冒険者同窓会
春。
四月。
街道の雪が完全に消える頃。
帰り道亭には、
毎年、
少しずつ人が集まり始める。
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元フレデリックパーティー。
家族。
昔世話になった商人。
たまに新人冒険者。
今では、
小さな春祭りみたいになっていた。
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その年。
子供たちが外で遊ぶ声を聞きながら、
小野 耕作が、
濁酒を飲みつつ言った。
「まあでもな」
「こういうの」
「死ぬまで続くって、たぶん無理だぞ」
ロナルドが笑う。
「また急に現実的だな」
小野は肩をすくめた。
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## 小野の現実感
「本当はな」
「十年とか二十年ぐらいだ」
「そこで自然に切れてく」
「遠く行く奴もいる」
「病気もある」
「子供が忙しくなる」
「孫できる」
「仕事変わる」
「人間関係って、そういうもんだ」
静かな口調だった。
夢を壊したいわけではない。
ただ。
長く生きてきた人間の実感。
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フレデリック・ラメーは、
少し考えてから言った。
「……寂しくないですか?」
小野は笑う。
「寂しいよ」
「でも、“切れること”を悪だと思いすぎると」
「今度は維持に無理が出る」
それは。
どこか、
大滝王国の思想にも似ていた。
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## 維持コスト
小野は続ける。
「関係も国も店も同じだ」
「維持には体力いる」
「時間もいる」
「無限には持たない」
「だから」
「続いてる間を楽しめ」
外では、
子供たちが木剣で遊んでいる。
アクセルの娘が転び、
ロナルドの妻が笑いながら起こしていた。
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## それでも四月
小野は窓を見ながら、
少し柔らかい顔をした。
「でもな」
「四月になると」
「今年も来るかなって思うんだ」
誰も喋らなかった。
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アクセルが、
小さく頷く。
「俺も」
言葉は短い。
だが本音だった。
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## 毎年少し変わる
四月会は、
毎年少しずつ変化していく。
誰かの子供が増える。
誰かが腰を痛める。
白髪が増える。
店のメニューが変わる。
昔話が増える。
同じではない。
でも。
完全には消えていない。
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## 小野の言葉
夜。
酔いが回った頃。
小野は若い冒険者たちへ言った。
「永遠の友情とか」
「そういうの否定したいわけじゃない」
「でもな」
「十年続けば十分すごい」
「二十年続けば奇跡みたいなもんだ」
そして笑う。
「だから今日会えたら」
「それで結構当たりなんだよ」
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外では春風。
帰り道亭の灯り。
笑い声。
完全ではない。
永遠でもない。
だが。
だからこそ、
毎年四月に会えることが、
少し特別だった。




