第二章 ③無能な王様は……処刑!?
服を買った次の日。
少年が学校へ行こうとすると、水色の猫が言いました。
「王様は、テストも頑張るんにゃん」
「テスト?」
「そうにゃん。王様は、勉強も頑張るものにゃん」
「じゃあ、100点を取らないと王様になれないの?」
少年が不安そうに聞くと、猫は首を横に振りました。
「100点を取らなくてもいいにゃん」
「え?」
「王様は、何でもできる必要はないにゃん」
少年は、ほっとしました。
ところが猫は、急に真剣な顔になりました。
「でも――」
「でも?」
「頑張れない王様は、ダメにゃん」
「……どういうこと?」
猫は胸を張りました。
「無能な王様はいらないにゃん」
「えっ……」
少年の顔が青くなりました。
「じゃ、じゃあ……頑張らなかったら?」
猫は平然と答えました。
「死刑にゃん」
「ええっ!? 死刑なの!?」
少年は飛び上がりました。
「そうにゃん」
猫は真顔です。
「王様は、できなくてもいいにゃん。でも、自分のできることを頑張らないのはダメにゃん」
少年は、ごくりとつばを飲み込みました。
「……わかった。頑張る」
それから少年は、勉強を始めました。
わからない問題もありました。
何度やっても間違える問題もありました。
それでも、少年はあきらめませんでした。
そしてテストの日。
少年は一生懸命、問題を解きました。
数日後、テストが返ってきました。
少年は答案を見ました。
「……100点じゃない」
少し落ち込んだ少年に、猫が言いました。
「よく頑張ったにゃん」
「でも、100点じゃないよ」
「100点を取らなくてもいいにゃん」
「じゃあ……僕、死刑じゃない?」
猫はにっこり笑いました。
「もちろんにゃん」
少年は、ほっとしました。
「よかった……」
---
その日の帰り道。
少年は、ふと思いました。
「ねえ、猫」
「なんにゃん?」
「君は、僕と一緒でいいの?」
「いいにゃん」
「じゃあ……住んでいたところに帰らなくてもいいの?」
猫は空を見上げました。
「いいにゃん」
「家は?」
「猫は、風来坊にゃん。
どこでも風のままに行くんにゃん」
「風のまま?」
「そうにゃん」
猫はふわりと歩き出しました。
「猫に決まった住む場所なんていらないにゃん」
少年は笑いました。
「そうなんだ」
それから、少年の毎日は少しずつ変わっていきました。
朝は顔を上げて歩くようになりました。
服も、自分で選ぶようになりました。
勉強も、わからないところは頑張るようになりました。
そして――
いつの間にか、少年をいじめる人はいなくなっていました。
「おい、あいつ前と違わない?」
「なんか、堂々としてる……」
少年はもう、下を向いて歩いていません。
背筋を伸ばし、胸を張って歩いています。
頭の上には小さな王冠。
その隣には、水色の猫。
次話 明日更新




