表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンバランス・ワールド  作者: がおー
第1.9章 〜鬼の生き様〜
162/1000

殺戮兵器対戦闘用兵器

おまたせしました

 ザッ…


「どうやら早速お出ましと来たぜ」


 俺はすぐさま臨戦態勢に入り、相手の動きを待つ。そんな俺と同じく、ロボも戦闘態勢を取り、俺の横に並んだ。


「敵だろ? コイツは」

「ああ、気ぃ付けろ。試作品の俺と違ってコイツは根っからの戦闘用兵器だからな」


 そう俺が尋ねるとロボは強い口調で言った。現れたソイツをよく見れば、たしかに全身が鋼の装甲で包まれている、いかにも兵器って感じのやつだ。ロボ同様人型のデザインではあるが、全身に取り付けられた兵器や分厚い装甲はロボと同じような人間性は感じない。どちらか言うと、ゴツい鎧を(まと)っている感じだ。


 俺はどうやら今までの相手とは一味も二味も違うことを感じ取る。取り戻した記憶の中にも、こんなヤツは1人として出て来ない。まさしく戦うために生まれて来たって感じのやつだ。

 と同時に隣にいるロボの実力が見れるかもしれないとも思った。


「なぁ、お前ってどんらくらい強いん?」

「あん? 何だ急に」

「いや…少し気になっただけだ。俺と同じ顔したやつの実力がな」

「…なるほど」


 ロボはニヤリと笑いながら(うなず)くと、目の前の敵に再度目を移す。その目は何自信に溢れていると同時に、何処か不安がっているようにも見えた。まさに自分の力がどれどけか、まだ分かっていないような、そんな雰囲気を物語っている瞳だった。


 ザクッ…


「よし、来いっ」


 ロボは敵から目をそらさぬまま、1歩1歩と俺の側を離れる。


「……」


 すると敵はジリッと足を擦るようにして俺達から間合いを取り、両方の姿がキチンと視界に捉えられるようにした。まさかただの機械がそこまで考え、行動出来るとは、敵ながら天晴れと心の中で感心する程の動きだった。しかしロボも負けず劣らず、常に体の細部まで気を配るように最善の姿勢を取り続ける。


 その動きの緻密(ちみつ)さならば、ロボの方に軍配が上がる。それほどまでにロボの動きは人間味溢れるものだったのだ。


 そしてついに、


「ふんっ!」


 ガガゴォンッ!


「…」


 両者の戦いが始まった。ロボの拳が敵の体に打ち込まれ、ガゴッと鋼鉄を打ち鳴らしたような音が響く。


 だが、


「…っ!」


 ロボの拳はまるで効いておらず、全く響いていなかった。そして、


「排除」


 と冷淡な言葉と共にそこら辺の木と同じくらいの太さを持った腕を、いやここまで来れば巨大な(つち)と呼ぶのがふさわしい。敵は巨大な(つち)をロボ目掛けて振り下ろした。


 ズヅォンッ!


「ぐっ!」


 咄嗟(とっさ)にロボは頭の上で腕を組み、防御態勢を取るが、それも虚しく敵の攻撃をモロに喰らった。


「えっ…」


 そんなロボの姿と敵の強さを目の当たりにした俺は、困惑を前に体の自由を奪われていた。


 しかし敵は俺に目もくれず、自分が潰したロボを土煙の中から拾い上げた。まるで俺なんか最初(ハナ)から眼中に無いみたいに。


「…チッ」


「排除」


 ガギッ…ガギゴゴゴギギゴッ…


 敵はその一言と共にもう片方の手でロボの顔を一握りにすると、そのまま握力を持って握り潰そうとした。辺りに鋼が軋む音が鳴り響き、ロボもその腕を殴るなどして全力の抵抗を試みる。ロボの抵抗は無駄では無く、少しずつでも敵の力を削いでいた。


 だがそれでも敵の方がパワー自体上なのか、ジワジワとロボの顔を潰していく。


 そしてついにロボの体が臨界を突破しようとしたその時、



 トンッ

 


「…?」


「ふんっ…」



 敵の体に手が触れ、次の瞬間、



「らぁ!」



 ドガゴォンッ!



 俺の拳が敵の体を殴り飛ばした。先程まで全身を縛り付けていた困惑の鎖はすでに引き千切り、ロボのピンチを救うために拳を打ち込んだのだ。


 しかし、



「ぐっ…アアッ! いっ…てぇっ…」



 ダメージを喰らったのは、俺の方だった。今自分が殴ったのはただの鋼じゃない、もっと強く鍛錬された何かだった。その強度は喰らわした俺の方が深刻なダメージを負い、右手がビリビリと痺れまともに動かない程だった。


「すまねぇな、ちょっとだけヤバかった」

「手間かけさせ過ぎだ馬鹿野郎っ…アッ、痛っ…」

「俺やアイツの体はただの合金じゃねぇ。そう易々とぶち壊れないのさ」

「それ…もっと早く言えっ…」


 予想外の敵の強度の高さに俺は怒りを覚えつつ、同時に突破口の見えない現状に悩んでいた。


 そんな俺に、


「なぁ、作戦があんだ。アイツを倒す作戦が」


 とロボが作戦を持ち込んで来た。


「…どんな作戦だ、分かりやすく言え」


 まさかさっきまで何の作戦も無しに敵の本拠地に乗り込んで行こうとしたコイツが作戦なるものを立てたことに、俺は少しばかり驚いてしまった。

 だがまだ突破口を見出していない俺と比べれば、それは願ってもないことだった。俺は冷静にどんな作戦かロボに問うと、



「しばらく囮になってくれねぇか」



 ロボの言う作戦は、囮作戦のようだ。


 もっと時間的にも精神的にも余裕があるなら、そこで多少の反論が出来たかもしれない。

 だがロボがその作戦を持ち出した瞬間、先程殴り飛ばした敵が迫って来ていたので、新たな策が出ない以上ソレを実行する以外なかった。


「どうすればいいっ!? 俺はっ!」


 とにかく今はロボの作戦を実行するため、囮になる俺は何をすればいいかロボに尋ねた。その答えは、


「とにかく全力でアイツの腹を殴ってくれっ!」


 というかなり嫌なものだった。


「……っ、分かった!」


 俺は嫌々ソレを承諾すると、敵に目掛けて突っ込んだ。そして治りかけの右手とまだ無傷で済んでいる左手を持って、敵の体に渾身の拳を打ち込む。


「オラオラァッ!」


 ドンッ! バゴッ! ドガッ! ガンッ! ゴンッ! 


「排除」 


「…っ!」


 もちろんまともに効いている様子はなく、こちらのダメージは蓄積されている一方だった。


(このままでは俺の拳がイカレちまう…っ)


 そう思った瞬間、

 

 ガッ


「えっ」


 俺の体が腕ごと敵に捕らえられてしまった。先程のロボみたく顔を握り潰そうとするのでは無く、今度は腕ごと全身の骨をへし折ろうとする気だ。その力は尋常ではなく、全力で抵抗しても、それを嘲笑(あざわら)っているかのように上から叩き潰される。


 ギュギギュギ……


「ぐぁあ…」

 

 全身が徐々に炎のように熱くなり、血液が沸騰(ふっとう)するみたいに息苦しい。全身にまともな量の酸素が巡っていないのが本能的に分かる。だがそれが分かったところで、現状を打破する案は浮かばない。


 万事休す、ここまでか…と思った瞬間、


「…っ!」


 ザッ!


「くたばれっ」


 ゴグォンッ!


 バギッ!


 敵の背後を何かが動いたのが見えた次には、強烈な鈍い音が響いた。

 するとどうだ、先程まで一切こちらの攻撃を受け付けていなかった敵が急に膝を付き、俺の体を締め付けていた腕も嘘みたいに弱くなる。

 いったい何が起きたのか、と俺はその影の正体であるロボに尋ねると、ロボの手の中には謎の円柱状のものが握られていた。


「何だそりゃ」

「コイツのメインコンピュータさ。俺みたいな人型兵器は脊髄(せきずい)んとこにそれを入れる穴があるからな。でもコイツはそこんとこが鎧で手ェ出し辛かったんだ。だからお前を囮にして、コイツを前屈みにさせて鎧に隙間を作らせたってわけ」

「…なるほどね…。だから、そういうのもっと早く言えって。分かってりやいくらでと対策取れたってつぅの」


 俺の怒りにロボは笑いながら敵のメインコンピュータをグシャリと握り潰す。俺をあんな危険な役回りにしたのは許せんが、まぁ自分含めて敵の弱点を教えてくれたのも含めてチャラにしてやる。

 そう思いながら、俺はメインコンピュータを失いガラクタと化した敵に目を落とす。するとロボ自身も同じように敵に目を落としていた。


 だがその目は冷たく、先程まで命を狙われていた敵にも関わらず、まるでゴミを見るようだった。


 そんなロボの冷淡さに俺は少しぶるりと来るが、悠長にそんなことしてる暇も無さそうだ。


「さて、まだまだ敵は多いぞ。コイツはただの尖兵(せんぺい)みたいなやつだからな」

「マジかよ」


 俺達の戦いはまだ始まったばかり。これからどんな敵が来るかも分からない状況に俺達は身を置かざるを得ないのだ。

次回の投稿もお楽しみに



評価、ブクマ、感想、レビュー、待ってますっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ