第二十三話 商人ギルドの存在~クレープ焼きました~
「この街の商人ギルドはどこにあるんですか?」
「街外れに言葉通り『ひっそり』と建ってるぞ」
「そこの人たちは魔石コンロの整備が出来るんですよね?」
「あぁ、だが今はあまり知られていないな。昔は国中の魔石や魔導具の規格や品質を保証する機関だったんだ」
「今はそれは行われていないってことですか?」
「今は魔石も魔道具も、この国ではあまり使われなくなったからな。奴らも好きな研究に重きをおいているんだろうな」
「魔道具があまり使われないのは、魔石の値段が高いのもあるんですか?」
「だろうな。魔石持ちの魔物は強いからな。高ランクの冒険者パーティでもなければ狩るのも難しいだろうし、対価に見合った働きが無いと判断したのだろうよ」
商人ギルドがある街外れに向かって歩く。
「他には何をする組織なんですか?」
「他国ではギルドに登録していない「モグリの商人」が、勝手に商売をするのを禁止したり、処罰したりするな。後は適正価格の設定や偽物の取り締まりか」
(警察みたいな物かな?)
「おっと忘れちゃなんねえ。ギルドカードの発行と身分の証明だな。まぁもう、お前さんには必要ないだろうがな」
「冒険者ギルドのカードがあれば他のギルドでは登録は要らないんですか?」
「店でも構えて商売でもしようってんなら商人ギルドへの登録も済ませた方が楽かもな。だがお前さんには不要だぜ。アンセル様よ」
「またそれを言う。やめてくださいって」
「本当のことだから仕方ないな。ハハハ」
「でも今では表向きには魔導具の整備なんかしていないんですよね?」
「あぁ、だが俺の裏情報だと常にその腕は磨き続けてるらしいぜ。神の定例会でもその腕を自慢した魔道具が披露されてるらしいしな」
(そんな会合があるんだ。それでマナ・レクス様も下界に降りるってことか)
そんな話しをしながら街外れまで来た。
「着いたぞ」
「え? どこ?」
僕の疑問にダッシャーが「ふぅ」と息を吐いた。
さっきまで陽炎の様に揺らいで曖昧だった建物の輪郭が「スッ」と現れた。つるを伸ばして美しく咲き誇る花々が、壁面を隙間なく覆いつくしている。
よく見ると壁に掛けられたかんばんには、天秤と大小の歯車、周りには花とつるになぞらえた魔術回路が描かれていた。
キレイな造りに何気なくそっと触れる。
シュン――。風の音に聞き取れないほどの小さな音がした。
壁のドアノッカーをルシアンさんが「ガンガン」と叩く。
「レイノス、居るかい?」
(…………)
「入るぞ」
「何の用ですか」
奥から黒髪に切れ長の青い瞳の冷たそうなお兄さんが出てきた。前髪が目に掛かり、邪魔そうに耳に掛けている。
目の下にクマが出来ていて青白い顔色だか、この人もイケメンだ。
「お前に頼みがある」
「帰りなさい」
「そう言うな。ダッシャー、こちらへ」
「神獣を出してきても無駄ですよ。帰りなさい」
「よく見ろ」
ダッシャーの背中にベルちゃんとらんちゃんが乗っていた。
「スライムとアルミラージですか、珍しくも――。何ですか、この魔力はっ!?」
「興味が出たか?」
「何なんだって聞いてるんですよ! 神獣にバカでかい魔力のスライムにアルミラージなんて聞いたことありますか?」
「あの、えっと、スライムの『ベルちゃん』とアルミラージの『らんちゃん』です」
「何しれっと紹介してるんですか」
「流石はアンセル様だ。アッハッハ」
「仕方ないですね。ここでは目立ちます。とりあえずお入りなさい」
「お邪魔しま~す」
中に入ると天井が高いロビーに受付のカウンターがあった。そこには誰の姿もなく、しんと静まり返っていた。しかし、部屋を満たすどこか異様な雰囲気に、誰もいないはずの室内をぐるりと見渡した。
レイノスさんはそのままズンズンと奥へ進む。
その先には地下へ進む階段があり、階下からは小さな話し声が聞こえた。
「――おい、今、ノッカーが鳴らなかったか?」
「気のせいだろ。あの結界は、王都中の花から集めた魔力で編んであるんだ。普通の人間は存在すら気づかん」
「いや、違う。看板の魔術回路にだれか触れた。おい、何年ぶりだ? 結界を抜けてここへ来る客なんて」
ガチャ。部屋の扉を開ける。
中に居た人たちが一斉にこちらを向く。
「ほら見ろ、言った通りだろ?」
「ホントに訪ねてきた人が居た」
「俺たちの魔術回路が破られたってのか? 一体誰に?」
ズズンとダッシャーが顔を見せる。
「あぁ、神獣様か。それなら分かるな」
「あぁ、それなら俺たちの力が及ばないのも無理はないな」
「お前たち、おしゃべりしていないで手を動かしなさい」
「「「は、はい」」」
「それで頼みと言うのは何ですか?」
「あぁ、アンセル様」
「やめてください。初めましてレイノスさん、僕はアンセルと言います。この子達のママです。実はお願いと言うのはですね――」
「腹が減ったぞ」
空気を読めないダッシャーが何やら言い出した。
「「うん。お腹空いたぁ」」
子供たちも騒ぎ始めた。こうなったらもう止まらない。
「すみませんが先にこの子達におやつをあげても良いですか?」
「おやつっ!?」
一瞬、レイノスさんが食いついた気がしたけど気のせいだろうか。
「すみませんが支度をしたいので借りられる部屋は無いですか?」
「あ、あぁ、ではこちらの部屋を使ってください」
「ありがとうございます」
(レイノスさんがちょっと優しい気がするけど、まさかおやつ好きなのかな? なら丁度いいのがあるぞ。ふふふ)
借りた部屋のテーブルにカセットコンロとフライパンを用意。【冷蔵庫】から準備しておいたボウルを取り出す。
すると【金の身分証】がピコンピコン鳴った。
「ホーホー、アンセルよ。儂もそこへ――。な、なんじゃ。こら止めぬか。イタッ! イタタ……」
――――プツン。
マナ・レクス様のホログラムが現れたと思ったら、トナカイの足が見えてノイズと共に消えてしまった。
「何だったんだろう? 何かモメ事かな?」
「そんなことはどうでも良いではないか。早くせぬかぁぁぁ」
「はいはい、すぐに焼くからね」
フライパンをやや弱火の中火にかけて温めたら生地を入れてっと。
くるくるっと回し広げたら待つ。
「良い感じに生地の周りに焦げ色が付いたな」
菜箸でペラッと軽くめくったら、指で掴んで菜箸も使ってひっり返す。
「アチアチチチ、それっ」
10秒位待ったらお皿にポイってひっくり返して取り出す。形を整えたら次々焼いて行く。
「久しぶりに作ったけどガレットよりもかなり薄いから、すぐに火も通るし扱いやすいな」
ポンポンポンポンと焼いて行く。
「よし! これだけ焼けば足りるだろう」
~【クレープ】~
■材料(20cmのフライパン6枚分)(内は27cmのフライパンで6枚強)
◆クレープ生地
・薄力粉:40g(80g)
・砂糖:20g(40g)
・卵:1個(2個)
・牛乳:100ml(200ml)
・溶かしバター:10g(20g)
■下準備
1.バターを小さめの耐熱容器に入れ、ふわっとラップをして600wのレンジで10~20秒チンして余熱で溶かす。
■作り方
1.ボウルに薄力粉と砂糖を入れ泡だて器で混ぜ、中央をくぼませて卵を割り入れる。
2.泡だて器で卵をほぐし、少しずつ周りの粉を巻き込む様に、粉っぽさがなくなるまで混ぜる。
3.牛乳の1/3量を加え泡だて器で混ぜ、残りの牛乳を2回に分けて加え全体がなじむまで混ぜたら、溶かしバターも加えて良く混ぜる。
4.ラップをして冷蔵庫で30分~1時間休ませる。
5.フライパンを弱めの中火で熱し、生地をお玉1杯弱流し入れ、フライパンを回して手早く全体に薄く広げる。
6.生地の縁にこんがり焼き色が付くまで焼いたら、菜箸を生地の縁に差し込み、指でつまんでひっくり返す。
※かなり熱いのでやけどに注意! 張り付きやすいフライパンの場合は薄く油をひいてね。
7.裏面を10~15秒サッと焼いたら、フライパンごと返してお皿に取り出して冷ます。
8.生地の粉が沈みやすいので、都度さっと混ぜてから、残りも同じように焼く。
焼けたクレープは上に重ねてOK。冷めたらお好きなトッピングで召し上がれ。
【ハムとチーズと野菜】
■具材(1枚分)
・ハム:1枚
・スライスチーズ:1枚
・野菜(レタス・きゅうり・トマト・タマネギ等):適量
・マヨネーズ:適量
■作り方
1.クレープ生地にお好みの野菜をのせ、少量のマヨネーズをかける
2.スライスチーズとハムをのせ、もう一度お好みの量のマヨネーズをかける
3.クレープ生地を巻いたら完成
【果物とホイップクリームのチョコソース】
■具材(1枚分)
・いちご:3粒
・バナナ:1/2本
・ホイップクリーム:適量
・チョコレートソース:お好みで
■作り方
1.クレープ生地にホイップクリームをのせる
2.食べやすいサイズにカットした果物をまんべんなく並べる
2.お好みでチョコレートソースをかける
4.クレープ生地を巻いたら完成
(さて、どう言う反応になるかな?)




