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「うちの猫、夜になると人間と戦ってます』 ~ルーン魔法とタロットが導く、猫と犬の異世界戦記~  作者: 雨宮ぐみ


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第7話 タロットが示す二つの道

第7話 タロットが示す二つの道


黒ローブの男が消えたあと。


古代ルーンの聖域には、静かな時間が戻っていた。


「……逃げられたな」


ガルが周囲を見回す。


「でも、今回は追わなくて正解だったと思う」


ミレイが答えた。


レオンは、先ほど男が消えた場所を見つめていた。


「次に会ったときは、もっと強くなってないとな」


「その前に――」


ミレイがタロットカードを取り出した。


「この先を決めましょう」


「この先?」


「聖域の奥には、二つの道があるの」


三匹の前には、いつの間にか二つの通路が現れていた。


左の通路は青白い光。


右の通路は赤黒い光。


ガルが眉をひそめる。


「どっちが正解なんだ?」


ミレイは首を振る。


「タロットに聞いてみる」


カードを一枚引く。


「……『恋人たち』」


レオンが首を傾げる。


「恋人?」


ガルがレオンを見る。


「お前、恋人ができるらしいぞ」


「今その話じゃない!」


ミレイが苦笑する。


「『恋人たち』は、単純に恋愛だけを意味するカードじゃないわ」


「じゃあ何を?」


「選択。そして、心から選んだ道」


ミレイは二つの通路を見る。


「カードは、どちらが正解とは言っていない」


「つまり……」


レオンが考える。


「自分たちで決めろってことか」


「そう」


ガルが左の道を見る。


「俺は左がいい」


「理由は?」


「なんとなく」


「……」


今度はレオンが右を見る。


「俺は右」


「理由は?」


「なんとなく」


ガルが振り返った。


「お前もかよ!」


「仕方ないだろ!」


ミレイがため息をつく。


「二匹とも、タロットの意味を全然理解してないわね」


「じゃあミレイは?」


「私は――」


ミレイがカードをもう一度見る。


「右」


レオンが頷いた。


「じゃあ右へ行こう」


三匹は右の通路へ進んだ。


しばらく歩くと――。


ゴゴゴゴゴ……。


地面が揺れ始めた。


「またか!」


ガルが身構える。


壁から黒い影が飛び出した。


「敵!」


レオンが叫ぶ。


影は三匹を取り囲む。


「数が多い!」


ガルが前へ出る。


「俺が止める!」


「待って!」


レオンがアンスズを発動する。


「ᚨ《アンスズ》!」


敵の動きが見える。


「右の二体は囮だ!」


「じゃあ本命は?」


ガルが聞く。


「後ろ!」


レオンが振り返る。


巨大な影が飛びかかってきた。


「そこだ!」


ガルがティールを発動する。


「ᛏ《ティール》!」


敵を正面から受け止める。


「重い……!」


「ガル、三秒だけ耐えて!」


「三秒!?」


「それだけあればいい!」


レオンがライドを発動する。


「ᚱ《ライド》!」


光の道が敵の周囲へ伸びる。


レオンが一気に走る。


敵の背後へ回り――。


「今だ!」


ガルが叫ぶ。


「おおおっ!」


敵を押し返す。


そこへレオンが光を放つ。


「これで――!」


敵が吹き飛んだ。


しかし、ガルが膝をつく。


「ガル!」


「大丈夫……だ」


レオンがベルカナを発動する。


「ᛒ《ベルカナ》!」


光がガルを包む。


「これで回復する!」


ガルが立ち上がる。


「よし。まだいける」


ミレイが笑った。


「四つのルーンが、もう自然に繋がってきたわね」


レオンは頷く。


「アンスズで敵を読む」


ガルが続ける。


「ライドで動く」


レオン。


「ティールで突破する」


ガル。


「ベルカナで立て直す」


二匹が顔を見合わせる。


「完璧だな」


「だな」


ミレイが呆れた顔をする。


「自分たちで褒め合ってる……」


そのとき――。


通路の奥から、突然声が響いた。


『よくぞここまで来た』


三匹が振り返る。


そこには巨大な石碑があった。


石碑には一つの文章が刻まれている。


『四つの力を持つ者よ』


『次なる試練へ進め』


レオンが石碑を見つめる。


「試練……?」


石碑の奥に、巨大な扉が開いた。


しかし、その扉の向こうには――。


大量の人間たちが待ち構えていた。


「……嘘だろ」


ガルが目を丸くする。


ミレイがタロットを一枚引いた。


カードは――。


『死神』


レオンが息をのむ。


「……死神」


ミレイはカードを見つめる。


「これは、必ずしも死を意味するわけじゃない」


「じゃあ?」


「大きな変化よ」


その瞬間。


扉の向こうから、黒ローブの男の声が響いた。


「来たか、猫と犬よ」


レオンが目を細める。


「……またお前か」


「ここから先は、今までの戦いとは違う」


男が手を掲げる。


その背後に、巨大なルーンが浮かび上がった。


「お前たちが知っているルーンの力など――」


黒い光が神殿を覆う。


「まだ入口にすぎない」


レオンは四つのルーンを構える。


ガルも身構える。


ミレイはタロットを握りしめた。


三匹は、未知の力を持つ敵と向き合った。


そして――。


古代ルーンの聖域で、本当の戦いが始まろうとしていた。

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