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【20話完結保証】冷徹な不倫夫にすべてを奪われた研究者の私が、16年前の小さな優しさに救われ、世界一愛されるまで。  作者: 杜英智


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第13話 私を信じてくれる人

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

第13話 私を信じてくれる人


共同研究が始まって一週間。


想像していた以上に忙しい毎日だった。


研究内容は高度で。


求められる精度も高い。


それでも。


不思議と苦ではなかった。


久しぶりに。


仕事が楽しいと思えた。


「藤堂先生。」


振り返ると橘先生が立っていた。


「こちらのデータですが、一度確認していただけますか。」


「もちろんです。」


私は資料を受け取り、その場で目を通す。


「あの……。」


「ここの計算式ですが、こちらの方が精度が上がると思います。」


橘先生は資料を見る。


そして小さく微笑んだ。


「その視点はありませんでした。」


「勉強になります。」


私は驚いた。


世界的な研究者が。


私の意見を素直に受け入れてくれた。


「では、その方法で進めましょう。」


「はい。」


周りの研究員たちも驚いていた。


「あんなこと初めて見た。」


「橘先生が、すぐに意見を採用した。」


午後。


別のチームから相談を受ける。


気が付けば。


私の周りには自然と人が集まっていた。


橘先生は、その光景を静かに見つめていた。


夕方。


全体会議が始まる。


進捗を一人ずつ報告する。


最後に橘先生が口を開いた。


「予定より早く進んでいます。」


「これは皆さんのおかげです。」


そして。


橘先生の視線が私へ向いた。


「特に藤堂先生。」


私は思わず顔を上げる。


「研究だけではありません。」


「全体を見ながら、必要な人へ自然に手を差し伸べている。」


「そのおかげで、チーム全体がよく動いています。」


部屋が静まり返る。


そんなふうに評価されたことは一度もなかった。


「ありがとうございます……。」


それしか言えなかった。


会議が終わる。


研究員たちは歓迎会へ向かった。


会場は研究所近くの少し高級な和食店だった。


仕事の話で盛り上がる中。


若い研究員が小声で話し始める。


「ねぇ。」


「橘先生、また藤堂先生見てない?」


「本当だ。」


「研究以外には興味ない人なのに、珍しいね。」


橘先生は咳払いを一つした。


「……聞こえていますよ。」


その一言に。


場が笑いに包まれた。


私も思わず笑ってしまう。


帰り道。


他の研究員たちは帰宅し、


私と橘先生だけが研究所へ戻ることになった。


研究所まで並んで歩く。


夜風が心地よかった。


「今日はありがとうございました。」


橘先生が口を開く。


「こちらこそ。」


少し歩いてから。


橘先生が、ふと足を止めて私を振り返った。


「今日、一週間一緒に働いてみて、改めて確信しました。」


「あなたは人をまとめる素晴らしい才能がある。」


「ただ研究ができるだけでなく、周囲を安心させる力。」


「……それは、私にはない力です」


私はあわてて首を横に振る。


「そんなことありません。」


「橘先生の方が、ずっと、ずっと凄いです。」


「私なんて必死についていくだけで……」


私が本気でそう言うと、


橘先生は少し困ったように、


それでいてどこか嬉しそうに、


ふわりと目元を緩めた。


「ありがとうございます。」


「藤堂先生にそう言っていただけるなんて。」


「私は、これまで死に物狂いで研究を続けてきて、本当に良かったです」


私は思わず笑ってしまう。


「ふふ、大げさですよ」


世界的な天才が、私の言葉一つでそんな風に喜ぶなんて。


私は思わずクスリと笑ってしまう。


けれど、橘先生は穏やかに、しかし真っ直ぐな目で私を見つめ返した。


「いいえ、本気です。」


「あなたと共同研究ができて、本当に良かったと思っています。」


その言葉に。


胸の奥が少しだけ温かくなった。


誰かに認めてもらえる。


そんなことが。


こんなにも嬉しいなんて。


私は知らなかった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


本作は毎日12時30分に1話ずつ更新予定です。


また、第5話・第10話・第15話・第20話ではイラストを掲載予定です!

ぜひお楽しみに!


「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

ブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります!

次回もよろしくお願いいたします。

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