おまけ
私は敵の本陣に向かって駆け抜けた。
突然現れた私に、敵方は驚き、一瞬の空白ができた。
私はその隙を見逃さなかった。
私の一撃で敵の総大将の首が飛んだ。
私はその首を掴むと、引き返した。
前線付近では、母が暴れていた。
母は霊獣の姿に驚き逃げまどう敵兵を、楽しそうに追いかけまわしていた。
母が私に気がついたので、私は大将首を高々と掲げた。
母が何事か叫んだ。
一斉に視線が私に集まる。
味方の歓喜と敵の戸惑いの気配が渦巻いた。
私はそのまま自軍の本陣へと向かった。
私は霊獣からおりると、幔幕の中にずかずかと入った。
王は私の姿を見るや否や立ち上がった。
私は素早くひざまずいた。
「麗しきご尊顔を拝したてまつり、恐悦至極に存じ上げたてまつります」
大仰に臣下の礼をとると、少し視線を上げ、王に目で合図する。
「うむ」
王は少し戸惑ったようだったが、すぐに私の意向を理解したようだった。
「君、ご所望の品、持参つかまつりました」
私はそう言うと、傍にいた副隊長に、敵の総大将の首を渡す。
幔幕の中がどよめいた。
「大義」
王は首を確認するといった。
「では、わたくしはこれにてお暇つかまつります」
私はそう言うと、王の返事を待たずに幔幕の外へとでた。
私は霊獣に乗った。
王が、弟が何か言っている様だったが、私はかまわずに出立した。
私は一刻も早く帰りたかった。
大切な家族の元へ。
愛する妻の元へ。




