第百十三話 子供たちが青年に成長していました~卵白はフィナンシェに~
中央広場の共同キッチンでマルタさんたち母様に、フライパンで作るカルボナーラの作り方をサクッと教えた。
「ソフトサラミと牛乳と生クリーム、チーズとバターは保冷庫に入れておきますね」
「ありがとうよ。その『ほれい・こ』も便利だね」
「んきゅ」「ちりりん」
「そうだね。ベルちゃんとらんちゃんが作ってくれたんだもんね。ありがとうよ」
マルタさんが二人を褒めて撫でてくれる。二人とも、とっても嬉しそうだ。
「卵は卵黄だけを使った方が濃厚に仕上がりますが、全部入れてしまっても良いですよ」
「白身だけ残ってしまっても困るねぇ」
「そう思って、卵白を使った簡単なお菓子のレシピも用意して来ました」
「お菓子かい? これまた嬉しいねぇ」
「あ、そうだ。後でシアンさんがトトさんを連れて来ると思うので、レシピを教えてあげてください」
「あたしらが、王宮料理長のトトさんにかい?」
「それは無理だよ。恐れ多くて出来ないって」
あれ? この感じだとトトさんは教えて貰えないパターンかな? 一言足しておこうかな。
「トトさんに教えてあげないと、多分セオドア王とシアンさんはここに食べに来ますよ」
「うへっ!? それはもっと困ったね」
「トトさんに教える方がまだ気が軽い……かね?」
結果的に母様たちが教えたレシピを王様が口にする。でも、そのレシピって僕が教えてるんだから、そんなに恐がらなくても良いと思うんだよね。
「僕から教えて貰ったって言えばへっちゃらですよ!」
~【オーブン使用 オイルのフィナンシェ】~
■材料(6個分)
・卵白:1個分 ※必ず常温に戻す
・ココナッツオイル(お好みのオイル):40g
・砂糖:35g
・薄力粉:15g
・アーモンドプードル:20g
・はちみつ:5g
■下準備
・オーブンを180℃に予熱する。
・型に薄くココナッツオイル(分量外)を塗るか、グラシン紙を敷いておく。
※シリコン型やアルミの使い捨ての焼き型の場合は不要です。
・薄力粉とアーモンドプードルは合わせてふるっておく。
・ココナッツオイルが固まっている場合は、湯煎などで液体状に溶かしておく。
・ココナッツオイルを使う場合、卵白は必ず常温に戻しておく。
■作り方
1.ボウルに常温の卵白、砂糖、はちみつを入れ、泡立て器で泡立てないように静かにすり混ぜる。
2.合わせてふるった薄力粉とアーモンドプードルを加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わせる。
3.溶かしたココナッツオイルを加え、全体がなめらかに一体化するまでしっかり混ぜる。
※卵白が冷たいと、ここでオイルが固まってしまうので注意してください!
4.生地を型の8分目まで流し入れ、180℃のオーブンで約15分焼く。
5.全体に綺麗な焼き色がつき、中央を軽く押して弾力があれば焼き上がり。型から外してケーキクーラーなどに乗せて冷ます。
「余った卵白で作る甘いお菓子を、フライパンで焼く方法をお教えしますね」
「ほぁ、ホントに自分でお菓子が作れるんだね」
「あたしらでも失敗なしに出来るかね?」
「注意するのは火加減だけですよ」
常温に戻した卵白に砂糖とはちみつを入れ、泡だて器で泡立てない様にすり混ぜます。
薄力粉とアーモンドプードルを加えて混ぜたら、オイルも混ぜて生地の出来上がり。
魔石コンロに炊飯用で使っている『ヒートディフューザー』を置いたら、バターを塗ったフライパンに生地を流し込み、フタを忘れずにして、弱火でじっくりと焼いたら出来上がり!
「普通のフィナンシェの60個分が1つのフライパンで出来上がります。卵白の良質なタンパク質とアーモンドの栄養が詰まっているので、肉体労働をした今日とかの疲労回復には良いですが、とてもカロリーが高いので、食べすぎはダメですよ」
~【フライパン使用 ココナッツオイルのフィナンシェ】~
■材料(26cmのフライパン1個分)
・卵白:10個分 ※必ず常温に戻す
・ココナッツオイル:400g
・砂糖:350g
・薄力粉:150g
・アーモンドプードル:200g
・はちみつ:50g
◆フライパンに塗る用
・バター:20g
■下準備
・フライパンにバターを直塗りする。
・薄力粉とアーモンドプードルは合わせてふるっておく。
・ココナッツオイルが固まっている場合は、湯煎などで液体状に溶かしておく。
・ココナッツオイルを使う場合、卵白は必ず常温に戻しておく。
■作り方
1.ボウルに常温の卵白、砂糖、はちみつを入れ、泡立て器で泡立てないように静かにすり混ぜる。
2.合わせてふるった薄力粉とアーモンドプードルを加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わせる。
3.溶かしたココナッツオイルを加え、全体がなめらかに一体化するまでしっかり混ぜる。
※卵白が冷たいと、ここでオイルが固まってしまうので注意してください!
~【フライパンで焼く】~
1.ヒートディフューザーを五徳に敷き、バターを塗ったフライパンを置く。
※炎の『点』の熱を、均一な『面』の熱に変えてくれます。
2.生地を流し込んだら、すぐにピッチリとフタを閉める。
3.弱火でじっくり約15分〜20分、じわじわと熱を伝える。
4.表面がぷっくりと膨らみ、触ると弾力がある状態になれば完成。
※片面焼きで大丈夫です。
5.お好きな大きさに切り分けて召し上がれ。
「ココナッツオイルはクセが強いので、嗅いでみてダメそうなら、こっちのこめ油を使ってくださいね」
「じゃあフライパン1個分ずつ作ってみようかね」
「それは良いですね」
母様たちにサクッとレシピを教えたら、急いで撤収だ。
「みんな、お待たせ。さぁリリーのところへ行こうか」
この間、『くう』に注意されたから、少し中央広場から離れたところで扉を開く。
「――開け、常春の箱庭!」
ダッシャーが魔法を唱えると、光と共に桜の花びらが美しく舞い、目の前に『バラのアーチ』が現れた。
色とりどりのバラの花に彩られた、アーチの向こうに現れた純白の扉が開く。
そこには光の糸で編まれたレースの膜が柔らかに揺らめき、可愛らしいシャンデリアが揺れる、極上のガゼボが建っていた。
その隣には、聖樹に護られたリリーの六角形の巣と、リリーと5人の麗人たちの住まい。そして、新しく設えた、5棟の寮が佇んでいた。
「あら、あるじ様。おかえりなさい」
聖樹の前で優雅に羽を休めていたリリーが、僕を見つけて愛らしく微笑む。
「ただいま、リリー。遅くなってごめんよ。変わりはない?」
「ふふふ、まぁないと言えばないわね。あたしはね」
苦笑いしながら返事をすると、リリーから意味深な返事が返って来た。
「え? もしかして、子供たちに何かあったの!?」
すると、リリーの側から現れた5人の青年たちが一斉に背筋を伸ばし、美しい所作で膝を突いた。
「お待ちしておりました、アンセル様」
そこには朝の少年期の面影を残しつつも、見違えるほど凛々しく、そして美しく成長した青年の姿があった。




