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第百十二話 お馬さん達と悪だくみです~残った生クリームでレアチーズケーキ~

 リリーに夕方までには戻ると言ってお花畑を出たから、僕は急いでリリーの元に帰りたかった。

 そんな思いがつい先走って、何も考えずに言葉が口をついてしまった。


「ちょくちょく名前が出るが、クイーン・リリーってのは誰だい?」


 冒険者ギルドのギルマス・ルシアンさんから問いかけられる。


「前に商人ギルドの玄関前で、らんちゃんが見つけた女王蜂ですよ」

「俺はそれ、初耳じゃないか?」

「あ……。一緒に商人ギルドに居たからてっきり分かってるかと思ってました」

(余計なこと言っちゃったな……)


「その女王蜂を保護したってことですか?」


 セオドア王が興味深々に聞いて来る。


「え、えぇ、そうなんですよ。あはは」

「その様子だと、また何かおかしなことが起きていそうだな」


 ルシアンさんから鋭い突っ込みが入る。


「え、えっとぉ。あっ! あっさりチーズケーキがあるんですよ。食べますか? あ、あははぁ」

「食べるぅ(ぞぉ)」

「食べるっ」

「頂戴します」

「いただきます」


 一人多いな。いつの間にかシアンさんが戻って来ていた。



~【やわらか仕立てのレアチーズケーキ】~

■材料(大き目カップに4個分)

・キリ(クリームチーズ): 6個(108g)

・砂糖: 55g

・プレーンヨーグルト(無糖): 220g

・レモン汁: 小さじ1と1/2

・生クリーム: 140ml

・粉ゼラチン: 5g

・水(ゼラチン用): 大さじ2

■下準備

1.キリを包みから出して耐熱ボウルに入れ、600wのレンジで20~25秒温めて柔らかくする。

2.ココット等に水を入れてから、粉ゼラチンを振り入れふやかしておく。

■作り方

1.キリのボウルに、砂糖・ヨーグルト・レモン汁・生クリームを順に加え、その都度泡立て器でなめらかになるまでよく混ぜ合わせる。

2.ふやかしたゼラチンを600wのレンジで20秒温めて溶かす。

3.②を①のボウルにまわし入れ、底から全体を素早くしっかり混ぜ合わせる。

4.グラスやココットに流し入れ、冷蔵庫で3時間以上しっかり冷やし固めれば完成!

※それぞれ温めたら、冷えない内に混ぜ合わせることで滑らかに仕上がります。



 レンチンカルボナーラで残った生クリームで、サクッと作れる簡単レアチーズケーキだ。

 甘さはやや控えめだから、ジャムやはちみつをトッピングしても美味しい。


「はいどうぞ、召し上がれ」

「美味っ」「美味しいの」「ミルクなの」

「うん、美味しいね。ベルちゃん、良く分かったね。これにはミルクから作られた、クリームチーズとヨーグルトと生クリームが入ってるんだよ」


「アッサリとしていて、疲れた体に実に優しいですね」

「あぁ、アンセル殿の優しさが込められた品だな」

(セオドア王は、僕を天使様か何かと間違えてやしないだろうか……)


「いやぁ、アンセル様の作る物はどれも美味いな。ホントこの時だけは天使様かと思うわ」


 ルシアンさんが言ってはいけないことを口にする。


「僕はただの料理好きな一般人ですよ」

「あぁ、現実を認めたくないのは分かるぜ」

「いや、えっと……まぁ、もぉそれでいいです」


「僕たちはマルタさんにレシピをお教えしたら出掛けますので、カルボナーラが良ければマルタさんに作って貰うか、マルタさんからトトさんが教えて貰ってくださいね」

「トトに教えて貰っても良いのですか?」


 シアンさんが笑顔で確認してくる。


「はい、僕のレシピは秘密じゃないですからね。ただ、時間がないので直接お教えできなくて申し訳ありません」

「ありがとうございます! では、私は一足先に戻って、トトを連れたら中央広場に参ります!」


 シアンさんが自分は街に戻るからと、部下たちに今日最後の指示を出しに行った。



(いくらシアンさんが張り切っても、結局頑張るのはパドラスだ。この感じだと、少し遅れて現れる位かな? マルタさん達に教えた直後に現れたら、無視して出かけることも出来ないな)


「ねぇ、ダッシャー。君の名前を借りても良い?」

「何を企んでおるのだ?」

「ちょっとパドラスにお願いしたいんだ」

「あぁ、なるほどな。構わぬぞ」


「らんちゃん、パドラスに『のんびり走ってくれたら、明日ダッシャーとのおやつタイムを作ってあげる』って伝えてくれるかな?」


 小さな声でらんちゃんに通訳をお願いした。でも、子供を悪だくみに使ったらダメかな?


「きゅい?」

「らんちゃん! ちょっと待って。ママが自分でお願いしてみるよ」


 やっぱり悪だくみに子供を巻き込んだらいけないよね。

 近くに居たセオドア王の愛馬、フィデロにこそっと話しかけた。


「ねぇフィデロ。パドラスに、『のんびり走ってくれたら、明日ダッシャーとのおやつタイムに招待するよ』って伝えてくれるかな?」

「ンッヒ!? ンッヒヒ?」

「そりゃモチロン、フィデロも招待するよ」


 らんちゃんの通訳を通さなくても、理解し合えてしまう自分が少し恐い……。


「ブルッヒ! んっヒ、ヒヒッヒ!」

「ンヒッ!?」


 フィデロがパドラスと会話をすると同時に、二人してダッシャーを見つめる。


「ダッシャー、お願い。リリーのところへ行きたいんだ」

「美味い物を用意するのであろうな?」

「みんなで一緒に食べるんだから、フルーツかな?」

「赤い白いヤツか?」「れんにゅなの」「にゅさまなの」


「あい、分かった。フィデロ、パドラス! 承知した」

「ブルルッヒーーン!!」「ンヒッヒヒーーン!!」


「何やら密談かな?」


 セオドア王は気付いたみたいだ。


「あはは、時間がなくて、すみません」



 すると、シアンさんがニコニコ顔で戻って来た。


「では、私はこれで。さぁ! 行くぞ、パドラス!!」


 シアンさんがパドラスに跨って、颯爽と――。走っては行かない。パドラスはのんびりゆっくりと歩いて行った。


 その少し上の空を、僕たちはダッシャーと一緒に爆走した。


 ◇◇


 中央広場に着くと、いつものコンロの前にマルタさんが居た。隣の母様とおしゃべりしていて、とても楽しそうだ。


 その前に急降下して着地する。


「マルタさんこんばんは。今夜も晩ご飯のレシピをお教えしますので、皆さんに作ってあげて貰えますか?」

「嬉しいねぇ。また新しい料理かい? お昼のハントンライスも美味しくて大盛況だったよ」


 僕はパパっと作り方を教えて材料をテーブルの上にズラッと並べた。



~【お月見ワンパンカルボナーラ】~

■材料(1人分)

・パスタ(3分タイプ):100g

・ソフトサラミ:2枚

・水:180ml

・牛乳:60ml

・生クリーム:60ml

・ピザ用チーズ:大さじ3

・コンソメ:小さじ1

・バター:5g

・卵黄:1個分

・粗びき黒こしょう:適量

■下準備

1.ソフトサラミは半分に切り、さらに1cm幅に切る。

■作り方

1.フライパンにバターとソフトサラミを入れ、中火で軽く炒める。

2.そこに水と牛乳とコンソメを加え、強火にして沸騰させる。

3.沸騰したらパスタを入れ、全体を水に浸したらフタをして、弱めの中火で2分茹でる。

4.少し水分が残っている状態のところに、生クリームとピザ用チーズを加える。

5.中火のまま、パスタにソースを絡めるように1分ほど混ぜながら加熱し、チーズが溶けて、ソースがトロッとしたら火を止める。

6.お皿に盛り付け、中央に卵黄を乗せ、黒こしょうをふって完成。


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