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47話 死の河

驚くべき事に

魔王軍は約1ッか月に渡り

オレ達の進軍を無視し続けた。



魔王軍は逃げに専念し

相変わらず焦土作戦を

続けていた。


人類圏の半分の領土の

奪還を成し遂げていた。



大幅な増強により

新兵も多かった王国軍は

規律が保てなくなり始めていた。



夜には兵士達が大声で笑い合い

火の周りに集まり

人目をはばからずに

酒を飲み交わしていた。


「国王様も一緒に飲みませんか」

と誘ってくる始末だ。


怒りを噛み殺しながら

丁寧に断る。



もし今、攻められたら

一網打尽だ。


無理に規制すれば反感を買い

アイツは分かっていないと言われるだろう。


明らかな油断と慢心に

誘い込まれていた。


人間というものを

良く知っている手口だ。



つい先日、以前

トガリの件で訪れた

魔族の村を見た。


魔王が投資してまで

繁栄させていた村でさえ

焼き払われていた。



それは、魔王が並々ならない

覚悟で焦土作戦を実行しているという事だ。


そこには一切の情を感じなかった。


そして数日後に

魔王の真意をオレ達は知る事になる。



「なんだ…ここは?」


進軍を続けていた

オレ達の目の前に大河川が

現れた。


オレは空を飛びながらその横に数キロは

あろうかという川に圧倒されていた。


「大陸を分断するタナトス川ですね。

しばしば大洪水を引き起こす

暴れ川です。」


横にいた、アンナ元帥が答えた。


その川の向こう岸に

多数の魔族の敵影が見えた。


重厚な防御陣地を敷き

用意には突破を許さないことが

伺えた。



「大河川防御……

ここを決戦の場に選んだってことか」


大河川は軍隊において

もっとも攻めにくい地形の一つである。



ひゅるるっるっると音が聞こえた。


近くの王国軍の部隊の数十人が

巨石に押しつぶされた。


どうやら投石機も備えた

本格的な防御陣地らしい。


続いて魔族の魔法兵の

魔法がとんでくる。



「総員退避ぃぃいいいいいいいい

!!!!」



それが決戦に向けての

掛け声になった。



それは王国軍にとって

最悪の遭遇戦となった。


こちらは魔王軍に

全くダメージを与えていないにも

関わらず長距離射程の投石と

魔法によって次々と兵達が

死んでいく。


近づくことすら許さない

徹底した防御陣地。


「ぎゃぁああああああああ!!!」


「助けてくれぇええ!!!!」


兵達の悲痛な叫び声が聞こえる。


「撤退だ!!!!!

殿はオレの部隊で引き受ける!!!

命を無駄にするな!!」



王国軍は1ッか月の間、勝利が日常だと

勘違いしてもおかしくない状況だった。


その上で今、武器を持ったその手は

全くもって敵には届かなかった。


日常から突然どうにもならない状況に

置かれると人はどうなるか?



その状況に絶望するのである。




「……まずい」


オレは汗を垂らす。


王国軍の恐慌状態が始まっていた。


例え絶望的な状況でも

士気が高ければまだ戦いになる。


どうにかして兵達にまだ何とかなる

状況だと見せなければ

撤退すらままならない。


オレは自分の部下に命じて

部隊の眼前にタツマキを

横一列に発生させる。


完全な防御は無理だろが

長距離射程の攻撃は

視界が悪いと困難だろう



目くらましの竜巻が立ち、

兵が退く隙を作った。


兵達が徐々に退却を

始める。



「よし!!!!

立て直しができれば…」


しかし魔王軍は

それを許さなかった。


眼前の大河川の向こう岸から

空を駆け抜ける部隊を発見したからだ


「マクシミリアの空挺部隊か!!」



マクシミリア。

魔王四天王の1人。


かつて、王国との防衛戦で捕虜にとったが

実際オレと戦闘するのは

初めてだった。


竜人である彼女の部隊は

タツマキの壁を軽々と飛び越え

逃げる兵士の背中を口からの炎で焼き払った。


それは戦術爆撃と似たものを感じた。



「くそったれが!!!!」


オレがいる限り

制空権だけは絶対に取られては

ならない。


今のオレ達の強みは数と

制空権である事は明白だったからだ。



「マクシミリアの部隊を好きに

させるな!!!!

徹底的にたたき潰せ!!!」


オレは自分の空挺部隊に

命じて防御を試みる。



日が暮れて

やがて、援護射撃も望めない

距離まで王国軍が撤退すると

マクシミリアの部隊は

帰っていった。




王国軍の

被害は甚大であり



この侵攻作戦の

初戦とも言えるこの戦いは

惨敗だった。



タナトス川の向う岸には

焦土作戦を実行されていない

緑の大地があった。



それは王国軍がこの川を

超えなければ真の勝利は

あり得ないことを示していた。

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