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46話 始まりの終わり

動員体制を発表してから

半年間。


王国は魔王領侵攻への

準備が急速に進んでいた。


労働力は増えた人口で

補うことができた。


軍勢もまた然りだ。



軍は250万まで

膨れ上がり

大規模侵攻が

可能になった。


部隊数が多い為

部隊を複数に分けて

速やかに制圧する

分進合撃の戦略を

取る事にした。



そして今、城壁の前に

軍勢を集めあとは号令を

待つのみとなっていた。



その軍勢を上から眺め

オレは感慨深いものを

感じていた。


今までは、ギリギリの防御ばかりで、

攻め込むなど夢のまた夢だった。


だが今、これほどの軍を得ている。


その事実が

国王として心強かった。


オレは演説を始める。


「王国は今

未曽有の危機に瀕している

人口の問題。

食べ物の問題……」


「それらはオレ達が

領土を取り戻せば

解決する」


皆が聞き入っていた。

それは訓練が行き届き

統率を身に着けている戦士達の

証拠だった。



「だが、オレには不安はない。

なぜならこんなにも力強い戦士達が

味方でいてくれるからだ。」



「訓練は辛かっただろう?

よく耐えてくれた。

こちらの期待によく答えてくれた」


「その血も肉も汗も

お前達の誇りであると同時に

オレ自身の誇りでもある。」


王国の兵達の目に強い意志の光が

宿っていく。


「お前達の苦楽を

オレも共に味わおう!!信じろ!!!

お前達の国王は常に最前線にいる事を!!!」


王国兵達の鼓動の音が早くなる。


「後の世に至るまで

今の時代が一番良かった言われる様に

共に伝説を作ろう!!!!!!」



「オレに続け!!!!!!!」



王国兵達が雄たけびを上げ、

それでも熱が冷めやまぬように

地面に足を叩きつける。


空気を震わせるよな

歓声があがり


大地を震わせるような

地響き共に王国兵が

前進を始めた。




そしてその姿を

ユリシアは城壁の上から見ていた。


愛する夫の姿に視線を当てて

一筋の涙が地面に染み込んだ。



「………さよなら」


ユリシアの声は、切なく、

そして消え入るように小さかった。




魔王領に対する王国軍の

進撃は順調だと言えた。


兵士達は次々と占領地を

奪還していく。



魔王軍はすぐに逃げて

抵抗らしい抵抗を

見せていなかった。



次々と王国軍の旗が

掲げられていく。



ただし、拠点となる

場所は破壊され焼き払われており

食料となるものは

残されていなかった。



次々ともたらされる

領土奪還の報に

王国軍は浮足立っていた。



夜の森に分散させて

陣地を作る。


夜間であり

野営陣地あるにもかかわらず

そこに光はともっていなかった。



物音一つ立たないのは

統率が行き届いている証だと

言えた。



司令部のテントに首脳陣が

集まり本日の成果報告と

作戦会議が始まる。



今日だけでも数十キロ単位で

国土の奪還が進んでいた。


しかしその反面で魔王軍との

大規模な戦闘は起きていない。


それどころか魔王軍の姿すら

まばらだった。



「どう見る?アンナ元帥?」


オレはアンナ元帥に意見を聞いた。


「敵は考えうる限りで

最悪の手をうってきました」


「おそらくは軍を温存しての

焦土作戦でしょう。

我々の補給線が伸びきった時に

一気に殲滅を試みるつもりかと」


焦土作戦。


退却や防衛の際、敵に資源・補給を渡さないため

自国領土や都市を焼き払う捨て身の作戦である。


「我々は遠征軍です。

敵の主力を叩き潰さなければ

一時的に領地を奪還はできたとしても

すぐに取り戻されてしまうでしょう」



「そうだな、オレも同意見だ。

今まで経験から

その上で魔王はオレ達の行く手には

罠を張り巡らせているはずだ」



周到な準備が魔王の戦術、戦略の核心だ。

今まで一回もオレ自身はその戦略を真正面から

打ち破れていない。


攻めているのにも関わらず

いつの間にか主導権を取られている。


それは避けたかった。


「進軍のスピードを緩めよう。

進軍が早すぎて補給線が

途切れるのは避けたい」


「また、補給線は盤石に固めろ

敵は絶対にそこを狙ってくる。

オレ達の生命線だからな」


「かしこまりました」


アンナ元帥が頷いた。


上手くいっているように見えるのは

みせかけである。


その実は全く何も成果がないのと

同じ状況だった。


将兵は理解しているだろうか?


オレの心の中に黒い靄のような

不安が遮っていた。


風が、焼け焦げた木の匂いを運んでくる。

その匂いに、勝利の味はしなかった。


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