Cランクの4年間
Cランク昇格から四年。
フレデリック・ラメーたちは、
完全に中堅冒険者として定着していた。
若手ではない。
だが英雄級でもない。
しかし。
地方都市や村からの信頼は厚かった。
理由は単純。
「無理をさせない」
からだった。
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## グール討伐
グール
昔なら。
墓地や戦場跡では、
大量発生していた。
死体放置。
飢餓。
疫病。
戦乱。
それらがグール発生を増やす。
だが。
大滝王国では、
戦後処理制度が整っている。
埋葬。
焼却。
衛生管理。
だから大発生は減った。
それでも、
古戦場跡には残る。
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## 古砦地下墓所依頼
依頼内容。
* グール十数体
* 行方不明者二名
* 地下墓所封鎖希望
昔なら、
新人が大量に死ぬ依頼。
理由は簡単。
恐怖。
暗闇。
感染。
疲労。
パニック。
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だがフレデリックパーティーは、
もう違った。
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## 四年間の変化
### ロナルド
ロナルド
完全に防衛軸になった。
派手ではない。
だが。
“崩れない”。
長槍制圧が異常に安定。
狭所維持能力が高い。
若手からは。
「壁役の教本」
と言われ始めていた。
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### ドナシアン
ドナシアン
焦りが消えた。
若い頃の英雄願望も薄れた。
代わりに。
「生還優先」
が染み込んでいる。
今では新人教育補助もしている。
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### バルテルミ
バルテルミ
完全に中核支援職。
抗腐敗薬。
対毒。
発煙。
保存。
補修。
「準備の人間」。
ギルド補給部門から、
半分スカウトされていた。
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### アクセル
アクセル
相変わらず難しい話は苦手。
だが。
危険感知だけは、
年々鋭くなっていた。
「嫌な感じする」
それで実際、
死線を避けた回数が多い。
若手冒険者たちは、
半分お守り扱いしている。
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### 小野耕作
小野 耕作
今では完全に生活管理役。
交渉。
宿選定。
資金管理。
新人相談。
地方人脈。
さらに。
濁酒事業が少し拡大していた。
辺境村で。
「小野酒」
と呼ばれ始めている。
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## 地下墓所
湿った空気。
腐臭。
暗闇。
フレデリックは静かに確認。
「噛まれるな」
「引っ張られるな」
「疲れたら下がれ」
それだけ。
だが重要。
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## グール戦
グールは強敵ではない。
問題は。
数。
恐怖。
感染。
だから。
崩れた瞬間に死ぬ。
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ロナルド前衛。
槍で距離維持。
ドナシアンが横処理。
フレデリック光源制御。
バルテルミ消毒。
アクセル退路維持。
小野後方確認。
完璧に役割分担されていた。
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新人冒険者が驚く。
「なんで叫ばないんだ……」
普通のパーティーは、
地下戦で怒鳴り合う。
だが。
このパーティーは静かだった。
必要最低限しか喋らない。
だから混乱しない。
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## 行方不明者
地下奥。
まだ生きていた。
若い冒険者二人。
疲弊。
恐慌。
一人は泣いていた。
「もう駄目だと思った……」
小野が静かに水を渡す。
「慌てると判断壊れる」
妙に説得力があった。
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## ガーゴイル依頼
翌年。
今度は山岳神殿。
ガーゴイル
これも厄介だった。
単純戦力ではない。
高所。
奇襲。
落下死。
環境殺し。
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フレデリックたちは、
また事前準備を徹底した。
滑落防止縄。
固定杭。
軽量盾。
風向確認。
新人が驚く。
「そこまでやるんですか?」
小野が笑う。
「落ちたら死ぬからね」
その通りだった。
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## 変わった評価
いつしか。
冒険者ギルド内で、
彼らへの評価が変わっていた。
昔。
「地味な連中」
今。
「長く生き残る方法を知ってる連中」
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若い冒険者たちが、
少しずつ真似し始める。
* 補給確認
* 事前撤退路
* 無茶禁止
* 予備装備
* 感情暴走防止
それは。
戦争設計国家が、
社会全体へ広げていた思想と同じだった。
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## 四年後の夜
宿。
小野が濁酒を飲みながら言った。
「昔はさ」
「冒険者って、“無茶できる奴が強い”と思ってた」
ロナルドが笑う。
「今は?」
小野は静かに答えた。
「壊れない奴が強い」
焚火が揺れる。
誰も否定しなかった。
それが。
十年近く生き延びてきた、
彼らの実感だった。




