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第七十二話 お家を5棟とベッドを買いました~ご飯は見た目も肝心~

 【トイ・サンタ(おもちゃ屋)】を開いて、腕組みをして考える。


「ねぇ、くう。15人の側近たちのお家は、それぞれのカラー別に用意した方が良いかな? ベッドはこれから生まれて来る子供の数が分からないから、先ずは15台を買って、それ以外の設備は後からゆっくり考えることにすれば良いよね?」


「えぇ、今はお時間もなさそうです。後悔なさらぬよう、後ほどゆっくりとお選びになればよろしいかと――。まぁ、その都度買い直せば良いだけのこと、とも思いますが」


 カラー別のお家は3階建てを5棟、ヘッドボードに愛らしいバラの細工が施されたベッドを15台と、ガゼボを1棟ポチった。

 寝具はブランたちと同じく、ホワイトで統一した。


(あの感じだと、もしかすると自分たちで何か作り出すかも知れない)


 【アイテムボックス】の中を探ると、やっぱり『あれ』も移動してくれてあった。マナ・レクス様にまたしても感謝だ。


 実は、ちょっとした趣味でわんこ用の衣装を作っていたことがあって、その時に買った大量の布地がまだ残っていた。それを丸ごと【アイテムボックス】に残してくれてあったから、僕が勝手に市販品を用意するよりも、自分たちが好きな布地で、好きなデザインで作った方が良いと思ったんだ。


(それにミシンなら僕が教えてあげられる)



 買い物を終えて、リリーの寝室からブランたちのベッドを、2階の各部屋へと移動した。


「部屋割りは後で決めてね」


 更に、新しく用意した住宅の3階の各部屋に、ベッドを1台ずつ、各家に3台ずつ設置した。



 リリーのご飯(ローヤルゼリー)をパフェグラスに準備して、ブランたちのご飯はさっき一緒に取り寄せたキャニスターに花粉を入れて、キャンディポットにはちみつを入れた。


(ホントはハニーポットにしたかったけど、可愛くなかったんだよね)


 カラー別の寮でも使えるから、キャニスターとキャンディポットは6個ずつをポチった。

 パフェグラスのローヤルゼリーとキャニスターの花粉は冷蔵庫へとしまう。


「ブラン、冷蔵庫の中にリリーのご飯(ローヤルゼリー)と、君たちのご飯として花粉が入っているからね。はちみつはダイニングテーブルの上ね。足りなくなったら『テレビ型通信機』で連絡してね」


「ありがとうございます。あるじ様はお出かけですか?」

「うん、お花畑の外でもご飯を待っている人たちが居ると思うんだ。後は水車の修理かな」


「あるじ様が水車を修理されるのですか? ……でしたら、私にもその仕組みを教えていただけないでしょうか」

「ははは、僕には出来ないよ。昨日、水路の掃除をしたから、今日には水車が動くと良いなって話しだよ。興味があるの?」

「いずれこのお花畑の川にも、水車が必要になるはずですから」


「この地に作物を実らせるのなら、様々な仕組みが必要になるでしょうね」


 真剣なブランの顔つきに、くうが答えをくれる。


「うぅん、とりあえず水車を見て来るよ。もしかすると連絡するかも知れないから待っててね」

「連絡と言うのは?」


 【アイテムボックス】の『お花畑』を開き、それをブランにも見える様に、「おいでおいで」する。


「もしもし、リリー。聞こえる?」


 【アイテムボックス】から色鮮やかなお花たちのホログラムが、「ふわっ」「ふわわん」「ふわふわん」とあふれ出す。

 それは大きく膨らみ、パっと消える。


 同時にお花畑の空にも、大輪の花が咲いては消え、咲いては消えを繰り返す。


「このお花畑に咲く大きなお花と、リビングのテレビの前にもお花の合図が出るからね」

「もしもし。なぁに、あるじ様」


 【アイテムボックス】の画面に巨大なリリーの姿が映し出された。


「えっ? えっ!?」


「リリーの隣に行ってごらん」


 ブランがリリーのところに、スィィィっと飛んでいく。


「あっ! あるじ様!?」

「聞こえるかい? これで通信が出来るんだよ。一回切るからやってごらん」


 ――プツン。


 すぐ近くでブランの小さな声が聞こえる。「も、もし? もし?」


 画面からポンポンとお花が飛び出した。


「はいはーーい。良く出来たね」


「とても便利ですね! これなら外の世界にいらっしゃる、あるじ様やくう殿とも会話が出来ます!!」

「でも、これも着信はお花畑のどこに居ても分かるけど、テレビの前まで来ないと繋がらないのが不便だと気付いたよ」

「そうね。ずっとテレビの前に居られても困るわ」

(ですよねぇ)


「まぁでも今は頻繁に連絡するって訳でもないし、その内に改善出来るように考えるよ。くう、一緒に考えてね」

「もちろんでございます」


「じゃあ行ってくるね。夕方には戻る予定だよ」

「「行ってらっしゃい(ませ)」」

「リリー、何かあったら連絡するんだよ」


 大人しく、くうの背中に乗っていたベルちゃんとらんちゃんをスリングに入れて、抱きかかえる。



「――開け、常春の箱庭(アンセ・パルフェ)!」


 眩い白銀の光と共に、お花畑の中に桜の花びらが舞う。

 白やピンクのバラに彩られた、『バラのアーチ』が現れ、純白の扉が開いた。


 その扉をくぐって出た先は、中央広場の光の天蓋の中だった。



「あっ、これを一つ置いて来ようと思ってて忘れちゃったな」


 【アイテムボックス】からガラス瓶に入った、可愛らしいハーバリウム(エリクサー)を取り出した。


「相変わらず不用心なヤツだな。人に見られたらどうする」


 いつの間にか変化していたダッシャーに、いきなり怒られた。


「あい、すみません……」


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