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第四十ニ話 光を極めし者

久しぶりの投稿です。


「我が願いは、如何なる存在よりも強大である事。我が偉大なる悪魔の神よ、この願い、受け入れ給え!」



 ロズは両手を広げ、眩い光に向かって人目を気にせず願いを唱える。

 そうか、あいつはコアスピリタスを神だと思っているのか。

 いやその前に、ロズを含むこの時代に生きる者が自力でここに辿り着けるなんてどう考えても不自然だ。

 きっとこれはアーキノフが介入して知恵を与えたんだな。

 もしそうだとしたなら、何故ロズに教えたんだ?


 ん? ちょっと待てよ。

 アーキノフは世界を一つにする事が目的だってセシルが言ってたな。

 どうやってそれを実現するか今の所は見当もつかないけど、巨大なエネルギーが必要なのは間違いない。

 なら、魔界のコアスピリタスを手に入れたいはず……。

 何で自分で取りに来なかったんだ?


 ……いや、アーキノフは取りに行く事が出来ない、もしくはこの場所に入る事が出来なかったんだ。

 ロズには悪魔の神だとか、神の力が手に入るとか、適当な事を言っていれば力を手にする為に、必ずやって来るだろうと思ったんだな。



「先生! ロズの奴、あのものすげー魔力を取り込む気だぜ!?」


「うん、分かってる」



 そうだ、とりあえず阻止しないといけない。

 足が地面らしき所に着いた。目の前にはロズの後ろ姿、その向こう側には光の塊だ。



「ロズ!」



 僕の呼びかけに、ゆっくりと振り返る。



「アスト・ローラン。貴様の強さは想像を遥かに超えていた。アーキノフが欲しがっているのも頷ける。念の為に貴様に問おう」


「何だ?」


「我が命を奪いに来たか?」


「お前達悪魔が奴隷にした、人間と魔族を解放しろ。それを守ってくれれば、見逃してもいい」


「せ、先生いいのかよ!? こんな悪い奴、放っておいたら何するか分かんねぇぞ!」


「ふふふ、奴隷の解放か? あれは我が所有物だ。我が作り出した〝モノ〟貴様にどうこう言われる筋合いはない」


「人間と魔族の解放を約束してくれれば、僕もお前を見逃す事を約束する」


「何を寝ぼけた事を……確かに貴様は強いが、今からは違うのだ」



 ぐぅ……光が、眩しい……。

 コアスピリタスが、まるでロズの願いを叶えると言わんばかりに、呼応している。

 光がロズに重なった時、強烈なフラッシュが起こったかと思えば、ロズが悲鳴を上げたんだ。


 人が出すそれじゃない。獣だ。



「グオォォォォォォォォーーーン」


「くっ!」


「魔力がぁぁ……溢れてくるぅぅ……」



 コアスピリタスが、ロズの体の中に入った。

 凄まじい闇の波動と神々しい祝福にも似た光の波動を同時に感じる。

 心としては敵なのか味方なのか、混乱してしまう正義と悪の波動を持つ存在、それが今のロズだった。



 ギャウゥゥゥン!!


 いきなりレーザーのようなエネルギーが放出された。

 でも僕に向けてじゃなかった。



「が……がふ!?」


「リラ!?」



 リラの心臓をレーザーが貫いたんだ。油断していた僕は、何が起こっているのかさえ把握出来ていなかった。

 ゆっくりと地面に倒れていく。僕はすぐに駆け寄ってリラを抱き上げる。



「リラ! しっかりするんだ! リラ!! リラ!?」



 何の反応もない。



「ぐふふ。素晴らしい。今まであれが限界だと思っていたが、ここまで高められるものだとはな。これでこそ魔王!」



 ダメだ……どんどん呼吸が浅くなっていってる。

 肉体を持たない状態で死んでしまうと、リラは……リラの魂は消滅してしまうんだ。



「何としても救わないと……!!」



 憎しみの感情よりもリラの命を救いたい、その感情の方が強かった。それは光の極大励起を最大までに高め、僕の背中には十二枚の天使翼が出現していた。

 頭上には天使の輪。これは……この変化は?



「な、なんだこの眩いまでの光は……? それに貴様のその姿……」



 とりあえずリラを救わないと。僕は自分の中にリラを入れ、傷ついた魂を光の力で癒して行く。

 幸いな事に僕がこうしてる間にもロズはただ見ているだけだった。リラを回収した今、これで心置きなく戦える。



「ロズ、お前は罪のない者を奴隷とし、僕の大切な者まで苦しめた。赦しはしない。この光の力で、お前を消滅させる」



 僕とロズのこの戦いは、ゼクトリアース物語の勇者と魔王の決戦そのものだった。光を纏いし勇者ゼクトリアースは、神々しい光の力で世界を平和にするとあるんだけど、この戦いは勿論僕が勝つ。

 だけどロズと対峙すると何か違和感を感じてしまうんだ。

 

 ロズは間違いなく悪だ。でも、そんな単純じゃない気がしてならない。


 そう思いながらも、邪悪な力を爆発させて僕へと突っ込んで来るロズの攻撃にカウンターを当て、光の力でぶちのめしていく。

 スピリタスコアを取り込んだと言っても、元々の力の差があった僕に敵うわけがない。



 なんだ……何か違和感がある。


 僕がその違和感に気づくのには時間はかからなかった。

 戦ってすぐに感じたんだよ。

 スピリタスコアの波動を……そしてその波動の正体……。



「アーキノフ……まさか……!?」



 そう、全てはアーキノフが仕組んだ罠だったんだ。

 ロズがスピリタスコアへ到達する事、そして力を欲して融合する事、融合したロズが僕と戦う事、全てアーキノフの仕業だった。

 分かるんだ。感じるんだよあいつの魔力、気配を。


 ロズに一撃浴びせる度に真実が分かっていくような感覚で少しずつ感じ取れるんだ。

 そして次の一撃で僕は衝撃的な事実を目の当たりにする事になった。



「な……なんだって……」



 アーキノフの世界を一つにする計画は既に始まっていたんだ。そのキッカケは……僕のこの力だったんだ。





新作書いて見ました!暫くはこっちを連投していく予定です↓


追放された僕の下に女神が舞い降りた〜剣聖スキルを勇者に捧げたら、ただのデブは不要と言われ追放されたが、女神に結婚を申し込まれ、神として生きて行く事になりました。今度は僕のターン、追放返しだ〜


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お読みいただきましてありがとうございました!

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