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二人きりに

「……にしても、高校生が二人で屋台を見て回るっていうのは幼稚な気がするわね」

「言ってる事と、やってる事がチグハグだぞ」

 幼稚と言いながら琴音の手にリンゴ飴を持っている。

「食べたくなったのよ。こんな機会じゃないと食べられないでしょ?」

「確かにそうだけどさ」

 赤い浴衣に、赤いリンゴ飴。絵になる構図だ。

それに比べ俺は、半分こだと半ば強制的に半額払わされた、たこ焼とお好み焼きが入った袋を両手に下げている。

完全にお嬢様の付き人扱いである。

「しかし凄いわね」

「何が?」

「アンタのチビッ子達からの人気」

「柚葉と詩子の事?」

「いや、あの子達もだけど……道行くチビッ子、みんなアンタに話し掛けてない?」

「そんな事ないだろ?」

 数組くらいだ。

「いや、でも結構な人数が―」

「あっ、幸一兄ちゃんじゃん」

 誰かに声を掛けられる。そこに二人組の女の子がいた。

「よう、恵子と瑞希」

 楽の中学での友達だ。

「あれ? 楽はどうした?」

「んーなんか真白さんと走り出したから抜けてきた」

「真白さんを楽ちゃんの生贄にしちゃったから何か屋台で買って来てあげようかなーって」

 アイツは祭の日でも走ってるのか……真白もご愁傷様で。

「なんかごめんな。ホントに楽と真白を頼むな」

 祭の一日目、真白を楽の友達のグループに入れてくれと楽に頼んだが、無口なアイツが楽以外と馴染めるか心配だったのだが……。

 生贄にされているようだが、これは馴染めているのだろうか?

「楽ちゃんはちょっと手に負えないね」

「真白さんは無口で変わってるしねー」

 二人とも散々だな。

「まあ、幸一兄ちゃんに頼まれるなら仕方ないね」

「二人とも天然で可愛いしねー」

 大人だなお前ら……。

「ありがとな」

「別にお礼を言われる事じゃないよ、じゃ、私達そろそろ行くね!」

「またねー」

 詩織と恵子に別れを告げる。本当にアイツらが楽の友達で良かったなぁ……。

「ほらねっ!」

「うおっ」

 急に大きな声を出すなよ。

「また話し掛けられてるじゃない!」

「楽の友達だから仕方ないだろ?」

「ハァ……」

 溜息をつかれてしまう。

「ちょっと移動しましょう? ここじゃそれ、食べられないでしょ?」

 俺が持っているたこ焼と焼きそばを指差して言う。

「ん、そうだな」

 金魚すくいや射的をしたい気持ちはあるが今日は遠慮しておこう。

 明日、柚葉達と遊ぶ時に思う存分、暴れてやろう。

「じゃあ、どうする? 海浜公園にでも行くか?」

 自然と屋台道から抜ける足取りになっていたが行く場所をまだ決めていない。

 海浜公園は海沿いにある近所の公園だ。あそこなら座る場所もあるだろう。

「それもいいけど、あそこ人が多いでしょ?」

 それはそうだ。近くにある大きい公園はそこにしかないのだから。

 ブルーシートが張られたり、長机が用意されているなど、祭りの間は休憩所の役割を果たしており、酔いどれのおっさんから、走り回る子供達にそれを見守る保護者や小中高生のグループだったり、カップルだったり。

「バカ、そんなとこ行ったら、アンタまたチビ共と遊びかねないでしょ?」

「遊ばねぇよ」

 偉ぶる事じゃないが、俺は柚葉と詩子の誘いを断ったんだぜ?

 本当に偉ぶる事じゃないけど。

「でも、声を掛けられたら構っちゃうでしょ?」

 それは否定できないな。

「だからさ幸一―」

 屋台が並ぶ通りから抜け出し、人混みから開放される。

「二人きりになれるとこ、行きましょ?」

 ハッキリと聞こえた琴音のその提案に

「お、おう」

 動揺丸出しに返事をしてしまう。

 その返事を聞いて琴音は海浜公園の方と別の方向に歩き出す。

 今日の幼馴染は何だか積極的である

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