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41話 帰還の風

ヒメジマ達は元いた

反魔法陣の場所へと戻った。


月が彼らの姿を照らしていた。

草木の匂いがその場には戻っていた。


「ピノ、大丈夫か?」


ちょうどオレが膝枕をするような形で

介抱していた。


ピノは静かに頷いた。


「トガリ、礼を言うよ。

ありがとう。

お前がいなきゃピノはきっと

あのまま消えていただろう」


トガリは嬉しそうにほほ笑む。


「んで、先輩」


オレは頭をガリガリとかきながら

魔王の方を見る。


「まだ、トガリを許せないっていうなら

ワリィけど相手になるぜ。

コイツにはついさっきの恩があるんでな」


魔王はふっと笑う。


「バカを言え、一度殺した時点で

ケジメを取っている。

それに……」


魔王がヴァルキリーのリアの方をみる。


「私のヴァルキリーが睨み付ける様に

私を見ているのでな。

余計な事はしないでおくよ」


どうやら先輩はトガリを許してくれたようである。


「んで、トガリは王国で迎えようと思うがどうか

もう概念武装の能力はないんだ

問題ないだろう?」



「いいの?」

トガリが以外そうに問う。


「まあ、恩もあるし

元々、自衛隊なんかじゃ

オタクや、どっかの企業の御曹司、ホストなんかもいた

有象無象にはなれてる。

アンタ一人くらい何とかして見せる」


「それに、さっきのフレイヤとの対話を見る限り

アンタを認めない訳にもいかんだろう。

カッコよかったぜ」


オレは親指を立ててトガリに笑いかける。


トガリもそれに応じて満面の笑みを浮かべる。

それは以前の卑屈な笑みより余程ましだった。


魔王もそれで異論はなさそうだった。


ようやく訪れた平穏

しかしオレはふと疑問がよぎる。


「神々のドクトリンね。

オレと魔王の決着がついたら

この世界はどうなるんだ」


「多分、勝った方が別の世界に送らる。

負けた方はわからない。

この世界は継続して次の候補者の実験台かな。

フレイヤ様はめんどくさがり屋だから」


手をヒラヒラさせながら

ピノが適当に答える。


「そうか、それ聞いて安心したよ」


魔王が皮肉をこめた笑みを浮かべる。


「ヒメジマ、私はもう後継者を決めている。

幹部の一部には自分が転生者である事も

伝えてある。」


「お前がどうするかは自由だがな

踏ん切りがつくようにはしておけ」


「勝負をつける時に腑抜けた

お前ではつまらないからな」



魔王は少し悲しげな表情をして

その場を後にした、


全くもって素直ではないが

先輩からの助言だ、


自らの正体を明かす

後継者を決めておくか


全く持って考えた事もなかったな…


……夜風が頬を撫でる。ああ、まだ終わっていない。

――そんな気がした。



トガリがいる為

オレは空を飛ぶことはせず

共に徒歩で帰る事にした。


トガリはこの世界を

作った経緯を

まるで子供の様に

語っていた。


「まあ、けど、

それも、今の魔王になってから

大幅に改革があったから世界は変わって

しまったんだけどね」


笑みの奥にわずかな孤独が見えた。


天気が良く、気持ちがいい風が吹き

美しい自然の中で様々な種族が住む。

何もなければこの世界は綺麗な世界だ。


「けどね…

僕は本当はヒメジマさんみたいな

勇者を描きたかったのかもね」



「どういう意味だ?」


「危険を顧みずに

他人の為に戦って

どれだけ絶望的な状況でも

諦めずに戦う…」



「見ているだけで他人の胸を熱く

させるような…

そんな人物さ」




トガリがあんまりにも

真剣にいうものだから

つい笑ってしまった。


「ハハハハ……

追い詰められた人間なんて

皆そんなもんじゃないかと

思うけどな」


「オレのまわりなんか

そんな奴らばっかりだと

思うぞ?」



『ヒメジマちゃんは

自分が特殊だと思ってないよねー

大抵の人間は潰れちゃうもの

なんだけどねー』



「ヒメジマさんのまわりが

そういう人ばかりというより

ヒメジマさん自身が他人を変えて

いる事に気づいていないだけなのかもね」



「そんなもんかね」



王都の城壁が見えてくる。


オレの姿が見えると

歓声があがった。


久しぶりに帰ってくる

王国だった。



「遅すぎるぞ!

貴様何をしておった!

連絡を寄越せと言って

おいただろうが!!!」


ユリシアが

オレ姿を見るなり

駆け寄ってきた。


そういえば

定期的連絡を入れる約束を

すっかり忘れていたな。


にしても

コイツ王国の入り口で

待っていたのか。


可愛い奴め。


「貴様、何が可笑しいのだ」


ユリシアが眉を吊り上げ、拳を腰に当てた。

けれどその目には、安堵の光が滲んでいた。


オレがなだめる。

オレの日常はここだ。


トラブル続きの毎日に

戻ってきた気がした。


そしてその日々は

魔王との最終決戦に向けて

一歩ずつ進んでいく事を

意味していた。



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