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転移の法則〜二十歳で始まりいつか終わる〜  作者: 水たまりに傘と青
檜田 茉莉花の桧暮らし(願望)〜家主によって邪魔される居候のスローライフ〜
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19/30

19.Marika's Slow Life

 ご飯も食べ終わり、街の中。

 へクスさんにも指輪が渡されたらしい。

 ご迷惑をかける。

 ある程度離れた場所にいるから、何かあれば呼べとのことだ。

 試運転の結果、指輪から声が出るのではなかった。

 まるで鼓膜が直接揺らされてるみたいに、近くで聞こえた。


「どこだー。

 私が現れた路地ー。」


 とりあえず座り込んでた場所まではきた。

 けど、どこをどう通ったか覚えてない。

 テキトーに進むことにした。


「えーっと。

 あー!

 ここの屋根通ったかも!」


 雪解けのせいで水溜まりがある。

 ローファーはブーツみたいに長くないから気をつけないと濡れそうだ。


「あ!

 この階段!

 ちゃんと近づいてる。

 向こうとの扉に。

 まあ一方通行かも知んないけど。」






 そこから十数分経った。

 正確にはわからない。

 もっと長かったかもしれないし短かったかもしれない。

 ようやく、それを見つけた。

 ファンタジーな世界に似合わぬもの。

 現代日本の技術。

 物騒なくらい黒色のそれをあまり見ていたくなかった。

 視界に映したくもなかった。

 だから極力壁を見ていた。

 手探りで場所を当てる。

 壊すにはどうしよう。

 ハンマーはない。 

 大きい石もない。

 最悪火事になる。

 運ぶ?

 これを?

 一人で?

 無理だ。

 色を変える?

 塗料で上から黒じゃなくする。

 黒に吸い込まれる感覚だったから。

 黒じゃなければ。

 画面が見えなければ、あるいは。


「出直そう。

 場所が分かっただけで十分収穫はある。

 今度は、塗料を持って、木箱を持ってこよう。

 この指輪があるし、トーアさんも連れてこれるかな?

 流石に重そう。

 指輪ってへクスさん以外にも配られてるかな。」







「ただいま帰りました。」


「おかえりなさいませ。

 お食事まではあと1時間ほどでしょうか。

 それと、馬が届いております。

 旦那様はまだ来られないようなので、お先に練習なさっては?

 ユウが乗馬経験者だったはずです。」


 へえ、ユウさんすごい。

 馬に乗ったことあるんだ。


「じゃあ、そうさせてもらいます。」









 一週間が経った。

 テレビは、トーアさんと協力して処理した。

 木箱に入れて塗料を流したり。

 テレビは安易に燃やしたり潰したりしたらいけなかった気がする。

 だから、持ち帰って厳重保管になった。

 やっぱり重かった。

 乗馬の練習も順調だった。

 本当に難しくて何回も落ちたし、暴れたこともあった。

 トーアさんは馬に乗れたらしい。

 一日に何時間も練習して、結果多少は乗れるようになった。

 落ちることもグッと減ったし。

 あんまりスピードを出すとまだ怖いけど。


「いってらっしゃいませ。

 マリカ様のおかえりをいつでも待っております。

 お気をつけて。」


「ありがとうございます。

 いってきます。

 お世話になりました。」


 今日で屋敷での生活も終わる。

 朝ごはんも食べて、荷造りもした。

 今は、馬車に乗り込んだところ。

 さよならなわけじゃない。

 どうせ転移陣で繋がってるんだし。

 ご飯の時には行くから顔は合わせるけど。

 これから、一人の生活が始まる。

 少し寂しいけど、これが私の望んだ結末だから。


「一週間って早いね。

 信じられないくらい。」


「どうせトーアさんは転移陣で来るんでしょ。」


 毎日のように来そうだ。

 この人なら。


「バレてたかー。

 仕事終わったらだから夜だけどね。」


 晩御飯にも会うのに?

 何回会いたいんだこの人。


「向こう着いたら何するの?」


「荷解きです。

 それと、転移陣まだ繋いでませんよね?

 みんなが帰ったら、家の掃除でしょうか。

 色々生活基盤を整えることから始めます。

 一人暮らしは初めてじゃないので。

 一戸建てで一人暮らしは初めてですけど。」


 アパートと一戸建ての広さはきっと比べ物にならない。

 今から腕が鳴る。


「しっかりしてるなー。

 転移陣のことは忘れてなかったけど、掃除とか忘れてた。

 手伝うよ?

 俺だけ残って帰りに試運転しないと。

 転移陣。」


「第一被験者はトーアさんじゃなくて護衛さんにしたらどうです?

 護衛さんもついていかないとですし。

 馬車隊と伯爵隊に分けて。」


 それと、失敗した時の保険。

 最初にトーアさんが入って失敗してて帰らぬ人になったら……。

 領主の安否不明はまずいでしょ。

 それで護衛さんが帰らぬ人なっても悪いけど。

 でも、トーアさんよりは………。


「そっか。

 そうしよう。

 護衛には草抜きでもさせるかな。

 お庭とか。

 定期的に草抜かないといけないの大変だけどね。

 特にマリカちゃんの周りマナが濃いし?」


 私が寝るせいです。

 ごめんなさい。

 でも、草が育つってことは馬の餌には苦労しない。

 刈っては乾燥させてってしないとだけど。


「その分森から動物も寄せるけどね。

 マリカちゃんでなく本物のリスなんか木の実くれるよ。

 知らないけど。

 俺はもらったことある。」


 さすが世界の何からも愛される男。

 動物からも好かれるのか。

 動物使ってスローライフとかもいいな。

 ご飯もらったり守ってもらったりして。

 って!誰がリスだ!!!


「凶暴な子も友好的になってくれないかなー。

 そしたらご飯困らなくないですか?

 レンズがあれば…………。

 ガラスさえあれば火おこしは簡単ですし。」


「え?

 ガラスでどうやって?」


 メガネはあるのに。

 火おこしに応用するのは知らないんだ。

 ぶっちゃけ虫眼鏡でやったくらいしか経験ないけど。


「片方を出っ張らせて、光を集めるんです。

 昼間じゃないとできない上太陽がないといけませんけど。」


「まあでも暖炉とか釜とかは印具あるからねー。

 そんなに使わないんじゃない?」


 印具ってなに?

 もしかしてゼビアさんの厨房にもあるの?

 家には大抵あるものなの?

 すごい便利だ!


「なんだそういうのがあるの初めて知りました。」


「知ってると思ってた。」







「またね、マリカちゃん。

 お昼ご飯の時にまた会おう。」


「はい。

 お掃除のお手伝いありがとうございました。

 本当に助かりました。」


 特に手の届かない高いところ。

 高身長さすが。

 私も大きくなりたかったなー。

 一応大きい方だけどさ?

 トーアさんには敵わんなー。


「さてとー!

 それじゃ今度はお風呂の手入れかなー。

 見に来た時は綺麗だったし!

 さほど手入れは必要ないと見えた!

 高級桧風呂!」


 桧の森のすぐ横で。

 桧に囲まれた家で。

 苗字にも檜(ひのき)がある。

 そんな茉莉花(ジャスミン)のお昼寝スローライフ。

 完全な独立ではないけれど。

 私のための生活が始まる。

 ややキツネ混入の気配はあるが。

 それもまた、悪くない。



















 Thank You(最後まで) For(読んで) Reading(くださり) This Story(ありがとう) To The End(ございました).


 You Will(先へ) Find The(進む) Epilogue(と後日) If You(談が) Proceed(あり) Further(ます).

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