7話
突然の出会いというのはある。
僕がアカネさんに会ったのもそう。
見た時に何かを感じる出会い。そういうものだ。
鰻に山椒、豚汁に七味唐辛子、とんかつにソース。いや、全然関係なかった。とりあえず言いたかったのは、割れ鍋に綴じ蓋と言うか、しっくりくると言うか、そういう感覚でしか語れない第六感だ。
暗いホームの一角の何故か蛍光灯がちらつくことなく光を照らすその場所の、ベンチに腰かけている男がいた。
いや、改めて思えば異物感が半端ないのだが、なぜかそこにいるのが当たり前のようにその場面に収まっている。
白髪の混じったその男は手元に目を落とし、ガチャガチャと何かを弄っている。
ついと僕らに気づいて男は丸眼鏡に手をやり口を開いた。
「こんばんは。こちらに来て座りませんか?」
「では失礼?」
呆然と立ちすくむ僕を置き、アカネさんはすたすたと男に歩み寄った。
僕も慌てて後を追う。
近づいてみれば、男はきっちりとしたグレーのスーツを着込んでいる。
僕らが前まで来ると、手に持っていた何か四角いものをベンチの上に置いた。
金属光沢のある箱?だ。
「ここで電車を待っているんですか?」
道で知り合いに話しかけるようにアカネさんは聞く。
すごい度胸だ。アカネさんは愛嬌も度胸も持ち合わせている。
「いえ、私はここで人を待っているんです。もうだいぶ待っていましてね」
「待ち人ですかあ?ならお待たせしましたね。私たち立派な人間でして」
男はニッコリと目を細めて笑った。
「そうですね。あなた方を待っていたんです。初めまして人間さん方。私は…そう、鍵ですかね」




