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「うちの猫、夜になると人間と戦ってます』 ~ルーン魔法とタロットが導く、猫と犬の異世界戦記~  作者: 雨宮ぐみ


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第4話 古代ルーンの聖域

第4話 古代ルーンの聖域


「……広いな」


レオンは、神殿の中を見渡した。


そこには、壁一面に無数のルーンが刻まれていた。


青白い光を放つ文字。


それぞれ形が違う。


「これが……古代ルーンの聖域」


ガルも周囲を見回す。


「ここに、人間たちが探している力が眠っているのか」


「たぶんな」


レオンが壁に近づいた。


すると――。


四つのルーンが、順番に光り始めた。


「これは……?」


ミレイが二匹の後ろから近づいてくる。


「その四つは、この聖域でも特に重要なルーンよ」


「重要?」


レオンが首を傾げる。


ミレイは一つ目の文字を指した。


「これは、ᚨ《アンスズ》」


「アンスズ?」


「ええ。言葉や知恵、神からのメッセージを意味するルーンよ」


レオンがじっと文字を見る。


「つまり……話す力とか、知識に関係するってことか?」


「そう。ルーンは単なる攻撃魔法じゃないの」


ミレイが次の文字を指す。


「そして、これはᚱ《ライド》」


「ライド……」


「旅や道、移動を意味するルーン」


ガルが反応した。


「道……ということは、移動する魔法にも使えるのか?」


「使い方次第ではね」


「なるほど」


ガルは真剣な顔で頷いた。


「じゃあ、これで家に帰れるな」


レオンが振り向く。


「お前、まだ家に帰ること考えてたのか?」


「腹が減った」


「そこかよ!」


ミレイが少し笑った。


そして三つ目のルーンを指す。


「これはᛏ《ティール》」


「ティール?」


「勇気、戦い、正義を意味するルーンよ」


レオンの目が輝く。


「戦いのルーンか!」


「そう。ただ強くなるだけじゃない。正しいことのために戦う意思も含まれている」


レオンは、その文字を見つめた。


「……なら、俺にぴったりだな」


ガルが横から口を挟む。


「お前、さっき敵を見た瞬間、尻尾が膨らんでたけどな」


「だからあれは威嚇だ!」


「はいはい」


「本当だ!」


最後にミレイは、四つ目のルーンへ目を向けた。


「そして最後が、ᛒ《ベルカナ》」


レオンが尋ねる。


「これは?」


「成長や再生、生命を意味するルーン」


「生命……」


レオンが静かに呟く。


ミレイは四つのルーンを見つめた。


「アンスズは知恵。ライドは道。ティールは勇気。ベルカナは成長」


「知恵、道、勇気、成長……」


レオンが四つの文字を順番に見る。


「なんだか、俺たちがこれから必要になるものみたいだな」


「そうかもしれない」


ミレイが答えた。


その瞬間――。


四つのルーンが同時に輝いた。


ゴォォォン……!


神殿全体が揺れる。


「な、なんだ!?」


ガルが身構える。


四つの光が中央へ集まり、一つの巨大な文字を作り上げた。


レオンが目を見開く。


「これは……新しいルーンか?」


ミレイも驚いている。


「違う……」


「じゃあ、何なんだ?」


「四つの力を、ひとつに集めているのよ」


そのとき――。


神殿の奥から、低い声が響いた。


『知恵を持つ者よ』


『道を選ぶ者よ』


『勇気を持つ者よ』


『そして、成長する者よ』


レオンたちは息をのんだ。


『汝らに、次なる扉を開く資格を与える』


ズズズズズ……。


神殿の奥の巨大な壁が動き始めた。


その向こうには、さらに暗い通路が続いている。


ガルがレオンを見る。


「行くのか?」


レオンは少しだけ考えた。


そして、頷いた。


「ああ」


一歩、前へ進む。


「人間たちが世界を支配しようとしているなら、俺たちは止める」


ガルも隣に並んだ。


「なら、俺も行く」


ミレイも続く。


「私もね」


三匹は暗い通路へ歩き出した。


――そのとき。


レオンの腹から、


グゥゥゥゥ……。


という音が響いた。


ガルが止まる。


ミレイも止まる。


レオンは無言で腹を押さえた。


「……今のは」


ガルが笑う。


「知恵じゃないな」


ミレイも微笑む。


「道でもないわね」


「勇気でもない」


「じゃあ何だ?」


二匹がレオンを見る。


レオンは真顔で答えた。


「食欲だ」


「ルーンにない能力を堂々と言うな!」


神殿にガルのツッコミが響き渡った。

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