第二十二話 ガレットは大盛況~野菜のガレット作ります~
さて、子供たちは満足したみたいだし皆さんに作って貰おうか。
「皆さん、お待たせしました」
「いやいや、こんなすごい物教えて貰えるんだ。いくらでも待つよ」
ダッシャー達にせっせと焼いて渡していた『そば粉のガレット』を3枚焼くごとに1枚みなさんにお渡ししていた。
一口食べる度に質問攻めで、しかし参った。
「何だい? この白い伸びる物は?」
「それは『チーズ』です。ミルクから作られるんですよ」
「この丸い可愛いのは何?」
「それは『ハム』ですね。豚肉……、オーク肉の塩漬けってとこですか」
「これは見た目は『とうもろこし』だけど何でこんなに甘いの?」
「そう言う品種です」
「何でこんなに新鮮な野菜が手に入るんだい?」
(…………)
「皆さんがご家庭で作れる様に具材は考えた方良いですよね?」
「そうさね。卵やチーズと言ったかい? これは先ず無理だね」
「そうそう、特にこの『ハム』なんて、どうやったらこんなに丸く、こんなに柔らかい肉になるのか分からないよ」
(企業努力でしょうね)
「では、お野菜の具材で作ってみましょうか。今はどんな野菜がありますか?」
「じゃがいもは日持ちするからあるね」
「葉野菜はその日に食べる分しか採らないし、保存はきかないからキャベツ位しか無いね」
「後はカブとかぼちゃと玉ねぎかね」
(じゃがいもは先に煮込んで味付けをしてから包もうか。キャベツはお好み焼風に出来そうだ。かぼちゃは甘く煮付けてデザートにも出来るかも)
「皆さん、簡単ですがレシピを考えました。こちらでどうですか? 材料は一通りこちらに置いておきますのでお好きに使ってください」
「あれ嬉しいね。私はじゃがいもでお腹を膨らませたいから、これとこれをとりあえず頂くよ」
「魔石コンロが2台しか使えないので順番にお願いしますね」
「ちょっと家に帰って大鉢を持ってくるよ」
「あたしはキャベツを使ってみたいね。後からこの『ソース』を塗るんだね?」
「分からなかったら遠慮なく聞いてくださいね」
~【じゃがいものコンフィ風ガレット】~
■材料(2枚分)
◆ガレット生地
・そば粉:50g
・水:120~130ml
・塩:ひとつまみ
・はちみつ:小さじ1/4(焼き色が綺麗につきます)
◆トッピング(2枚分)
・じゃがいも:小1個(約100g)
・水:大さじ4(じゃがいもを煮る用)
・コンソメ:小さじ1/2
・塩、コショウ:少々
・ピザ用チーズ:ふたつまみ(1枚ひとつまみ)
・卵:2個
■下準備
1.じゃがいもは薄切りにする。
2.鍋にじゃがいも、ひたひたの水、コンソメ、塩コショウを入れて、汁気がなくなるまで煮詰める。
■作り方
1.フライパンを弱めの中火で熱し、油を薄く広げお玉1杯分【約75ml】の生地を流し入れ、手早くフライパンを回して薄く均一に広げる。
2.中央を開けてチーズをドーナツ型に広げ、その上に味付けしたじゃがいもを広げる。
3.中央に卵をそっと落とし、蓋をして蒸し焼きにする。
4.四辺を折って完成
~【キャベツのお好み焼き風ガレット】~
■材料(2枚分)
◆ガレット生地
・そば粉:50g
・水:120~130ml
・塩:ひとつまみ
・はちみつ:小さじ1/4(焼き色が綺麗につきます)
◆トッピング(2枚分)
・千切りキャベツ:1枚(約50g)
・豚バラ肉:4枚(1枚につき2枚)
・ピザ用チーズ:ふたつまみ
・卵:2個
・お好み焼きソース、マヨネーズ、青のり:お好みの量
■作り方
1.フライパンを弱めの中火で熱し、油を薄く広げお玉1杯分【約75ml】の生地を流し入れ、手早くフライパンを回して薄く均一に広げる。
2.全体に千切りキャベツをどっさり広げ、その上に豚肉をのせる。
2.中央を開けてチーズをドーナツ型に広げ、中央に卵をそっと落とす。
3.蓋をしてキャベツがしんなりし、お肉に火が通るまでじっくり蒸し焼きにする。
4.四辺を折り、仕上げにお好みソース、マヨネーズ、青のりをかけて完成。
~【かぼちゃのデザートガレット】~
■材料(2枚分)
◆ガレット生地
・そば粉:50g
・水:120~130ml
・塩:ひとつまみ
・はちみつ:小さじ1/4(焼き色が綺麗につきます)
◆トッピング(2枚分)
・かぼちゃ:5mm程度のスライス4枚
・水:大さじ2(かぼちゃを煮る用)
・砂糖:小さじ1
・醤油:2〜3滴
・バター:10g(1枚に5g)
・シナモンパウダー:お好みの量
■下準備
1.鍋にかぼちゃ、少量の水、砂糖、醤油を入れて、甘めの煮付けにする。
■作り方
1.フライパンを弱めの中火で熱し、油を薄く広げお玉1杯分【約75ml】の生地を流し入れ、手早くフライパンを回して薄く均一に広げる。
2.生地の真ん中に、甘く煮たかぼちゃを並べる。
3.バターをかぼちゃの上にぽんと落とし、生地を四角く折りたたむ。
4.お皿に盛り付け、お好みでシナモンパウダーを振ったら完成。
「やっぱり問題は魔石コンロだな」
「買ったではないか」
「新品はすぐに使えたけどこの2台だけだし、後はメンテ中なんだよね」
「コンロがあれば我らももっと食せると言う事か?」
「それは関係ないよ。僕はカセットコンロも持ってるからね」
「ならば良いではないか」
「まさかこんなに人気が出ると思わなかったんだよ。これじゃ焼く枚数と食べたい人数が合致しないんだよね。カセットコンロは出せないしね」
「すぐに使える魔石コンロは無いのか?」
「うん? 無いんじゃない? あれば売ってくれてたと思うし。とりあえず整備がいつ終わるか聞いて来ようか」
「大盛況じゃないか、アンセル様」
「ルシアンさん、その呼び方は止めてくださいよ」
「使徒様に様呼びして何が悪いんだ?」
「また騒がれたくないんですよ」
「こんな大それたことしておいて、それは無いんじゃないか?」
「だって、ダッシャーもマナ・レクス様も好きにしていいって……」
「ほらそれな。普通は神様から許可なんて貰えないんだよってんだ」
「な、なるほど……」
「それで何考えこんでたんだ?」
「ガレットが人気すぎてコンロが足りないんですよ」
「10台あるんだろ?」
「8台は整備中なんです」
「気長に待てば良いんじゃないか? ってあの様子じゃそうもいかないか」
視線の先には長い列を作った人たちが見えた。水辺に並べたテーブルの外側に並んでいる。
コンロが無いから順番に焼くってよりも、まずは食べてみたいって人が多い様だ。
「だから今から道具屋さんに行って、あとどれ位掛かるか聞こうと思ってました」
「なら俺も一緒に行こう」
「こんにちは、バルナスさん居ますか」
「おぅコッチだ。入って来な」
お店の奥に行くと、大きなテーブル一面に魔石コンロが分解され広げられていた。
「どうした?」
「いえ、新品の魔石コンロでマルタさん達に料理を教えたんですが、大盛況で」
「それは良かったじゃねぇか」
「それはそうなんですけど、長い列になってしまって」
「あぁ、これか? 錆びつきや汚れが剥がせなかったりで大変でな。思っていたよりも時間が掛かりそうだ」
「なら俺から提案だ」
「あんた誰だい? 俺はバルナスってんだ。ご覧の通り道具屋だ」
「俺はルシアンだ。新しくこの街にギルドを作った。そこのマスターだ」
「あぁあんたかい。デルポフを切り捨ててきたって強者は」
「ハハハ、なんだいそりゃ」
「それで提案ってなんだ?」
「この街にも『商人ギルド』があるだろ?」
「……小さくて目立たないけど、あるにはあるな」
「そこの人手を借りる」
「そんなこと出来るのか?」
「あぁ、ダッシャーとアンセルが居るからな」
「へ? ダッシャーはともかく、僕は関係ないでしょ」
(……)
「それで、商人ギルドの人たちは魔石コンロの整備が出来るってこと?」
「しかも腕利きのな」
それは使わない手はないな。後はバルナスさんの気持ち次第か。
「えっと、バルナスさんがお嫌でしたら無理にとは言いませんよ」
「……いや、お願いしよう」
「ほぉ自分の手でやり遂げたいとか言わないんだな」
「それ以上に俺以外の『腕利き』に興味があるからな」
「……ただ、あいつら、素直に言うことを聞いてくれるかどうかだな」




