↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王様とネコ  作者: 夢灯
PR
4/8

第二章 ③無能な王様は……処刑!?

服を買った次の日。


少年が学校へ行こうとすると、水色の猫が言いました。


「王様は、テストも頑張るんにゃん」


「テスト?」


「そうにゃん。王様は、勉強も頑張るものにゃん」


「じゃあ、100点を取らないと王様になれないの?」


少年が不安そうに聞くと、猫は首を横に振りました。

「100点を取らなくてもいいにゃん」


「え?」


「王様は、何でもできる必要はないにゃん」


少年は、ほっとしました。


ところが猫は、急に真剣な顔になりました。

「でも――」


「でも?」


「頑張れない王様は、ダメにゃん」


「……どういうこと?」


猫は胸を張りました。

「無能な王様はいらないにゃん」


「えっ……」


少年の顔が青くなりました。

「じゃ、じゃあ……頑張らなかったら?」


猫は平然と答えました。

「死刑にゃん」


「ええっ!? 死刑なの!?」


少年は飛び上がりました。


「そうにゃん」

猫は真顔です。


「王様は、できなくてもいいにゃん。でも、自分のできることを頑張らないのはダメにゃん」


少年は、ごくりとつばを飲み込みました。

「……わかった。頑張る」


それから少年は、勉強を始めました。


わからない問題もありました。

何度やっても間違える問題もありました。

それでも、少年はあきらめませんでした。


そしてテストの日。


少年は一生懸命、問題を解きました。

数日後、テストが返ってきました。


少年は答案を見ました。


「……100点じゃない」


少し落ち込んだ少年に、猫が言いました。

「よく頑張ったにゃん」


「でも、100点じゃないよ」


「100点を取らなくてもいいにゃん」


「じゃあ……僕、死刑じゃない?」


猫はにっこり笑いました。

「もちろんにゃん」


少年は、ほっとしました。


「よかった……」


---


その日の帰り道。


少年は、ふと思いました。

「ねえ、猫」


「なんにゃん?」


「君は、僕と一緒でいいの?」


「いいにゃん」


「じゃあ……住んでいたところに帰らなくてもいいの?」


猫は空を見上げました。

「いいにゃん」


「家は?」


「猫は、風来坊にゃん。

どこでも風のままに行くんにゃん」


「風のまま?」


「そうにゃん」


猫はふわりと歩き出しました。

「猫に決まった住む場所なんていらないにゃん」


少年は笑いました。

「そうなんだ」


それから、少年の毎日は少しずつ変わっていきました。


朝は顔を上げて歩くようになりました。


服も、自分で選ぶようになりました。


勉強も、わからないところは頑張るようになりました。


そして――


いつの間にか、少年をいじめる人はいなくなっていました。


「おい、あいつ前と違わない?」


「なんか、堂々としてる……」


少年はもう、下を向いて歩いていません。


背筋を伸ばし、胸を張って歩いています。


頭の上には小さな王冠。


その隣には、水色の猫。

次話 明日更新

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。