↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アカネさんかく語りき、あるいは…  作者: 藤崎403


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/9

8話

鍵さんは語る。

「私はあなた方を待っていたんですよ。黒田茜さん。本田巧さん」

人好きしそうな柔和な笑みを浮かべて鍵さん?が僕たちに一歩踏み出す。

「待って」

そこへ有無を言わさぬようにアカネさんが進み出た。

「……どうして私たちの名前を?待っていたって何ですか?」

「そりゃああもう。そういうあたりを引いたんですな」

「あたり?」

鍵さんはできの悪い生徒に教える教師のように続けた。

「あなた方がこのホームに来るパターン、あなたが黒田さん。名前を茜さんであるパターン、後ろの男の子が本田さん、名前を巧さんであるパターン、それらの確率をすり抜けて私たちはであったんです。それはまさに奇跡ですよ」

「私たちの…パターン?そんなの信じられない」

「そうですかあ?あなたならなんとなく理解できているのでは?」

鍵さんは芝居がかったように言った。

すう……っとふと気が遠くなるような錯覚を覚えた。

『赤羽あかねさん。』『赤井佳乃さん』『赤田ノイさん』『黒柴さん』『黒野正道さん』『佐藤巧さん』『おや?通り過ぎましたか』『青山紀子さん』『須々木京さん』『野島須美さん』『黒田茜さん、本間康太さん…おや?違いましたか?』

ホームを踏みしめる。立ち眩みだろうか。

「あなたは何者?」

鍵さんは目を細めた。

「ふむ。そうですねえ」

『あなたは何をしているの?』『ストーカー?』『あなたがボス?』『さっぱりわからないわ?』『その帽子似合ってないわよ』『ばーか』『…………』『は?』

ぐらぐらと視界が回る。固いホームに立っているのに酔いそうだ。僕はたまらず膝に手を突く。深呼吸……

「やめませんか?お連れの方がツラそうですよ」

アカネさんはハッとしたように僕を見た。「大丈夫?」駆け寄って背中をさする。

「大丈夫……です。乗り物酔いが今頃出てきたのかな」

不思議なもので、心配してくれる人、アカネさんの気遣いによるものか、気分は少し良くなった。吐き気もおさまってきている。

「大丈夫?ごめんね。もうしないわ」

アカネさんは少しだけよくなった僕の様子に安堵したのか、改めて鍵さんに向き合った。

「私たちを捕まえる……とか?」

「それなら今やってましたよ。隙だらけでしたし」

鍵さんはちょうどホームの長椅子2つぶんの距離のところで歩み寄るのをやめた。

「ここからは可能性を排して語りましょう。その方がドラマチックです」

「ドラマチックなんて関係ない。私たちはここから出るんだ」

なるほど。と言って鍵さんは少し考えるようなそぶりを見せた。右手首をぐりぐりを回して沈黙する。考えるときの癖だろうか。

「実のところ、あなた方が求めるゴールは私は持っているのです」

鍵さんはあごに手をやり話し出した。

「つまりですが、あなた方を生かすも殺すも渡し次第……といったところでしょうか?」

「なにそれ。私たちを脅してるつもり?」

「言葉に気を付けましょう。あなたはどうも、想定される答えの平均より少し下から話すようだ。それは賢明ではないと考えます」

「……残念です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。