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43話 戦わぬ罪

オレはユリシアに真実を告げた。


彼女はその後もオレに対する

対応は変わらなかった。


その事にオレの胸の重りは

少しだけ降りたような気がした。


「ピノ、ザムザに会わせて

くれないか?」


『いいけど、

どうするつもり?』


「話しておきたいんだよ

この世界での清算を

しておきたい」



『いいけど

何なるの?

そんな事して?』



「オレがそうしておきたいんだ」


ピノは少し、納得していないようだったが

精神世界に送られた。


オレの身体の持ち主の

精神世界は以前とは違い

草木が生い茂り

生命力溢れるような様相だった。


「久しぶりだね

ヒメジマさん」


ザムザはオレに微笑みかける。


オレは頭をガリガリ頭を掻き毟る。


「すまない。

今度魔王と戦う事になれば

お前の身体はどうなるか分からない」


「勝っても……

この世界とはお別れかもしれない

だから……話しておきたかった」


ザムザは全く気にしていない様に答える。


「別に構わないよ

ヒメジマさんに身体を

預けているんだから文句はいえないかな」


「ユリシアと結婚した時は

ちょっと一回相談してほしかったけどね」


ハハハとザムザは笑った。

無理をしているような笑いではなかった。


「見てみてよ

この世界をヒメジマさんを見ていたら

僕も頑張りたいなと思えた。」


「アナタはきっと意図せずに

人に力を与える存在なんだろうね」



ザムザは少し間を置くと

意を決したように言った。



「けどさ、ヒメジマさんは

それでいいの?」



「アナタは他人の幸せや安全の為に

自分の幸せを諦めているように思う。」


「……え」


ザムザにそんな事を言われるとは

思っていなかった。


「もう、十分人には尽くしたでしょ?

戦わなくてもういい方法を

見つけていかないと

永遠に戦争の呪縛から逃げられないよ」



「ヒメジマさんの周りには

ヒメジマさんに幸せになって欲しいと

ねがってくれる人がたくさんいるよ」


「わかるんだよ。

僕もその一人だから」



ザムザの言葉を

オレは黙って飲み込む。


オレは…

本当はこの世界から

離れたくはなかった。



ずっとずっと自己犠牲の連鎖。


国の為、国民の為に戦って。

死んでからは規模がでかくなって

今度は神々の為に戦って。


どこまで行っても

他人の都合で戦わなきゃいけない。


そして今オレの心は

確実に戦争から目を背けようと

していた。



これでいいのかもしれない


それが正しいかどうかは、もうどうでもよかった。



魔王の王都への

侵攻から半年がたった。


それは、悪夢のような

出来事だった。


「飢饉だって!!!?」


オレは玉座でその報告を

受けていた。


ただでさえ元奴隷たちの

収容で食料の備蓄を切り崩していた所だ。


その上で今年は作物が育たなかった。


最悪の事態である。


アンナ元帥が前に出る。


「現在、この状況ですと

備蓄は一年持たないでしょう。」


「元奴隷の収容の問題も相まって

国民は今、暴動一歩手前まで

来ています」


「魔王領に侵攻し

国土を手に入れるしか

現状を解決する方法はありません。」



アンナ元帥の言う事は

正しい。


それは、戦争から

心が離れかけていた

オレに突きつけられた

冷酷な現実だった。



「わかった。

検討しておく」



「ザムザ国王!?」


すぐに通ると思っていたのか

アンナ元帥は少し

動揺したような声だった。


周りの大臣達にも

動揺が走るのが雰囲気で分かった。



いつもであれば即決断を

下せたのかもしれない。


だが、この半年間で

現実から目を背けるように

なっていた。



オレは隣に座っていた

ユリシアに目を向ける。


「国の大事だ。

すぐに決めることはできまい。

休戦条約もあるのだ。

今日は一旦お開きとしよう。」



アンナ元帥は気落ちした様子で

後ろに下がった。


それとは対照的に

ユリシアは少し嬉しそうだった。

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