ラスボスを倒す裏技
ドアを開けると神宮先輩はいつものようにカーテンを閉め切った教室の机の上に座っている。前に来た時とは違い、手には携帯を持って弄っている。
「今日は真白ちゃんが、いないんだね?」
軽く画面を弄ってから、携帯をポケットにしまった。
「妹に預けてきましたよ」
また暇にさせても悪い。
「それで? どうしたんだい?」
「ラスボスの正体を看破しにきたんですよ」
その言葉に神宮先輩はニヤリと笑う。
「僕の正体はただのオカルト研究会の部長だよ? 知っているだろ?」
知っている。ただそれは表の顔だ。
「先輩俺に嘘を吐いていますよね?」
「さあ。なんの事かな?」
先輩は笑ったままだ。
「真白の事ですよ」
神代真白の事。神代真白になる前の事。
「アイツは―八夜神社の神様なんかじゃないですよね?」
というか。
「アナタが八夜神社の神様じゃないんですか―神宮先輩?」
ビシッと指を先輩の方に指す。決まっただろうか?
「先輩に指をさすものじゃないよ幸一君」
「あ、ごめんなさい」
決まらなかった。
「それより僕が神様なんてありえないよね? それに八夜神社の神様は女神だよ? 見ての通り僕は男だ」
「アナタを神様だと思った理由は色々ありますけど、確信はこれですよ」
一枚の写真を取り出す。
そこには和久のオッサンの隣にセーラー服を着た神宮先輩の顔とそっくりな人物。
「確か先輩に兄弟はいませんでしたよね。それに母親と言ってもありえないですよ、この写真は17年前の写真なんですから」
この写真を撮った当時、先輩が既に生まれていないといけない事になる。
「昔は女だったんですよね? それとも本当は今も女なんですか? 何にせよ、歳を取らないアナタは何者なんですか?」
「……ははっ」
神宮先輩の口から笑い声が漏れだし、
「はははっ! あははははっ!」
ついには溢れ出した。
ひとしきり笑い落ち着くと
「そうか、和久。まだその写真を大事に持ってたのか……」
昔を懐かしむように先輩は言う。
「でもまだ、僕が真白ちゃんと同じ、不思議な存在なだけかもしれないだろう」
本当に神社の女神かどうかは、分からない。
「先輩の正体を看破するとは言いましたが、別に認めてくれないならいいです」
「?」
「確か、先輩は言いましたよね?」
真白を連れてコンビニで会った時にも。
「僕を倒せば全てを教えてくれるって」
俺の言葉を聞いた先輩の目が鋭く光る。
「本気で言ってるのかい?」
「冗談でこんな事は言いませんよ」
目の前にラスボスがいるなら
「幸一君の覚悟は分かった。それじゃあ、ここは狭いし外に行こうか?」
倒さない手はない。
「え? 何を言ってるんですか?」
―但し
「早く座ってくださいよ。僕とファミコンで勝負するんでしょ?」
「はい?」
「言いましたよね今度一緒にしようって。俺も結構―強いですよ?」
裏技を使ってだ。




