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第六十二話 街中にも轟音は聞こえてました~晩ご飯はおろしハンバーグ~

「腹が減ったぞ」


 大仕事を終えたダッシャーが口にする。


「今日は一杯頑張ってくれたから、お腹も空いたね。とりあえず中央広場に戻ろうか」

「私どももご一緒してよろしいでしょうか?」

「是非ともお願いします」


 にこにこ顔でセオドア王とシアンさんが話しに入ってきた。


「こんな時間ですし、広場に行った具合でどうするか考えましょうか」


 広場に人が集まっていたとして、みんなもご飯がまだなら大急ぎで準備しないといけない。もう済んでいるなら王宮に戻ってからでも良いだろう。


「俺も~」


 当然の様に冒険者ギルドのルシアンさんも続く。スキップして見えるのは気のせいだろう。


 ◇◇


 中央広場の噴水前には仮設の共同炊事場が用意されている。そこにある魔石コンロはダッシャーの用意してくれた『雲岩鳥クラウドロックバード』の魔石を媒介に作られた『雷嵐の魔石(テンペスト・コア)』が動力源となっている。

 そこに新旧10台の魔石コンロが繋がれていた。

 1台のIH風コンロの置かれた作業台には、ダッシャーとベルちゃん、らんちゃんの魔法で作られた【保冷庫】が設置されている。


 ◇◇


 噴水前にはまだたくさんの人だかりが出来ていた。

 ――ザワザワ、ガヤガヤ。


「居た居た、マルタさん。こんばんは」

「あぁ、アンセルさんこんばんは。どこに行ってたんだい?」

「ちょっとそこまで用事がありまして……。それよりも皆さん何を騒いでいるんですか?」


「何だよ、このお人は。のんきだねぇ。あの音を聞かなかったのかい?」

「音、ですか?」

「あぁ、『ゴオオオオオオ』ってしてたと思ったら『ドッガーーーン』って大きな音がしただろ?」

(あっ、あれですか)


「えっと、あれはですね。何て言いますか、大丈夫なんですよ」

「水門を開けて水を流しただけのことだ」


 サラッとダッシャーが伝えてくれた。


「そう言うことです。えへへ」

「あ、え、うん。まぁあんたたちがそう言うのなら大丈夫なんだろうね。ただね……」

「まだ何かありましたか?」


「いやね、そこの噴水が一瞬だけ、勢いよく噴き出したんだよ」

「え、あぁ。気のせいですよ」


「おい、腹が減ったぞ」

「はいはい、今すぐ支度するよ。マルタさん達は晩ご飯は食べましたか?」


「お昼に貰った、何だっけね『桃? の冷たいヤツ』も美味しかったね。こんなに美味しい物があるんだねってみんなで驚きながら食べたもんさ」


 商人ギルドに行く前に一瞬寄って渡して行った【桃の冷製レモンクリームパスタ】だ。子供たちには酸っぱかったみたいで、甘々にしてケーキみたいにして食べてたヤツね。


「美味しく食べて貰えたなら良かったです。それで晩ご飯はどうしました?」

「それはまだだがね。ここに居る人は、皆まだだと思うよ」

「では少しだけ待っててください。お手伝いして貰える人は、先にご飯を炊いていて貰えると助かります。お米はまだ残ってますか?」

「残り少ないねぇ」

「ではすぐに補充して来ますね」


 テーブルの上に置いてある『桐の米びつ』を持って、少し離れたところに移動する。


「ダッシャー、『意識共鳴(マインド・チャイム)』をお願い」


 急いで【スーパーサンタ】を開いてお米をポチる。ついでに玉ねぎと大根と大葉に卵……ポチる。続けて【ホームサンタ(ホームセンター)】を開いて、キャンプ用品売り場へ進み、あらかじめシーズニングがされたスキレットとフタにターナーをポチる。


 ドンッと現れたお米をザザザッと米びつに移して、持ち上げ、る。


「重っ」


「――おっ、お待たせしました。お米を補充しました。炊き方は分かりますか? ハァ」

「あぁ、もちろんさね。古いコンロにはこの『板』を間に挟むんだろ? 後は『チョロパッポン』だね」

「あはは、正解」


「この『スキレット』は後の料理に使います。7〜8分目まで水を入れて火にかけたら、沸騰させて1~2分グツグツさせます。湧いたら大きな声で僕を呼んでください。持つところは熱くなるので気をつけてくださいね」


 急いで『意識共鳴(マインド・チャイム)』内に戻って【アイテムボックス】からテーブルを出してその上にボウルを置く。


 樹海の黒牛(フォレストバイソン)灰の野猪(アッシュワイルドボア)の肉を取り出して、大ぶりにカットする。

 【アイテムボックス】から電動ミンサーを選び、次々と入れていく。


「今夜のメニューはハンバーグだよ」

「うぉっほーーい」

「いやいや、相変わらずだけど、君、食べたこと……あるね?」

「最初の夜に少しだけだがあるぞ」

「ビーフシチューの鍋にポンしたヤツだね。でも今日のは和風だよ」


 ミンチにし終わったら用意しておいた材料を加えてタネを作ったら【冷蔵庫】に入れて大急ぎでマルタさんのところに戻る。


「丁度良かった。グラグラしたよ」

「こちらも準備出来たので丁度良かったです」


「このお湯を捨てたら、スキレットに水が掛からない場所で、この『たわし』でゴシゴシ洗ってください。熱いので注意してくださいね」

「任せておくれ。あんたにさせたら火傷しそうだし、あたしらの仕事さ」


(そんなに危なっかしいですか、僕は)

「危なっかしいな」

「もぉっ! 心を読まないでくれるかな?」



~【大根おろしの和風ハンバーグ】~

■材料(2人分)

・オリーブオイル:大さじ2

・合挽き肉:300g

・塩:小さじ1/4

・こしょう:少々

・玉ねぎ:1/2個(100g)

・卵:1個

・パン粉:20g

・酒:大さじ1

◆ソース

・しょうゆ:大さじ1

・みりん:大さじ1

・酒:大さじ1

・砂糖:大さじ1/2

◆付け合わせ

・大根、大葉、スナップエンドウ:適量

■下準備

1.スナップエンドウは筋を取って茹でておく。

※筋はヘタと反対側の先端に包丁で浅く切り込みを入れ、切り取らずに引いて、ヘタまで行ったら同じ様に切り込みを入れて引くと上手く取れますよ。

2.大根は皮を剥いて下ろしておく。

3.大葉は手のひらに乗せて「パンッ」と叩いて香りを立たせ、縦半分に切ってから千切りにする。

■作り方

1.みじん切りにした玉ねぎを耐熱容器に入れ、オリーブオイル大さじ1杯を混ぜたら、600wのレンジで2分加熱し冷ましておく。

2.ひき肉と塩・こしょうを粘り気が出るまで混ぜ、卵とパン粉を加え、よくこねる。

3.2等分にし、両手で投げ合う様に空気を抜き、楕円に整える。

4.フライパンに残りのオリーブオイル大さじ1杯を入れて熱し、ハンバーグを入れる。

5.中火で3分焼き、焼き色が付いたらひっくり返して酒を加え、フタをして弱火で5分蒸し焼きにする。

6.火を止めて3分休ませてからお皿に盛り付け、大根おろしと大葉を乗せ、野菜を添える。

7.フライパンに残った肉汁のアクを取り除き、ソースの材料を入れて軽く煮詰めたら、ハンバーグにかけて完成。

※スキレットの場合

1.煙が出ているスキレットに油を大さじ1杯入れたら底と側面にサッと油を広げる。

2.すぐにハンバーグを入れる。

3.中火で2分焼いて焼き色が付いたら裏返し、フタをして弱火で7〜8分蒸し焼きにしたら、火を止めて余熱で5分おいて完成。


「お待たせしました。今夜は『おろしハンバーグ』です」


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