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第十五話 竜怖の卵~誕生と名付け~

 夕食を終え、部屋で『くう』に膝枕で魔素の流れを教えて貰いながら、スリングに入れて服と地肌の間に抱いて温めている卵を見る。


 あの山で、隣国の悪漢達に人質に取られ、動けなくされていたドラコンの宝の卵だ。

 ドラコンが神様からの託されものと、大切に護っていた『竜怖りゅうふの卵』。


 ダッシャーが反対しないから、そのままグローから託されたんだけど。


「これ、いつ孵るんだろ? もしドラゴンが生まれたらどうしよう……」


 ドラゴンだとしても、ずっとこのままもキツイな。


「もしもーし」


 卵に話しかけてみる。

 ――すると、『ピキ…ピキピキピキ……』ヒビが入った!!


「くうっ!!」


 慌てて叫ぶ。


「卵にヒビが入った! 孵るよ!!」


 胸に抱いてオロオロウロウロする。

 まるで病院の廊下で、出産を待つ父親の気分だ。


 くうが卵に顔を近付けたその時、卵が割れて何かが飛び出した。


「パパ!」


 何かが『くう』に抱きついて、すりすりしながら叫んだ。

 プフフ……。つい笑ってしまった。


「私がパパなら、貴女はママですね」


 満更でもなく言われて、少し引いたが子供に罪は無い。


「子兎みたいだね。可愛いけど何て種族なの?」

「アルミラージですね。卵から生まれるとは聞いた事がありませんが、生まれてすぐに言葉を発しましたし、特殊個体かも知れないですね」


 ふぅんと見つめていると、抱いたままの卵から「チリンチリン」と小さな音がする。

 殻の中を見ると、透明なプルプルが跳び跳ねる度に「チリンチリン」鳴っていた。


「君は誰ですか?」


 言い終わると同時に「ママ!」と飛び付かれた。


「スライムですね」

「スライムって卵から孵るの?」

「このスライムもすぐに話しましたからね。やはり特殊個体でしょうか」


「特殊個体ってそんなにポンポン生まれるの?」

「永い年月とき、ドラゴンの魔素に触れていたのが起因しているのでしょうね」

「まぁどっちも可愛いしヨシかな。君たちうちの子になる?」


 話し掛けると二人に「ママ」と抱きつかれた。

 決定だ。


 あ……。くうにも聞かないとかな?

 思った瞬間、今度は「パパ」と『くう』に抱きついた。

 デレッとしてるし大丈夫だな。


「名前をつけないといけませんね。何か良い名はありますか?」

「スライムはチリンチリン鳴って鈴みたいだし、リン、スズ、あ! トナカイ繋がりでベルが良いかな?」


 「チリンチリン」嬉しそうに跳ねている。

 じゃ『ベルちゃん』ね。


 アルミラージは実家で飼っていたわんこに似てるし『らんちゃん』で良いかな。


「らんちゃんらんちゃん」


 こっちも良さそうだ。


「くうも『ベルちゃん』と『らんちゃん』で良い?」

「私は貴女が決めたのなら文句はないですよ。とても良い名前です」


 ですよね~。


「この子達って何食べるんだろ?」

「通常、アルミラージは肉食で、スライムは雑食ですね」


 でもまだ生まれたばっかだよね。


「よし! ヤギミルクを探そう」


 【スーパーサンタ】を開く。


(うぅ……ん。やっぱりあのスーパーには無いか)


 あっちの世界で良く行っていたスーパーには、確かペット用品専用売り場はなかった気がする。

 2階に小さいけど日用雑貨と一緒になったペット用品売り場があって、パウチの離乳食はあった気はするけど、ミルクは無かった気がするし……。


 ――ピコンピコン――。


 【スーパーサンタ】の隣に【ホームサンタ】が新しく現れた。


(ふふふ。本当に便利だな。ありがとうございます。マナ・レクス様)


 【ホームサンタ】で耐熱哺乳瓶と乳首と注射器と、ヤギミルクは粉のしか無かったから先ずはそれをポチる。


「『ベルちゃん』『らんちゃん』ミルク飲む?」


 二人してビクッと反応した。

 『くう』の上で飛び跳ねながら「飲む飲むぅ」とスライムの『ベルちゃん』。

 『くう』のお腹の下で「飲む~」とくるくる回るアルミラージの『らんちゃん』。


「はいはい。すぐ支度するからちょっと待ってねぇ~」


 ポットでお湯を沸かし、哺乳瓶でミルクを作る。

 水魔法で適温まで冷まして、半分をマグカップに取り分ける。


「お待たせ~。出来たよ」


 哺乳瓶で『らんちゃん』に飲ませながら、マグカップから注射器で吸い取ったミルクを『ベルちゃん』にポタポタ飲ませる。

 僕の手は2本なんだよね。当然だけど。


 二人同時はこりゃ大変だ。でもかなり可愛い。


「「けぷ」」

 二人してご馳走様したと思ったら、『くう』に寄り添ってスヤスヤお休みだ。


「これはホントに可愛いな♪」


 光魔法でミルクの片付けを済ませて、さて僕も寝るかなと思ったら『くう』の視線が痛い。


「私はこのままなのでしょうか? ならばせめて私にも何かあっても良いのではないでしょうか?」

(……プリンでも作るかな)



~【プリン】~

■材料(8~10個分)

・卵:6個

・牛乳:750ml

・砂糖:90g〜100g(お好みで調整)

・バニラエッセンス:5〜6滴

・カラメルタブレット:8~10個

■下準備

1.オーブンを150℃に余熱する。

2.天板に張るための熱湯を沸かす。

3.天板に厚手の布巾(または、キッチンペーパー数枚)を敷き、プリン型を並べてカラメルタブレットを1個ずつ入れておく。

■作り方

1.耐熱ボウルに牛乳を入れ、600wのレンジで5分〜6分加熱し、砂糖を入れてよく混ぜて溶かす。

2.別の大きなボウルに卵を割り入れ、泡立てないように静かに、コシを切る様にしっかり混ぜる。

3.①の牛乳を、②のボウルに少しずつ注ぎながら混ぜる(一気に入れると卵が固まるので注意!)。

4.バニラエッセンスを加え、茶こしや目の細かいザルでこす。

5.④のプリン液を型に均等に注ぐ。

6.1つずつアルミホイルできっちり蓋をし、天板に並べる。

7.天板をオーブンに入れてから、2〜3cmくらいまで熱湯を注ぐ。

8.150℃で30分〜40分焼く。

9.粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やして召し上がれ。



「くう、お待たせ。プリンが出来たよ。焼きたて熱々だけど今食べる?」


 あ、寝ちゃってる。

 冷やして明日のおやつにしよう。

 くう達に布団を掛けてベッドに潜り、「おやすみなさい」。


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