表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
74/89

第七十四話 白いパンは何でも好きです~ベルちゃんとらんちゃんのお手伝い~

 白パンが大好きだと言う、セオドア王の側近のシアンさん。何を出しても美味しそうには食べてくれるけど、やっぱりあの「白パンですかっ!? 違うのですね――」の時の残念そうな顔……。

 シアンさんの言っている『白パン』が食パンなのか、テーブルロールなのかは分からないし、これもそのまんま白パンではなく、ひと手間掛かっている。


(喜んでくれるか分かんないけど――でも何で広場に居るんだろ? しかも、冒険者ギルドのルシアンさんと一緒に……)


「シアンさんよ、俺がやってることはみんなの邪魔になってるのか?」

「そんなことはありませんよ。助かっています」

「ほら! な? な?」


 チラッとシアンさんを見ると、顔を背けられた。やっぱりちょっと何か違う様だ。


「おはようございます。シアンさんが好きな『白パン』ですが、食パンですか? テーブルロールですか?」

「おはようございます! 今朝は『白パン』ですかっ!?」

「食パンなんですが……」

「えぇえぇ、どちらも大好きです!」


「朝食に『ハニートースト』を用意したので、後でお持ちしようと思ってたんですが、食べて行かれますか? 先日の茹でパンとは違う食パンのハニートーストです」

「何でシアンは良くて、俺はダメなんだよ」

「ですから、勝手に並ばないでって言ってるんです。並んで行列になったら、また母様たちご飯食べられないでしょ?」


「あぁ、なるほどな。俺だけ意地悪されてるのかと思ったわ。それは俺が考えなしだった。申し訳ない」

「僕も言葉が足りなかったですね。すみません。お二人ともこちらへどうぞ」


(ルシアンさんに少し優しくしようと思ったのに、何で僕はこの人に強く当たっちゃうのかな?)



「ダッシャー、『意識共鳴マインド・チャイム』をお願い」

「そろそろお主でも使えるのではないか?」

「だって失敗したら困るし、お願い」

「『意識共鳴マインド・チャイム』!」

「ありがと」


 『意識共鳴マインド・チャイム』の中に二人に入って貰い、【トースター】でハニートーストを焼く。


「我も食べるぞ!」「キュゥ、食べるの」「のぉ」

「えぇぇぇ、君たち朝ご飯食べたよね?」

「食べてないぞ」

「嘘ばっかり、まぁ良いや。何枚食べる?」

「「「たくさぁん(だ)」」」


「パンに切り込みを入れるのが、一番手間が掛かりそうだな」

「お手伝いするのぉ」「するの」

「ホント? ママ、嬉しいなぁ、じゃあ――ダッシャーどうお手伝いできる?」

「ベルはパンを押さえられるのではないか?」

「出来るのぉ」


 ベルちゃんの体から小さなお手てが生えて、パンを押さえてくれた。


「ベルちゃん、上手だねぇ」


「らんは風魔法で切ることが出来るぞ?」

「なるほど! らんちゃん、これをお手本に下まで切らない様に注意して切れるかな」

「はぁぁぁい」


 スパスパスパパパパ――。


「うわっ! 一瞬で切れちゃったよ。らんちゃん、しゅぅごいでしゅねぇ」


 スパスパスパパパパ、パパパパパパパ――。

 あっという間に準備が終わった。


「二人ともありがとう、じゃあ一気に焼くよぉ」


 【温冷の調律器(サーモ・クッカー)】を取り出して、同時調理だ。


「おい! それは『あれ』か?」


 ルシアンさんは商人ギルドで【温冷の調律器(サーモ・クッカー)】を初めて見た時に、ベルちゃんとらんちゃんの『涙のしずく』に触れて、痛い思いをした。


「あはは、そうですね。あの『涙のしずく』が電力として使われています。僕以外の人が触れると拒絶するので、注意してくださいね」

「うへぇ、絶対触らねぇよ」


 3つ全部のスイッチを「カチ」「カチ」「カチ」、と弱火にしたらバーベキュー用の大きな鉄板を乗せた。

 何種類もの黄色いお花が幾重にも浮かび上がり広がると、鉄板の上に吸い込まれて消えていく。


 バターを塊りごと掴んで、鉄板に押し当てる。


「ジュワッ! ジュジュワァァー!」


 バターの濃厚で香ばしい香りが一気に広がる。

 その上にベルちゃんとらんちゃんがお手伝いしてくれた、厚切り食パンをズラッと並べて待つ。


「チリチリ……パチパチ……」


 香ばしく焼けていく音がする。さっき朝ご飯にハニートーストを食べたのに、僕もまた食べたくなっちゃった。


 良い感じの焼き色が付いたらひっくり返してっと――。

 程よく焼けたらお皿に取り出して、たっぷりのはちみつを掛けたら完成。


「アイスも欲しいぞ」「欲しいの」「のぉ」

「あれですね? 私も欲しいの」

「俺も欲しいぞ」


 簡易テーブルとイスを用意してそこにシアンさんとルシアンさんには座って貰う。お皿にまずは1枚ハニートーストを乗せたらアイスをトッピング。


「このナイフとフォークでアイスを絡めながら食べると、程よく冷えて美味しいですよ」


 カチャカチャ――パクッ。


「ふぉふぉん、ふぉれふぁふぉふぃふぃぃふぇふぅふぇ」


 ゴクン。一口飲み込んで、シアンさんが勢いよくこちらを向く。


「あっと、思った白パンでしたか?」

「先日頂いた白パンと同じ物ですか?」

「これはあれよりもバターの仕込みが多いパンで、更にたっぷりのバターで焼き上げたので、随分と食感や香りは違うと思いますよ」

「ほぉぉぉぉぉ」


 ハニートーストの乗ったお皿を鼻の近くまで持ち上げて、香りを堪能している様だ。

 ルシアンさんはわき目もふらずにバクバクと食べている。気持ちのいい食べっぷりだ。


「そこにたっぷりのはちみつと、更に甘いアイスを乗せたので、これを食べたら元気満々ですよ」

「私が疲れていると良くお分かりですね」

(全く気付いてないですよ?)


「まだか、我慢出来んぞ」「食べるの」「あまいの」

「ごめんごめん、今すぐね」


 ダッシャーはまた火傷をしたらいけないから、半分に切ってアイスを広げて「お待たせ、さぁどうぞ」

 ベルちゃんとらんちゃんには一口大に切って、「ふぅふぅあーーん」


 次のトーストを鉄板で焼いているから、冷却機能は使えない。でも、冷え冷えも美味しいけど、アイスがちょっと溶けた熱冷えがまた美味しいんだよね。


「食べ終わったら水車を見に行くからね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ