪が実家に戻ってきた日、私は黙って部屋を用意した。何があったか、詳しくは聞かなかった。澪の目を見れば、全部聞かなくていい、と思った。あの子の目が、私が見たことのない種類の暗さを持っていたから。


翌朝、お茶を飲みながら、澪がぽつりと話し始めた。


全部聞いた。浮気のこと。DNA鑑定のこと。颯太のこと。


聞きながら、私は何も言えなかった。怒る気力も、慰める言葉も、全部どこかに消えてしまった。


娘が、そんなことをしていたのか。


渉さんは真面目な人だと思っていた。几帳面で、口数は少ないけど誠実で、澪のことを大事にしていた。あの人が悪かったとは、どう考えても思えない。


悪いのは、澪だ。


親が言うべきことじゃないかもしれない。でも、事実がそうだから仕方がない。澪が渉さんを騙して、颯太を托卵して、それでまた浮気をして、全部バレた。


どこで間違えたんだろう。


子育てに失敗したのか、と思った。でも、それは私の傲慢かもしれない。澪は大人で、自分の選択に責任がある。私が何をしたかしなかったかは、関係ない。


ただ、胸が痛かった。


----


颯太ちゃんと航ちゃんが渉さんのところにいる、と聞いた時は、正直ほっとした。


颯太ちゃんは血がつながっていないのに、渉さんが引き取った。それは渉さんの強さだと思う。あの人は、最後まで子供たちのことを優先した。


澪は「颯太のこと、お願いします」とSMSで渉さんに送ったと言っていた。


それだけ送って、何になるのか。と思う気持ちと、それでも送るしかなかった澪の気持ちを想像する気持ちが、入り混じった。


月に一度、子供たちに会えると聞いた。渉さんが許してくれているらしい。


それだけの人だ、渉さんは。あれだけのことをされても、子供から母親を取り上げるようなことはしない。


----


澪は今、少しずつ立ち直ろうとしている。


仕事を探し始めた。部屋の片付けをするようになった。少しだけ、表情が戻ってきた。


でも、颯太ちゃんと航ちゃんの名前を出すと、まだ目が揺れる。


子供たちに会う日の前夜は、必ず早く寝る。会う日の朝は、きれいに支度をする。それだけが、今の澪の一番大事な時間なのだと思う。


私にできることは、ご飯を作ることと、澪が話したい時に聞くことだけだ。


渉さんには、一度だけでも謝りたいと思っている。でも、謝りに行く資格が私にあるかどうか、分からない。


渉さんとあの子たちが、ちゃんと生きていてくれることを、毎朝仏壇に手を合わせながら願っている。


それが今の私にできる、唯一のことだから。


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