最終話 そして、再び戦場へ
オレはユリシアとの
再会を喜んでいた。
「ユリシア、
新たなヴァルキリーの誕生を
祝福するわ」
ユリシアに向けて
フレイヤは微笑む。
「担当はそのまま
ヒメジマにつくといいわ」
「ありがとうございます!!
フレイヤ様!!!」
意外だ。
ユリシアが敬語を使っている。
分はわきまえてるんだな。
「えっ!!ピノちゃんは!!?」
「まあ、本当は
左遷しときたいんだけど
ヒメジマから離すと
何しでかすか分からないから
そのままついときなさい」
「はーい♡」
ピノが可愛らしく手を挙げる。
いや、まて
この2人のヴァルキリーが
オレに付くってことは
これとんでもない事に
なるんじゃ……
すでにピノとユリシアは
目線をバチバチとあわせていた。
フレイヤが意地悪くそれをみて
笑っていた。
確信犯だ……こいつ。
「さて、ヒメジマ、
次の世界に行っても
貰います」
フレイヤが指をパチンと鳴らすと
光の粒子と共に扉が現れる。
この扉をくぐれば
次の世界という事なのだろう。
理不尽な戦いの世界に
舞い戻ることになる。
「ヒメジマさん…」
目の前に現れたのは
ザムザだった。
「お前、どうしてここに…」
「ピノとフレイヤ様に頼んだんだ
どうしても最後に話をしたかった」
「そうか…」
初めて会った時とは違いその目には
強い意志が宿っていた。
「僕は自分の意思で自分の身体に戻るよ
魔王を倒したら自分の身体に戻る
約束だったもんね」
オレは頭をガリガリとかく
「ワリィな、
お前の身体の片腕なくなっちまった」
「いいさ、アナタと会えた事に比べたら
片腕くらい安いものだよ」
ザムザはニコリと笑った。
「一つだけ。
どうしても、
伝えておきたかったんだ
アナタを見ていて思っていた事」
ザムザはしっかりとこちらを見る。
「ヒメジマさんは
自分の弟さんを失った事で
自分自身を許せていないんじゃないかな?」
「ヒメジマさんは誰かを失う痛みを
恐れているように見える。
だからあんなに自分が傷ついても
結局戦場に向かうんだ」
そうかもしれなかった。
自分自身すら気づかなかった行動原理。
それをいま初めてザムザによって
告げられる。
「もう、自分を許してあげたらどうかな?
アナタの姿や行動を見て
大事な者を守れない
人間だとは誰も思わないよ」
「ああ、ああ……」
オレは涙が溢れだす。
まるで、弟に言われているようで
オレの生き方の本質は贖罪であった事に気づく。
コイツには泣かされてばかりだな。
「ヒメジマさん…
たくさんの希望をありがとう」
「さすが、僕の勇者様だ」
オレとザムザは力強く抱きしめ合った。
もう会う事はないからだ。
「僕が自分の身体に戻ったら
まず、魔王軍と和平する」
「これからは平和な時代を築くよ、
憎しみの連鎖を終わらせるために」
ザムザは手を差し出す。
オレはその手をしっかりと握る。
その手は次の世代へのバトンだった。
「頼んだぞ!!!!」
「うん!!!!」
ザムザは力強くうなずいた。
オレは扉に向かいその扉を
開いた。
次はどんな世界だろうか?
だが、不安はない。
ユリシアがいる。
ユリシアが手を伸ばす。
光の粒子が溶けるように、その指先が触れた。
彼女と共にいれば
オレはどんな理不尽でも
立ち向かえる気がした。
だってそれが
人間なんだから。
結局、戦いからは逃げられない。
それでも――行こう。
ーーー戦場の喧騒が聞こえた。
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