ハッピーエンドへの道
「ごめんなさいッス、真白さん!」
「ゆるす」
コイツは何で謝られているのか、分かっているのだろうか?
鈴音が真白に謝りたいと言うので家に帰って来た。
「ありがとうございますッス!」
「ん」
真白は小さく頷く。
「それで幸一先輩」
「別に幸兄でいいんだぜ?」
「い、嫌ッスよ! あんまり調子に乗らないでくださいッス!」
プンスカしている。まあ、いいだけどさ。
「それで何か解決策があるんスか? 皆が仲良く出来る方法」
「いや? 全然?」
「あれだけ大見得切ってたのに、何スかそれ!」
いや、状況をあれだけ把握していた鈴音と神宮先輩が思いつかない解決策を、何で俺が思いつく事があるんだよ。
「まあ、でも琴音が俺の特別を信じてくれる策ならある」
オッサンの秘伝でも何でもない策が、俺にはある。
「マジっスか」
「おう、マジもマジ。ただ問題は普通にドン引きされて、振られる可能性がある事だな」
「いや、何する気なんスか?」
いたって普通の事なんだけどね。
「まあ振られたら仕方ない。また別の方法でアタックすればいい。それより、真白とお姉さんの問題だろ?」
同じ体に二つの存在はいられない問題。
「それって二重人格的になれたりはしないのか? それなら真白の存在とお姉さんの存在も消えずに済むんじゃないのか?」
「真白さんとお姉さんが同じ体に一緒にいられないのは人格的な問題じゃなくて、真白さんは人間で、お姉さんは神様なんスよ。そもそもの概念が違うと言うべきスかね? 無理に両立させようとすると幸一先輩が真白さんに名前を付けた時と同じ現象が起きるっス」
「要は出来ないんだな?」
「そうッスね」
つまり、お姉さんの存在を真白からまず引き離さないといけないのか。
「真白からネックレスを預かれば真白とお姉さんの存在は引き離されるんだよな」
「引き離されるというか、その場合はお姉さんの存在が消えてしまうッス」
じゃあダメだな。
「俺がお前に幽霊調査として海に行った時、お姉さんが表れたのはどういう原理なんだ?」
あの時も確かお姉さんの存在が消えていたんじゃなかったっけ?
「それは桜貝の力ッスね」
二枚を分け合った二人はずっと繋がっていられる。
「神宮さんって結構すごい神様らしいッスから、桜貝のご利益が高いんスよ」
あの人は確かに凄そうだ。本当かは知らないが悪魔も倒していたし。
「でも、お姉さんの存在はちゃんと復活しなかったんだろ?」
「そうなんスよね……」
記憶もなくし存在が不安定の状態で現れてしまった。
「真白が持ってるけど、今は何で効果があるの?」
別に真白は桜貝を分け合ったわけじゃないのに
「一応、分け合った貝は誰が持っても効果はあるんですよ。持ち主や分け合った時の二人の思いが重要なんで効果はかなり薄くなるッスけど」
なるほど。
「真白さんの場合は、お姉さんとかなり近しい存在なので、存在を繋ぐくらいならギリギリ効果が現れていると言った感じッスかね」
「じゃあ、俺が桜貝を渡した時の、お姉さんへの思いが足りなかったって事か?」
失敗したのは大して二人ともお互いを思っていなかったら。
「いえ、桜貝のお呪いは先輩も知っていたはずッスから、そんな事はないと思うッス」
そんな事ないって言ったって現にそうなっているからな。
「んー一旦、別の話をしようか」
埒が明かない。
「そういえば、俺の記憶がない時に俺が何をしていたか教えてくれないか?」
「それが僕もよく知らないんスよね。幸一先輩が何をしていたかは謎なんスよね」
鈴音も知らないのか。
「じゃあ、俺が桜貝をオッサンに預けたってのはどうやって知ったんだ?」
「僕が喫茶店に行った時に聞いたッス。急に幸一先輩から桜貝を渡されたって」
「あの桜貝、俺が琴音に渡すためにオッサンに渡したらしいんだよ」
「琴姉にッスか? でも、あの桜貝って幸一先輩とお姉さんが分けた桜貝ッスよね? 新しく見つけた桜貝ならまだしも、何で自分の桜貝を琴姉に?」
オッサンが作ったのはネックレスだった。
というか、お姉さんと同じネックレスを俺は選んだのだろうか?
記憶のない時の俺は昔に何があったかも聞いていたはずだ。
だから昔、俺が好きになった相手とのペアルックにした?
いや、そもそも俺は琴音に渡すつもりでオッサンに桜貝を渡している。
お姉さんが着けていたネックレスと同じ物を琴音に……。
これでは柚葉と詩子と―
「あっ、そういう事か」
「何か分かったスか?」
そうか根本から違ってたんだ。
「ごめん真白」
「ん?」
首を傾げる真白。
「お前のそのネックレスやっぱ返して貰うわ」
そしてお姉さんには―消えて貰う。




