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「うちの猫、夜になると人間と戦ってます』 ~ルーン魔法とタロットが導く、猫と犬の異世界戦記~  作者: 雨宮ぐみ


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第2話 ルーンに刻まれた力

第2話 ルーンに刻まれた力


「――そこまでだ」


黒いローブをまとった人間が、レオンたちの前に立ちはだかった。


レオンは身構える。


その隣では、大きな黒い犬――ガルが低く唸っていた。


「レオン、あいつ……かなり強いぞ」


「ああ。油断するな、ガル」


人間が右手を掲げる。


その手のひらに、赤い光が浮かび上がった。


「ᚲ《KENAZ・ケナズ》」


炎が一気に燃え上がる。


「炎と知識を意味するルーンだ」


「知識だか何だか知らないけど――」


レオンが地面を蹴った。


「こっちは水だ!」


レオンの前に青い光が走る。


「ᛚ《LAGUZ・ラグズ》!」


水が渦を巻き、炎へとぶつかった。


ジュワァァッ!


大量の水蒸気が辺りを包む。


「やるな、レオン!」


「当然だ!」


だが――。


煙の向こうから、炎の刃が飛んできた。


「危ない!」


ガルがレオンを突き飛ばす。


炎の刃が地面をえぐった。


「ガル!」


「俺は平気だ。それより来るぞ!」


人間が再び手を掲げる。


「弱いな。猫ごときが、この力に勝てると思うな」


「……猫ごとき?」


レオンの耳がピクリと動いた。


「今、なんて言った?」


「猫ごときだ」


「…………」


レオンの尻尾が、ボンッと大きく膨らんだ。


ガルが横目で見る。


「レオン」


「なんだ」


「尻尾」


「これは威嚇だ!」


「怖がってるようにしか見えないぞ」


「違う!」


レオンは勢いよく前へ飛び出した。


「ᛋ《SOWILO・ソウェイル》!」


まばゆい光が辺りを照らす。


「太陽と光、そして勝利を意味するルーンだ!」


光の矢が一直線に飛び、人間の炎を吹き飛ばした。


「ぐっ……!」


人間が後退する。


ガルも続いて駆け出した。


「レオン、今だ!」


「分かってる!」


二匹が同時に飛びかかる。


しかし――。


「遅い」


人間が指を鳴らした。


その瞬間、森の奥から次々と黒いローブの人間たちが現れた。


「囲まれたぞ……」


ガルが唸る。


レオンは周囲を見渡した。


十匹……いや、それ以上。


「目的はなんだ!」


レオンが叫ぶ。


黒いローブの男が答えた。


「我々は、この世界を人間のものにする」


「なんだと?」


「世界征服だ」


ガルの耳がピンと立つ。


「世界征服って……ずいぶん分かりやすい悪党だな」


「うるさい!」


「図星か」


「ガル、今は茶化してる場合じゃない!」


「分かってる」


人間たちが一斉にルーンを構える。


「猫も犬も、これからは我々の支配下に置く」


レオンの目が鋭くなった。


「……ふざけるな」


そのときだった。


「待って!」


森の奥から、一匹の白い猫が走ってきた。


口には、小さなカードの束をくわえている。


「また来たのか……」


白い猫はカードを地面に並べた。


「タロットを引く」


一枚のカードをめくる。


そこに描かれていたのは――。


「『塔』……」


ガルが首を傾げる。


「塔?」


白い猫はカードを見つめた。


「崩壊を意味するカードよ」


「崩壊って……何が?」


レオンが聞いた瞬間――。


ゴゴゴゴゴ……!


地面が大きく揺れ始めた。


「な、なんだ!?」


地面に亀裂が走る。


「まずい!」


ガルが叫ぶ。


「レオン、飛べ!」


「無理だ!」


「猫だろ!」


「今それ言う!?」


地面が大きく崩れた。


「うわあああっ!」


「レオン!」


「ガル!」


二匹の身体が暗闇へ落ちていく。


最後にレオンが見たのは、宙を舞う一枚のタロットカード。


『塔』


そのカードが、まるで二匹の行く先を見届けるように――。


ゆっくりと闇へ消えていった。


――この先で、レオンたちは何を知ることになるのか。


そして、『塔』が示した崩壊とは――。

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