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転移の法則〜二十歳で始まりいつか終わる〜  作者: 水たまりに傘と青
檜田 茉莉花の桧暮らし(願望)〜家主によって邪魔される居候のスローライフ〜
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15/30

15.Marika's Slow Life

 雪が終わった。

 溶け始めている。

 結局、冬籠中に大きなイベントはなかった。

 でも、ずっと退屈ではなかった。


「異世界で、新年を迎えたんだ。

 もう、そろそろ卒業かあ。

 私も、居候卒業しなきゃ。」


「えー。

 ずっといてくれてもいいじゃん。」


 一カメ:茉莉花視点 トーアの顔が見える。

 ニカメ:上から見下ろす形 トーアがくつろいでる。

 三カメ:トーア視点 茉莉花の顔が見える。

 結論:キツネが布団の上で寝転んでこっち向いてる。


「ひゃあぁぁああぁ!!!???」


「マリカ様どうかなさ……………!!!

 旦那様!!!!」


 なんで!!?

 なんで!!?

 ねえ最初の反省は!?

 もう横に寝そべらないんだよね!?

 なんかいたんだけど!!


「バレた。

 いや!

 これには訳があってね!?」


 ないくせに!!

 流石に慣れたから枕は投げつけないけど、距離をとっておいた。


「俺怪我しちゃったからさ!」


「マナ狙いですか………。」


 マナって傷の治りを早くする効果があるんだっけ?

 てかなんで怪我したの?

 ペーパーカット?


「そう!

 ほら見て!

 治った!」


 早すぎない?


「もう治ったんじゃ嘘か本当かわかりませんね。」


「本当だって!

 本当だよ!

 本当に怪我したの!」


 3回言った。

 まあ、本当ってことにしとくか。


「だそうです。

 ベリルさん。」


「ベリル!?

 あっ、俺着替えなきゃ!」


 着替えてないのかよ。

 それ何回も聞いてるぞ。


「マリカちゃん今日はおうち見に行くからね!

 ご飯食べたら行くよ!

 忘れないでね!」


 ちゃんと覚えてます。

 それだけ言って連行されていった。

 なんだあの人。

 全然学ばない。


「ずっと同じことしてる……。

 あはは。」


 バカだなー。

 今年で24になるくせに。

 立派な大人が何してるんだか。





 ここが、私の家になるかもしれない家。

 横のキツネはすごく不機嫌。

 そんなに出てってほしくないのかなー。

 なんで?

 私がいなくて前と変わらないでしょ。

 まあ、前の生活知らないけど。


「一戸建て。

 2DK………。

 ここでいいかも。

 ここに住もうかな。

 桧かおる家。

 理想そのもの………。

 桧で建ててあるよね、これ。

 ここに住もうかな本当に。

 しかもログハウス。

 最高。

 庭付き。」


「この家壊そうかな………。」


 聞きました奥さん。

 今すごい物騒なこと言ってませんでした?


「嫌ですよ。

 壊したら口ききません。」


「え、それは嫌。」


 このキツネの扱いもだいぶ慣れた。

 そして楽だ。

 この辺りには家が少なくて、土地も広いらしい。

 なのに領都から少し距離があるから安いのだとか。

 千五百万?

 だっただろうか。


「森が近いですから、たまに野生動物が迷い込んで来てしまいます。

 それと、領都まで歩いて半日ほどですから、少し大変ですね。」


 この人は不動産屋らしい。

 この家、かなり気に入った。

 まあお金ないけど。

 働かなきゃ………。

 服代に食事代、宿代に家代………。

 トーアさんへの借金が多すぎる。


「どうする?」


 千五百万って、多分ものすごく安い。

 土地代も込みでこれはものすごく安い。


「私的には、ここが最高です。

 でも、お金………。」


「俺が払うよ。」


 え?

 そんなぽんと言う?

 マジで?


「ま、毎度ありがとうございます………。

 ローンは………。」


「一括で。」


 !!?

 !!!!????

 え?

 千五百万、一括?

 マジで???

 バカなの?

 お、お金が!!


「さすがにそんなに迷惑かけるわけには……!」


「迷惑じゃないよ。

 マリカちゃんさ。

 なんでもかんでも迷惑かけるって言うけど、俺から言ってんの。

 迷惑だと思ってたら俺から言わないから。」


 なんだこの人。

 無駄なとこにイケメン補正使うなよ……。


「でも、私のためだけにそんなにお金使っちゃダメです!

 お貴族様で23なんだからさ。

 結婚とか考える時期でしょ。

 自分のためのお金も残しておかなきゃいけませんよ!」


「…………。

 えー。

 俺のお金引き出していってるマリカちゃんが言うー?」


 ゔっ!

 確かにそうだ。

 トーアさんのお金を最近たくさん使ってんの私じゃん!

 やばい………。


「でもまあ、俺の財力舐めないでね?

 これでも稼いでるんだよー。

 まあ不労所得だけど。」


 うらやま!!

 不労所得ですって奥さん。

 超羨ましいんだけど!

 私もそうやって稼ぎたい!

 私に家を買い与えたところでそういやトーアさんに利益とかないね。

 私が収穫物を献上?

 木を切って売って利益を献上?

 嫌だよ、木切るの。


「じゃ、サイス頼んだ。」


 さすが貴族。

 実際にお金を渡したりするのは他人なんかい。

 でも時間かかるよね。

 書類とか必要でしょ?


「一度上がってもらわなくて良いのですか?」


「中に何かあるんですか?」


 備え付けの家具?

 もしかして水道通ってない?

 流石に通ってるか。

 お風呂とか水回りが汚いとか?

 お風呂あるの!?


「いえ、特になにもないです。」


「い、一応見ておきます!

 あ、お風呂ありますか!」


 なかったら生活できない!

 なかったらチェンジだ。


「あります。

 桧でできた………。」


「ここにします!!!」


 桧風呂だって!

 高級!

 でもお手入れ大変らしいよね………。

 マナの力でなんとかならないかなあ。


「いいんだね?

 紙に書いちゃうよ?」


「平気です。

 あの、木材の腐食ってマナで防げたりしないんですか?」


 口元を隠してコソコソ話。

 聞かれてないかなあ。

 これマナの効果が常識だったらやばい質問だもんね。


「うん、いけるよ。

 万能だからねー。」


 さすがマナ………。

 過去一好きになるかも。


「ついでに動物も来やすいよ。」


 こわ!!

 森のすぐ横なんですけど!?


「友好的なやつ。」


 話の出し方が意図的としか思えないこのキツネ………。

 友好的な動物が近付いてきやすいからキツネが近づいてきたのでは?

 納得〜。

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