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王様とネコ  作者: 夢灯
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第三章 ②王様は、超モテモテ

ある日のこと。

猫が少年に言いました。


「王様には、大事なことがあるにゃん」


「大事なこと?」


「レディーファーストにゃん!」


「レディーファースト?」


「そうにゃん。女性には親切にしないといけないにゃん」


猫は、道の向こうを指さしました。

そこでは、一人の女性が重そうな荷物を抱えて歩いていました。


「ほら、あの人を助けるにゃん」


少年は慌てて駆け寄りました。

「持ちます!」


「まあ、ありがとう」


少年は荷物を受け取り、女性の言うところまで運びました。


「王様、よくできたにゃん!」


「ありがとう」


猫は満足そうにうなずきました。

「そして、最後に――」


猫は少年の顔を指さしました。


「王様スマイルにゃん!」


「えー……」


少年はぎこちなく笑いました。

「……こう?」


猫はじっと少年を見ました。

「ぎこちないにゃん」


「やっぱり?」


「練習するにゃん!」


「ええ……」


少年は何度も笑顔の練習をしました。

「にこっ」


「ぎこちないにゃん」


「にこっ!」


「まだまだにゃん」


「にこーっ!」


「ちょっと怖いにゃん」


「どうすればいいの!?」


その様子を少し離れたところから見ていた狼が、ため息をつきました。

「……あれ、いいんです?」


猫が振り向きます。

「何がにゃん?」


「王様が女性に親切なのは分かります。しかし――ガウ」


狼は猫を見ました。

「あなたほど女性にモテる王様も珍しいでしょう」


猫は胸を張りました。

「猫はモテモテにゃん!」


「それはそうでしょう」


「なら、あの子もモテモテになるべきにゃん!」


「…………ガウ」

狼は黙りました。


少年も黙りました。


「王様の弟子なら、王様と同じくらいモテモテにならないといけないにゃん!」


「そこは、王様の仕事とは関係ないのでは?」

狼が冷静に言いました。


猫は首をかしげます。

「そうにゃん?」


「一人にモテたら、それでよくないです?」

という狼。


少年が恐る恐る口を挟みました。

「……僕も、一人にモテるだけでも十分だと思う」


猫は目を丸くしました。

「甘いにゃん!」


「えっ?」


「王様は超モテモテにゃん!」


「そんな決まりあるの?」


「今、決まったにゃん!」


狼は深いため息をつきました。

「そんな王様の決まり、聞いたことがありません」


猫は少年の肩をぽんぽん叩きました。

「大丈夫にゃん。練習すれば、きっと超モテモテになれるにゃん!」


少年は、もう一度ぎこちなく笑いました。

「……にこっ」


「まだぎこちないにゃん!」


「もうやだよ……」


狼はその様子を見ながら、ぼそりと言いました。

「……王様の教育とは、いったい何なのでしょうね」


猫は元気よく答えました。


「モテモテになることにゃん!」


「違います。ガウ」


即答でした。

次話 明日更新

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